メキシコペソ防衛の 3点セットを公表

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中南米
2016年2月18日
メキシコペソ防衛の3点セットを公表
メキシコ当局の予想外の利上げ、為替介入、並びに歳出削減を受け、17日は急速にペソ高が進行しました。当局は
利上げの第一の理由をペソ安により潜在的なインフレ上昇につながることを懸念したと述べています。
メキシコ、ペソ防衛:メキシコ中銀は利上げと
2009年以来の直接市場介入
どこに注目すべきか:
ペソ為替介入方法、代替的ヘッジ、信用力
ピクテ投信投資顧問株式会社
20
ペソ/ドル
19
ペソ(対ドル)
18
17
16
15
14
15年2月
15年5月
15年8月
15年11月
16年2月
図表2:メキシコ5年物CDSスプレッドの推移
(日次、期間:2015年2月17日~2016年2月17日)
240
bp
利上げと歳出削
減公表で信用力
は改善
210
180
悪化 信用力 改善
メキシコ当局の予想外の利上げ、為替介入、並びに歳出削
減を受け、17日は急速にペソ高が進行しました(図表1参照)。
当局は利上げの第一の理由をペソ安により潜在的なインフレ
上昇につながることを懸念したと述べていますが、次の点を
懸念した可能性が考えられます。
まず、メキシコペソ(対ドル)の騰落率を年初来、過去1年など
で見ると新興国通貨の中で概ねワースト5位以内(為替制度
を変更したアルゼンチンを除く)にランクインされています。し
かしメキシコは成長率が2%を越え、インフレ率は2%台と健全
で、経済の状況と為替動向に乖離が見られます。
では何が乖離の要因として考えられるか?
1つ目は、メキシコ当局のルールに基づく介入では、メキシコ
中銀がペソ買い/ドル売りの機会を提供するため、かえって
ペソ安に賭けた投機的取引を拡大させた可能性があります。
2つ目はペソが新興国通貨の中で自由度が高く、取引も容易
であることから他の新興国通貨の代替的ヘッジ通貨となって
図表1:メキシコペソ(対米ドル)の推移
(日次、期間:2013年2月17日~2016年2月17日)
安 ペソ 高
メキシコ中央銀行は、2016年2月17日、緊急会合を開催、政
策金利を3.25%から0.5%引き上げ3.75%としました。カルステン
ス総裁は、ペソ安で予想物価が上振れて消費者物価の上昇
が進む事態を防ぐために利上げを決定したと説明しています。
またメキシコ中銀は、ペソ下支えに向けてドルを売る直接市
場介入を行いました。メキシコの為替制度は自由変動を許容
するフロート制を維持し、2014年のペソの大幅下落局面以降
実施してきたルールに基づく入札方式のドル売却制度を打
ち切り、必要に応じて金融機関にドルを直接売却する直接介
入の導入を示唆しました。
さらに、メキシコ財務省は原油安に伴い歳入減に見舞われて
いる中で、投資家のメキシコ経済に対する信頼感を高める狙
いで、2016年の歳出を削減すると発表しました。
いた可能性があることです。メキシコは産油国とはいえ、製造
業も強く、他の産油国に比べ原油価格下落の通貨への影響
が小さいことが期待されます。それでもペソが大幅に下落した
背景には為替ヘッジに利用された影響も想定されます。
最後に、過去のペソ安進行局面でメキシコの信用力が悪化し
ていた点に注意が必要です(図表2参照)。メキシコの資金調
達の悪化が懸念されます。金融政策にあわせ歳出削減が同
時に公表されたのもこの点を意識した可能性が考えられます。
これらの背景を考え合わせれば、メキシコ中銀が今回の措置
は新たな利上げサイクルの始まりではないと説明していること
とも、ある程度整合的であると思われます。
メキシコCDSスプレッド
150
120
90
15年2月
信用力の悪化傾向
15年5月
15年8月
15年11月
16年2月
※CDS(クレジット・デフォルト・スワップ):信用リスクを対象としたデリバティ
ブ商品のことでスプレッド上昇(低下)は信用力悪化(改善)の目安
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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