Today’s Headline ご参考資料 ご参考資料 “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン アジア 2016年3月8日 資源価格上昇に一役買った全人代の注目点 全人代の公表内容を受け資源価格が上昇した背景は中国の財政政策、インフラ投資拡大への期待の表れと見られ ますが、単なる期待で終わらないよう、実行性が問われる展開が想定されます。 中国全人代:経済目標達成に向け財政政策 拡大を示唆、構造改革は二の次 中国の全国人民代表大会(全人代、2016 年3 月5日~16日 の予定:日本の国会に相当)第4回会議で、李克強首相は初 日に政府活動報告を行い、第13次5ヵ年計画(2016年~2020 年)の発展理念と財政政策などの数値目標について言及し ました。例えば、財政赤字はGDP(国内総生産)比3.0%と2015 年の赤字2.3%を上回りました。鉄鋼消費国である中国で政策 担当者が景気てこ入れに前向きな姿勢を示唆したことで3月 7日の市場では鉄鉱石価格など資源価格や主な資源関連国 の通貨が大幅に上昇しました。 どこに注目すべきか: 全人代、供給サイド改革、インフラ投資 全人代の公表内容を受け資源価格が上昇した背景は中国 の財政政策、インフラ投資拡大への期待の表れと見られま すが、単なる期待で終わらないよう、今後は実行性が問わ れる展開が想定されます。 全人代の公表内容で注目点された点は以下の通りです。 1つ目は実質GDP成長率目標が前年比+6.5%~+7%と前年の 同+7.0%から(目標を範囲にすることで)引き下げたことです (図表1参照)。その背景は李首相が「長年の矛盾が経済の 下押し圧力」と述べたように過剰生産、(住宅の)過剰在庫な ど構造問題が手付かずであることです。成長目標を範囲とし たのも、構造問題に着手した場合の成長率への影響に幅を 持たせたためとも考えられます。 2つ目は構造問題解決に向け利益無く生きながらえている 「ゾンビ企業」の整理、淘汰を目指す供給サイド改革です。 報道では180万人が余剰人員といわれる鉄鋼、石炭などの セクターが対象となる模様です。供給サイドの改革の必要性 は、中国当局が本格化させることを年初から示唆していまし たが、今回は想定される失業対策に500億元(約8,750億円、 2016年、失業基金の規模1,000億元)を財務省の予算案で 計上するなど具体化が進んだ印象です。 ピクテ投信投資顧問株式会社 3つ目は財政政策の拡大です。2016年のGDPに対する財政 赤字の比率を3%へ拡大することで、構造改革に伴う痛みへの 手当て(失業対策)や法人減税が見込まれています。また、経 済の失速や構造改革の痛みを減らすために、財政支出など を通じてインフラ投資の方針が示されています。例えば、報道 では、交通網の整備として5ヵ年計画中の鉄道への投資総額 は3兆8,000億元程度と見込まれています。年平均で7,600億 元程度と高水準の投資が見込まれています。中には北京と 香港を結ぶ高速鉄道の新設が草案に盛り込まれている模様 です。また、道路建設にも投資計画が盛り込まれるなど、全 人代を受けた資源価格の上昇はインフラ投資の拡大による 鉄などへの需要の回復期待が大きかったものと見られます。 ただし、5ヵ年計画(2016年~2020年)草案の中には中国と台 湾を結ぶ鉄道の構想も盛り込まれるなど、実現性に疑問のあ る内容も一部ながら見られます。今後、期待から実行性へと 市場の中国の政策を見る目が厳しくなることが想定される中、 市場の期待が失望に変わるリスクにも注意が必要です。 中国の2月の貿易統計は市場予想を大幅に下回るなど、中国 の経済環境は厳しい状況で、「景気を最優先」した内容である 今回の全人代に市場の期待は高いものの、2012年11月の習 近平政権誕生以来推し進めてきた政策で地方政府などは新 規投資に対し萎縮も見られるだけに、スムースな政策転換の 可否が今後の注目点と見られます。 図表1:中国政府活動報告等、全人代の主な内容 項目 2016年成長目標 政策の内容、目標数値 実質経済成長率6.5~7%、都市部新規就業者増 16年~20年5ヵ年計画 年平均6.5%以上の中高速成長 供給サイド改革 ゾンビ企業の淘汰、国有企業改革 財政政策 財政赤字対GDP比率を2.3%から3%に拡大 減税等 法人税減税、企業の政府基金への負担軽減 インフラ投資 高速鉄道、交通網整備(年2兆元程度) 金融政策 通貨供給量(M2)を12%から13%へ 出所:各種報道等を基にピクテ投信投資顧問作成 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆 あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、 その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、 作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構 の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも のではありません。
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