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南米
2015年3月23日
チリを例に、これからの新興国通貨を見る
米国の量的金融緩和の終了や利上げを意識し始めた2014年後半から新興国の通貨は全般に軟調ですが、同じ新
興国の中でも国により変動度合いに違いが見られます。チリを例に、相対的に変動が小さい要因を振り返ります。
チリ中央銀行:市場の予想通り、政策金利は
据え置き、利下げには慎重なトーン
チリ中央銀行は2015年3月20日に政策会合を開催し市場予
想通り政策金利(翌日物誘導レート)を3.00%で据え置くこと
を決定しました。2014年10月に利下げを行った後、5会合連
続で政策金利を据え置いています(図表1参照)。
声明の中でチリ中銀は、インフレ率は今後数ヵ月許容できる
範囲(インフレ目標上限=4%)を超える見込みであると述べ
ています(図表1参照)。また、チリ国内の金融市場には金融
緩和の影響を反映した動きとなっているとも指摘し、追加利
下げの可能性には慎重なトーンとなっています。
どこに注目すべきか:
通貨騰落率、銅価格、経常収支
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:チリの政策金利と消費者物価指数(CPI)の推移
(日次、期間:2013年3月20日~2015年3月20日、CPIは月次)
5.5
%
%
4.5
インフレ
目標上限4%
3.5
インフレ目標
3%(±1%)
政策金利(左軸)
消費者物価指数(前年同月比、右軸)
2.5
13年3月
13年9月
14年3月
14年9月
6
5
4
3
2
1
0
15年3月
図表2:チリペソ(対ドル)と銅先物価格の推移
(日次、期間:2014年3月20日~2015年3月20日)
安 ペソ 高
米国の量的金融緩和(QE3)の終了や利上げを意識し始め
た2014年後半から新興国の通貨は全般に軟調です。今後
の新興国通貨市場の動向は米国次第という面はあるものの、
同じ新興国の中でも国により変動度合いに違いが見られま
す。チリをひとつの例に、注目すべき要因を振り返ります。
まず、過去1年の新興国通貨の騰落率をランキングで見ると、
上位グループ(騰落率プラス~マイナス5%程度)には人民元
などアジア通貨が顔をそろえます。一方、チリは同じ南米の
ペルーとともに第2グループ(-10%前後)に属します。
通貨市場の動向を見るうえで、注目点は以下の通りです。
まず、チリの場合は銅市場の動向です。新興国は産業の分
散化が進んでいないケースが多く、例えばチリは銅、ナイジ
ェリアやガーナなど産油国は原油に依存しています。チリ中
銀の声明にもあるように、銅価格は足元底打ちの兆しも見ら
れます(図表2参照)。また、世界金属統計局(WBMS)による
と、銅の需要と供給は若干供給過剰は見られるものの、概
ね均衡している模様です。ナイジェリアやガーナなど産油国
が原油価格の下落を受け最近相次いで格下げされている
状況とは異なり、三大格付け会社はチリの見通しを安定的
としています。チリは銅産業だけでなく、食料品や化学製品
など産業の分散が進んでいる点もプラス要因と思われます。
次に、債務、特にドル建債務が相対的に小さいことです。新興
国で米国の利上げが懸念される理由のひとつは過去のドル
建債務が累積した国の返済が懸念されるためで、その点、チ
リのような国は相対的に影響が小さいと思われます。
最後に、経常収支の改善傾向です。新興国通貨安の原因の
ひとつが経常赤字(例えばフラジャイル5)であったものの、通
貨安は経常収支の改善に寄与し、原油安(石油輸入国にとっ
て)のプラス寄与も伴うことで、経常収支は改善傾向です。た
だし、内需不振による輸入の減少が貿易収支の改善を助けて
いる面には注意が必要です。
新興国通貨は米国金融政策次第で、変動の大きい展開も想
定されますが、今回指摘した要因以外にも様々な要因が影響
を与えると考えられることから、分散投資が重要と考えます。
660
ペソ/ドル
チリペソ(対ドル、左軸)
ドル 7,500
銅先物価格(右軸)
630
600
570
540
14年3月
2014年10月:
米国QE3終了
14年6月
14年9月
14年12月
7,000
6,500
6,000
5,500
5,000
15年3月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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