Crowned dens syndrome (CDS)

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Crowned dens syndrome (CDS)(140818)
PMR と診断した高齢男性。NSAIDsに不応で、少量ステロイドで劇的に改善した。最近、鑑別診
断で挙がるようになってきた Crowned dens syndrome について復習しておこうと思う。
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激しい後頭部痛がみられ、頭部 CT、MRI で異常所見が見られない時、次に鑑別診断にあが
るのは髄膜炎だと思われる。髄液検査を行う前に、可能性を考えておきたい疾患が CDS
(Crowned Dens Syndrome)である。3)
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第 2 頸椎(C2)歯突起周囲の靱帯(環椎横靱帯)にピロリン酸カルシウムが沈着することによ
り CDS は起こる。1)
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CDS は頸椎における偽痛風発作ともいえる。5)
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高齢者、特に女性に多くみられ、他の部位に偽痛風発作の既往歴があることが多い。2)
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急性の後頸部痛、発熱や項部硬直を起こし、炎症反応は高値を示す、髄膜炎、リウマチ性多
発筋痛症、側頭動脈炎と誤診されることが非常に多い。1)
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発熱、後頭部から頸部にかけての疼痛、頸椎の回旋制限が 3 徴で、しばしば頸部の伸展制
限も伴う。急性発症し、症状は数日ないし数週間持続する。再発を繰り返すこともある.検査
所見では白血球増加、赤沈亢進、CRP 陽性などの炎症所見がみられる。頸部 CT で環椎横
靱帯の石灰化があれば確診する。2)
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頚椎運動制限を伴う急性頚部痛では、本疾患を念頭においた頚椎 CT を行うことで診断に至
る機会が多くなる。6)
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稀な疾患であり、PMR(Polymyalgia rheumatica)との鑑別が重要であり、時に困難であると
されている。3)
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これらの疾患の鑑別が重要なのは偽痛風ならば、NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)の数
日間投与が著効を示すのに対して、PMR と診断するとプレドニゾロンの長期間投与が避けら
れない点にある。PMR ではプレドニゾロン 10~20mg/日を開始すると、48 時間以内に劇的な
症状の改善がある。しかし、1 ヵ月間後に 10mg まで漸減した後は 1mg/月のペースでゆっくり
減量していかなくてはならない。平均治療期間は 2.4 年、平均プレドニゾロン投与量は 9.6mg/
日(MKSAP14,Rheumatology 2006:118)との報告もある。NSAIDs だけで良くなるなら不必要
なステロイドの長期投与は是非とも避けたい。1)
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鑑別診断として髄膜炎、リウマチ性多発筋痛症、脊椎感染症及び多発性筋痛症などが挙げ
られる。4)
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急性後頚部痛を来す疾患に、化膿性脊椎炎、咽頭膿瘍、髄膜炎などの感染症との鑑別が重
要。4)
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急性頸部痛の鑑別診断としては、外傷・変性に伴う疼痛、脊椎腫瘍、感染症、非感染性脊椎
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炎、血管病変、その他に大別される(表 2)。炎症反応の上昇や発熱を伴うことから細菌性髄
膜炎、化膿性脊椎炎、リウマチ性多発筋痛症、頸長筋石灰沈着性腱炎などの鑑別が困難と
なる。5)
(参考文献 5 より引用)
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リウマチ性多発筋痛症:CDS では上肢の疼痛を訴えることはあるが、殿部から大腿部の疼
痛はみられない。2)
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身体所見上の特徴:CDS ではしばしば項部硬直があり、髄膜炎と鑑別が必要になる。髄膜
炎の項部硬直が前後方向に強いのに対して CDS では左右方向にも見られる点が鑑別に役
立つ。また、後頭部に強い圧痛があることも特徴で患者はしばしば枕を使うことができず不
眠を訴える。3)
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CDS が疑わしければ頸部 CT を撮り、歯突起後方の靱帯に石灰化がないかを確認する(この
部位に石灰化があればすべて CDS というわけではない。) 1)
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画像診断の秘訣:環椎横靱帯の石灰化は淡く微細であり、単純写真では指摘ができない。
CT 検査であっても通常の骨条件では見えないことが多い。腹部観察時の条件で再構成し、
軸位、矢状断冠状断で観察することが必須である。3)
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偽痛風の可能性があれば、NSAIDs を 3 日間だけ投与して反応性をみる。1)
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治療は消炎鎮痛薬が有効で、亜急性の経過や発作を繰り返す場合はコルヒチン、ステロイド
を用いる。2)
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治療は NSAIDs が有効であり 1~2 週で軽快する。4)
CT の無い医療機関では確定診断は出来ない。診断に自信があって、NSAIDsで改善するならば
CT を依頼することは無いかもしれないが、鑑別疾患に挙がる疾患の中にはたちの悪いものもあ
るので、おかしいと思った時には、すぐ思考プロセスを修正できるようにしておきたい。
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参考文献
1.
山中克郎.髄膜炎? リウマチ性多発筋痛症? ちょっと待てよ……Modern Physician 30(10):
1349-1349, 2010.
2.
宮田靖志.中川紘明.プライマリ・ケアの現場で役立つ一発診断.東京,文光堂,2011.
3.
佐藤元美.後頭部痛の鑑別診断に CDS をお忘れなく.Modern Physician 29(6): 898-899, 2009.
4.
松田秀雄.Crowned dens syndrome の 7 例.天草医学会雑誌 28(): 1-4, 2014.
5.
金田和也,小柳貴裕,梅津太郎,浅野拓行,磯貝宜広,橘田祐樹,堀内孝一,別所祐貴,金子康仁,
原藤健吾,中道憲明,堀内行雄.Crowned Dens Syndrome の小経験.神奈川整形災害外科研究
会雑誌 26(4): 117-119, 2013.
6.
朝倉謙輔,赤坂俊樹,菅原敦,小田知靖,高田晃.Crowned dens syndrome の 4 例.岩手県立病院
医学会雑誌 52(2): 135-138, 2012.
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