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グローバル
2015年4月15日
数字の変化に乏しかったIMF予想、目を凝らしてみると
今回のIMF予想は世界平均を数字だけで眺めると3.5%で変化ありませんが、先進国の成長の上方修正が前回の米
国からユーロ圏、日本へ移ったこと、その背景としてユーロ圏などの量的金融緩和とドル高が注目されます。
IMF世界経済見通し:ドル高が日欧の成長を
押し上げ、米国は減速
国際通貨基金(IMF)は2015年4月14日最新の世界経済見
通し(WEO)を公表し、ユーロ圏と日本の成長見通しを前回
2015年1月時点に比べ上方修正した半面、米国の成長見通
しを引き下げました(図表1参照)。
IMFは2015年の世界経済成長率予想を3ヵ月前と同じ3.5%
に据え置いたものの、世界経済が為替相場の変動と原油安
の影響を受けている点を指摘しています。
先進国では米国の今年の成長率予想は0.5%引き下げ3.1%と
しながらも、主要先進国で依然として最も急成長になるとの
見通しを示しました。一方、日本の成長率予想は前回の
0.6%から1%に上方修正、ユーロ圏はユーロ安の恩恵で2015
年は1.5%成長へと上方修正されました。
新興国の成長率は1月時点の予測と同じ4.3%としています。
国別では下方修正となった主な国はブラジルとロシアで、反
対にインドの2015年の成長率予想は7.5%と、1月時点に比べ
1.2%上方修正されています。中国は前回と同様、2015年は
6.8%の成長見通しとなっています。
今回のIMF予想は世界平均を数字だけで眺めると3.5%で変化
ありませんが、先進国の成長の上方修正が前回の米国から
ユーロ圏、日本へ移りました。背景としてユーロ圏などの量
的金融緩和やドル高(他通貨安)に注目しています。
まず、米国の成長予想は3.1%と主要先進国では依然高成長
で、他地域の成長のけん引役が期待されていますが、気に
なるのはドル高の米国景気に対する影響です。
まず、プラス面です。例えば、米国3月小売売上高は寒波や
港湾ストの影響でマイナスとなっていた2月からは改善しまし
た。ただし、前月比0.9%と市場予想(同1.1%)を下回りました
(図表2参照)。3月の数字は原油安やドル高による消費への
プラス効果が期待されていただけに、小売売上高の回復が
ピクテ投信投資顧問株式会社
図表1:IMFによる主な国・地域の2015年経済成長見通し
(時点:2015年1月(左)、2015年4月(右))
7%
6%
5%
4%
3%
2%
1%
0%
-1%
2015年1月(前回、左)
2015年見通し
2015年4月(今回、右)
3.1%
3.5%
(3.6%) 1.0%
2.4%
(0.6%)
6.8%
4.3%
1.5%
(1.2%)
世
界
-1.0%
(0.3%)
米
日
先
新
ユ
国
本
進
興
ロ
国
国
※( )は2015年1月時点予想
圏
出所:IMFのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
ー
どこに注目すべきか:
IMF成長予想、ドル高、小売売上高
予想を下回った背景の究明が必要となりそうです。一方マイナ
ス面では、足元の米国企業の業績発表では、輸出割合の高い
製造業のガイダンスにはドル高の悪影響が反映されている
ケースも見られる点に注意が必要です。
ただしIMFのドル高へのメッセージは悩ましく、ドル高は米国以
外の地域の成長の下支え要因として擁護しています。一方、行
き過ぎたドル高による新興国のドル建債務の拡大には懸念を
示しています。恐らく今後もドル高圧力が続く可能性が高い中、
急激なドル高進行に対して懸念を示したものと思われます。
中
国
ブ
ラ
ジ
ル
図表2:米国小売売上高(前月比)と円(対ドル)の推移
(日次、期間:2014年4月14日~2015年4月14日、小売売上は月次)
125 円/ドル
120
円(対ドル、左軸)
小売売上高(前月比、右軸)
1.0
0.5
115
※寒波や港湾ス
トの影響で軟調
110
0.0
-0.5
105
100
14年4月
%
14年7月
14年10月
15年1月
-1.0
15年4月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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