高浜原発の運転差し止め-停止長引くほど信用力を圧迫

NEWS RELEASE
2016年3月9日
関電、高浜原発の運転差し止め―停止長引くほど信用力を圧迫
関西電力(証券コード:9503、発行体格付=A、方向性はネガティブ)の高浜原発 3・4 号機に関し滋
賀県の住民が再稼働差し止めの仮処分を申し立てていた件で、大津地裁は 9 日、運転を認めない決定を
した。直ちに法的拘束力を持つことから、関西電力は稼働中の 3 号機を停止する。司法手続きを通じて
仮処分が取り消されない限り、同原発の再稼働はできない。
関西電力は決定を不服として異議を申し立てる方針だが、仮処分が取り消されるとしても、一定の時
間を要するとみられる。関西電力は同原発の再稼働をテコに 2016 年 5 月に値下げする方針を示していた
ものの、その原資が消滅する格好だ。2016 年 4 月に始まる小売全面自由化を控え、2 度の値上げで低下
した価格競争力の回復が重要な課題だっただけに、値下げできない場合は経営に大きな痛手になる。
これまでの料金改定を通じ、原発の稼働がなくても一定の黒字を確保できる収支構造になっている。
料金を維持すれば、稼働を停止しても収支が大幅に悪化するとは考えにくく、直ちに格付に響くことは
ないと判断している。しかし、大飯原発 3・4 号機の再稼働時期も見通しにくい中、小売全面自由化で苦
戦が続くことが予想される。原発利用率ゼロの期間が長引くほど、信用力の下押し圧力が強まりかねな
い。小売全面自由化後の顧客基盤の状況、原発再稼働に向けた進捗などを慎重に見守っていく。
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