椎体破裂骨折:Burst fracture of spine(140829)

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椎体破裂骨折:Burst fracture of spine(140829)
外傷で搬送された女性。腰痛と下肢のしびれを認める。胸腰椎椎体破裂骨折の診断で後方病
院で入院加療の方針となった。基本的な点と、注意すべき点を振り返って勉強しておく。
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脊椎破裂骨折は three column theory よる anterior と middle column に損傷を認めるものと
定義され、不安定な骨折である。2)
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圧迫骨折は主に前柱が損傷される安定損傷で、屈曲位で垂直性圧迫力が加わって椎体が
楔状変形をきたすことをいいますが、骨粗鬆症による圧迫骨折では場合は椎体の魚椎化、
扁平化をきたす場合があります。破裂骨折は軸方向の負荷によって前柱と中央柱の損傷を
きたす不安定骨折を指します。3)
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脊椎圧迫骨折と異なり、明らかな外傷により生じる。1)
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脊椎破裂骨折の好発部位は第 11 胸椎から第 1 腰椎であり、骨粗鬆症に伴う脊椎圧迫骨折
の好発部位と一致する。1)
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脊椎のどの部位にも起こりうるが、胸腰椎移行部(Th11、12、L1)は胸椎後弯部と腰椎前弯
部の移行部であることや、Th11、12 は胸郭を形成しないことなどの理由から力が集中しやす
く、最も発生の多い部位である。2)
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疼痛が非常に激しく、神経症状を伴う場合は、骨粗鬆症が存在していても本症を疑い、検索
を進めていかなければならない。1)
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通常脊椎圧迫骨折では脊柱管内への骨片の突出はなく、麻痺などの神経症状を伴うことは
少ないが、脊椎破裂骨折では高頻度に神経症状を呈する。1)
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骨粗鬆症に伴う脊椎圧迫骨折と画像上最も鑑別が必要となるのは脊椎破裂骨折である。1)
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高齢者では軽微な外傷により破裂骨折をきたすこともあるが、骨粗鬆症により徐々に椎体が
圧潰してきて破裂形態を呈するものは病態が異なるので区別する必要がある。2)
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単純 X 線像からは、軽度の脊椎破裂骨折と骨粗鬆症に伴う圧迫骨折の画像は非常に似て
おり、注意深く画像を検討しなければ見逃してしまうこともある。1)
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Denis(1983)によれば、脊椎は前方支柱、中央支柱、後方支柱の 3 つの支柱に支えられてお
り、それぞれの破綻により損傷型が分類される three-column theory)。1)
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骨粗鬆症に伴う脊椎圧迫骨折は前方支柱が中心として損傷を受ける。脊椎破裂骨折は前方
支柱、中央支柱、後方支柱のすべてが損傷を受ける。脊柱管を構成している中央支柱と後
方支柱が損傷を受けるため、脊髄馬尾損傷による神経障害をきたすことが多く、早期に適切
な治療が必要となるのはこのためである。1)
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X 線像:単純 X 線像では椎体は粉砕骨折するために、椎体全体が圧し押しつぶされたように
圧縮された像となる。正面像では上下椎体より圧縮され短縮する。餅を押しつけたように両
側に膨らみ、それに伴い椎弓根間距離は広がる。左右均等に短縮する場合や左右どちらか
がより強く短縮し、上下の椎体縁が傾くこともある。側面像では最も特徴的な像を呈する。椎
体が上下から圧縮されたため、椎体高は前縁、後縁ともに短縮する。短縮すると同時に前縁
および後縁は、餅を圧した時と同じように前後に膨隆したような像を呈する。椎弓幅は上下
の椎体と比較すると椎体に対する割合が大きくなり、椎弓が太くなったようにみえる。1)
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骨粗鬆症に伴う圧迫骨折と最も異なるのは、椎体後縁が短縮すると同時に脊柱管に向かっ
て膨隆するため、椎体後縁の皮質骨が不鮮明となり、後縁を辿ることができない。後方支柱
の椎弓や棘突起、上下関節突起にも骨折は及ぶが、単純 X 線側面像では発見しにくいため、
CT 像により発見されることがある。1)
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CT 像:CT 像は破裂骨折の診断において最も有用な画像である。脊柱管内への骨片の突出
や膨隆の所見は明瞭に認めることができる。椎体は全体に粉砕しており、全方向に骨片が
突出しているが、とくに脊柱管内へ大きな骨片が盛り上がるように脊柱管を占拠している所
見が特徴的である。1)
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MRI 像:T1 強調像では後方に突出した骨片や骨折した骨片を発見できるが、CT 像のように
明瞭な骨折線をみることは困難である。MRI ではおもに T2 強調像の所見が有用な情報とな
る。脊髄馬尾神経と骨片との関係や脊髄圧迫による輝度変化や、硬膜破損に伴う髄液の漏
れや貯留などをみることができる。1)
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T1 強調像で低信号、T2 強調像で高信号を“bone marrow edema pattern”といい、今回のよう
な圧迫骨折のほかに、骨髄壊死、感染、骨転移などさまざまな病態によりこの信号パターン
を呈します脂肪抑制のない T2 強調像では正常脂肪髄の高信号で区別できないことから、
STIR 像が代わりによく用いられます。転移性骨腫瘍による病的骨折ではこの信号異常が常
に認められるのに対して、良性の圧迫骨折は数カ月で正常化してきます。3)
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急性期の圧迫骨折と病的骨折は椎体の信号変化だけで区別するのは困難です。3)
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高齢の担癌患者の腰痛において骨粗鬆症による急性期の圧迫骨折と転移性骨腫瘍による
病的骨折の鑑別が問題になることがあります。判断に迷うときは、いくつかのポイントに着目
してどちらの可能性が高いか判断していく必要があります。3)
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良性の圧迫骨折を示唆する所見としては液体徴候(fluid sign)、骨片後方突出(retropulsion
of posterior fragment)、骨折線を示す低信号帯(low signal intensity band)などがあります。3)
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(悪性を疑う所見は)骨皮質の破壊、椎体背側の円弧状突出(posterior convex cortex)、椎
弓など後方要素への進展、傍椎体部腫瘤形成、ADC(見かけ上の拡散係数)値の低下など
が挙げられます。3)
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CT は後方骨片の脊柱管内占拠率を判断するのに有用であると同時に、Denis 分類や AO 分
類を行う際には必要となる。MRI では、脊髄や馬尾神経の圧迫程度の評価のみならず、破裂
骨折椎体上下の椎間板損傷や後方支持組織の損傷や出血なども判定し、治療方針を検討
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する。2)
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Denis 分類(やや古くすべての病態を説明できるものではないが、シンプルで臨床的に使い
やすい。2))
①Type A:椎体上下の終板損傷
②Type B:椎体上縁の終板損傷(最多)
③Type C:椎体下縁の終板損傷
④Type D:回旋力が加わった破裂骨折
⑤Type E:側屈力が加わった破裂骨折
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AO 分類(損傷メカニズムに基づいた分類で、すべての胸腰椎損傷が分類できる。2))
①Type A:軸方向の圧迫力により生じる損傷
②Type B:伸展による前方および後方要素損傷
③Type C:回旋を伴う前方および後方要素損傷
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脊椎破裂骨折では早期に整形外科的治療が必要であり、場合により手術的治療も必要とな
る。1)
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破裂骨折は不安定な骨折であるために、早期の脊椎安定性や変形の改善を目的として手術
療法の適応となることが多い。若年者で不安定性が少ない場合や、ligamentotaxis により後
方骨片の整復が期待できる場合などは、ギプス固定などの保存療法が可能な場合もある。
2)
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手術は前方固定術、後方固定術、後方前方固定術があり、破裂骨折の形態により手術方法
が選択されるべきであるが、基本的には前方支柱再建は必要で、脊柱管内骨片の占拠率が
大きければ前方除圧も必要になる。2)
今回の症例は、痛みが強く、腰の写真を撮ることも相当困難を伴った・・・。というか、結局写真す
ら断念して、後方病院へ搬送となった。一人で無理するメリットはあまりないので、経過と症状から
破裂骨折を疑うことができれば、そういう流れでもいいと思う。
それにしても、とにかく痛そうでした・・・。
参考文献
1.
楊 鴻生.脊椎破裂骨折(Burst fracture of spine).骨粗鬆症治療 5(4): 318-320, 2006.
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2.
金村徳相.脊椎破裂骨折.関節外科 32(suppl-1): 49-51, 2013.
3.
藤井裕之, 木村有喜男, 杉本英治.圧迫骨折か, 破裂骨折か? 原因までわかりますか? 臨
床画像 29(suppl-1): 50-51, 2013.
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