東芝が医療機器子会社を売却―格付への下方圧力は消えず

NEWS RELEASE
2016年3月17日
東芝が医療機器子会社を売却―格付への下方圧力は消えず
東芝(証券コード:6502、発行体格付=BBB-、格下げ方向でレーティング・モニター中)は 17 日、画
像診断システムなど医療用機器を手掛ける子会社、東芝メディカルシステムズの全株式をキヤノンに
6600 億円強で売却する契約を締結したと発表した。約 5900 億円の売却益を計上し、それに伴う自己資
本の押し上げ効果も見込める。
年度末の 3 月には、リストラに伴うキャッシュアウトが発生するほか、インフラビジネスに関連した
運転資金負担も膨らむが、当座の流動性を懸念する必要はなくなる。自己資本にも好影響を及ぼすため、
財務基盤の脆弱さから信用力が急激に悪化するリスクは薄らいだといえよう。
売却益を織り込む前の 2016 年 3 月期末の予想自己資本は 1500 億円にすぎない。売却益を考慮しても、
半導体メモリーと原子力発電などのインフラビジネスを主軸にし、のれんの減損リスクも抱える東芝の
財務バッファーとしては心もとない水準であることに変わりはない。安定した収益が見込めるメディカ
ル部門を手放すことは収益基盤にも響く。格付への下方圧力は依然として残る。
同日付で、白物家電事業の譲渡に関する基本合意を美的集団股份有限公司と結んだ。18 日には中期経
営計画を発表する。R&I は、東芝の新たな事業ポートフォリオのリスクと、主要事業の競争優位性や案
件の管理体制といった収益基盤を精査する。それを踏まえて、中長期的な利益・キャッシュフローの創
出によって財務基盤が事業のリスクに照らして問題ない水準まで回復する蓋然性が高いか否かを判断し、
今後 1-2 カ月をめどに新たな格付を公表する予定だ。
主任格付アナリスト:村瀬
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