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NEWS RELEASE
2015年3月27日
JXHDが減損で最終赤字拡大-格付は変えないが収支・財務の動向注視
JX ホールディングス(JXHD、証券コード:5020、発行体格付=A)は 26 日、2014 年度通期の最終赤字
予想を 3200 億円に修正した。2 月に原油安による在庫影響で赤字見通しを発表していたが、銅鉱山や石
油・天然ガスの開発事業で減損損失を計上することなどから、最終赤字がさらに 1100 億円膨らむ。
最終赤字が膨らむ原因になる特別損失の主なものは、(1)銅鉱山開発事業に係る固定資産の減損損失
500 億円(2)石油・天然ガスに係る固定資産の減損損失 250 億円(3)石炭開発事業に係る投資先事業
会社株式の評価損 250 億円で、特別利益として遊休地の売却益 200 億円を計上するが補えない。
減損損失が出る銅鉱山はチリのカセロネス鉱山。期待のプロジェクトだが、資材価格の高騰などで初
期投資額が 42 億米ドルに膨張したうえ、本格生産が遅れている。銅価下落に見舞われた 2013 年度に約
300 億円の減損損失を計上したのに続き、今回、さらに約 500 億円の減損損失を余儀なくされる。
市況低迷による採算悪化など潜在リスクは一定程度、格付に織り込んでいるが、生産が軌道に乗って
いない点は看過できない。JXHD は現地が冬場に入る前に必要な工事を終え、2015 年 8 月の本格生産開始
を目指す。資産の簿価はまだ比較的多いだけに、資産の劣化を食い止められるか注視を怠れない。
石油・天然ガス開発事業の減損損失は、北海や豪州等で保有する事業用資産が対象だが、会計基準の
相違により 2015 年度に米国の保有権益でも減損損失が生じる可能性がある。処理はある程度進んでいる
とはいえ、原油価格の先行きは不透明で、収支・財務への影響を引き続き慎重に見守る必要がある。
構造的な国内需要縮小で主力の石油製品事業の利益が圧迫され、全体の収益力・キャッシュフロー創
出力も十分とは言いにくい状態になっていた。それもあって、負債とキャッシュフローのバランスや資
本負債構成は以前から格付に見劣りするが、財務リスク評価と格付の乖離はさらに広がる方向にある。
もっとも、今回の減損損失の規模や内容は想定の範囲内だ。石油製品の市況好転で石油製品事業に収
益回復の兆しがみえることもあり、現時点で格付を動かす必要はないと判断した。そうは言っても、上
流事業の不振が長引けば、利益の立ち直りが遅れ、財務基盤にも響く。カセロネス銅鉱山の生産が軌道
に乗るかなどを含めて、グループ全体の収支・財務の動向を注視し、格付に反映させていく。
主任格付アナリスト:西村
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