JXHDが赤字拡大-市況悪化を業界再編効果で

NEWS RELEASE
2016年2月3日
JXHDが赤字拡大―市況悪化を業界再編効果で補えるか注視
JX ホールディングス(JXHD、証券コード:5020、発行体格付=A)は 3 日、2015 年度通期の赤字予想
を 3300 億円に下方修正した。第 2 四半期決算時に 449 億円の最終赤字を計上したが、資源価格がさらに
下落したことにより上流分野における減損損失等 2350 億円、事業再構築に伴う資産売却・撤退関連損失
800 億円などを計上し、特別損失が 3200 億円に膨らむ見通しだ。原油価格の下落でエネルギー事業を主
体とする在庫影響のマイナスが 2650 億円に拡大するのも響く。
最も多くの減損損失を計上する石油・天然ガス開発事業は、英国北海の資産が主な対象となる。高油
価時に取得した権益であり、損益分岐点の油価が高い。損失計上を余儀なくされたのはマイナス要因だ
が、そのリスクは格付にある程度織り込んでいる。一方、総額 42 億米ドルの初期投資をしたチリのカセ
ロネス銅鉱山は近年の資源開発事業の柱で、2014 年 5 月から銅精鉱の生産を開始した。まだ設備トラブ
ルが解消できず低稼働が続いている。開発会社への出資比率や権益比率から算定した JXHD の責任分担は
半分強に抑制されてはいるものの銅価格の低迷もあり、減損損失を再三計上しているのは懸念材料だ。
原油・天然ガスや銅などの資源価格は、R&I が従来想定していた以上に低迷しており、上流事業の収
支悪化、及び赤字計上による自己資本の毀損という形で、信用力の圧迫要因になっている。半面、主力
の石油精製・販売事業では業界再編が具体的に動き出し、信用力を下支えしている。JXHD は東燃ゼネラ
ル石油との経営統合を見据え、市場シェア拡大や経営効率化の深掘りなど、事業面ではポジティブな要
素が多い。業界全体で企業数の集約が進めば、主力事業は競争環境の改善が期待できる。
もっとも、JXHD の経営統合は 2017 年 4 月の予定で、その効果の実現には時間がかかる。規制当局に
よる許認可など、克服すべきハードルも残り、頓挫や遅延のリスクもなくはない。資源市況の極端な低
迷が中長期で定着したり、市況がさらに低下したりする場合、資源開発事業の採算が悪化し、もう一段
の自己資本の毀損が懸念される。カセロネス銅鉱山の低稼働が続くこともマイナス要因だ。こうしたリ
スクが顕在化すれば、格付に下押し圧力がかかる公算が大きい。資源市況の動向やカセロネス銅鉱山の
操業状況を踏まえつつ、業界再編効果でどこまで補えるか注視していく。
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