電源開発が増資 - 格付投資情報センター

NEWS RELEASE
2015年2月18日
電源開発が増資―格付変更せぬが安定性はさらに向上
電源開発(証券コード:9513、発行体格付=A+)は 17 日、公募による新株発行や自己株式の処分など
で、2015 年 3 月に 1 千数百億円の規模の資金を調達すると発表した。大半を国内外における新規電源の
建設資金に充当する。昨年末時点で 22%の自己資本比率は、今期末には 27%程度に高まる見込みだ。
卸電気事業者で事業リスクは小さいが、東京電力の原発事故以降、供給先の一般電気事業者が苦境に
あることや電力システム改革が動き出したことなどを格付に反映してきた。とはいえ、まだ原子力発電
所を保有せず、比較的安定した利益を確保できていることなどから、格付の方向性は安定的としている。
2008 年に英国の投資ファンドから自社株を取得し金庫株とした。その後の海外事業への投資拡大もあ
り、資本負債構成の改善が課題になっていた。さらに近年、国内石炭火力の新設需要が増大するなど、
国内向けの資金需要も旺盛になってきたこともあり、それへの対応が求められていた。
昨年末の自己資本が約 5500 億円、2013 年度の設備投資額が 1950 億円の電源開発にとって、今回の増
資で計画に近い資金調達ができれば、自己資本の増強及び投資資金の調達で一定の効果が見込める。ポ
ジティブな格付アクションを取るほどではないが、格付の安定性はさらに高まると R&I は考えている。
青森県に建設中の大間原発は昨年 12 月に新規制基準への適合性審査を申請したが、追加工事も含めた
投資回収の行方は見通しにくい。電力システム改革が動き出す中、新たな電源投資をどう進めるのか、
舵取りは難しくなる。石炭火力への需要増など追い風を生かし収益基盤をより強化していけるか見守る。
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