2016年3月3日 (No.1,773) 〈マーケットレポートNo.4,694〉 改革と成長の両立狙い、「全人代」開幕(中国) 3月5日、日本の国会に相当する「全人代(全国人民代表大会)」が開幕します。「全人代」は、前年の政 府活動報告や今年の政府目標の決定などが行われ、年1回、毎年3月に開催されます。今年から始まる5カ 年計画の決定も予定され、経済構造の改革と経済成長の両立を狙う政策の内容に注目が集まっています。 今年の経済成長率目標は「6.5%~7.0%」か 柔軟な政策対応を可能にする目標設定へ ■5カ年計画の草稿発表時に習主席が「2020年までは最低6.5%以上」の成長率維持を明言したことを踏 まえ、16年の成長率は「6.5%~7.0%」と幅を持って設定されることが有力視されています。15年の6.9% の成長率からの鈍化を容認し、過剰設備の削減などの構造改革を進める狙いと見られます。 ■また、金融・財政政策をより柔軟に活用する方針が決定される見込みです。昨年は5回の利下げにより、1年 物の貸出基準金利は4.35%まで低下し、15年の財政赤字は対GDP比の目標である2.3%を上回ったと 見られます。今年はさらに、金融緩和の拡大と財政赤字拡大を容認した予算案が見込まれます。 ハイテク主導の製造業へ これまでの成長方式を見直し ■今年から始まる5カ年計画は、労働集約的な製造 業から、ハイテク主導型の製造業への転換へ道筋を つけることに重きが置かれる見込みです。 ■雇用や地方経済の下振れへの懸念から、これまで は踏み込んだ改革が先送りされてきました。しかし、 環境問題などこれまでの成長至上主義的な方針の 負の側面にも目を向け、経済の構造改革を進める 方針と見られます。 全人代の主な予定 時期 内容 李首相による、「政府活動報告」 1.2015年の回顧 開幕日 2.2016年目標の提案 (3月5日) (1)経済成長率の数値目標、予算案提出 (2)金融・財政政策の方針 (財政赤字の対GDP比の目標など) 期間中 個別の政策などについて討議 最終日 5カ年計画草案の承認、決定 (3月18日 2016年目標の政府案の承認、決定 前後) 閉幕後、李首相の記者会見 (出所)各種報道資料を基に三井住友アセットマネジメント作成 「すべての政策手段を用いる」G20声明も実行へ ■財政拡大に注目が集まる ■構造改革と経済成長の両立へ 中国が議長国となった20カ国・地域(G20)財務 相・中央銀行総裁会議は2月27日、「(世界経済 の減速を阻止するために)すべての政策手段を用い る」との共同声明を発表しました。29日の預金準備 率の引き下げに続き、財政拡大方針の決定に市場の 注目が集まっています。 今 回 の 5 カ 年 計 画は 、 「中 国 製 造 2025 」 、 「 イ ン ターネットプラス」、新シルクロード「一帯一路」推進な ど、成長を狙うこれまでの政策の一層の充実を図るほ か、国有企業改革や業界再編など、痛みを伴う構造 改革にもさらに踏み込むことが見込まれます。成長との バランスをどう保つかが注目されます。 2016年 3月 1日 中国が預金準備率を引き下げ 2016年 2月26日 最近の指標から見る中国経済(2016年2月) ■当資料は、情報提供を目的として、三井住友アセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘 するものではありません。■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。■当資料の内容は作成基準日現在のもので あり、将来予告なく変更されることがあります。■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、 今後の市場環境等を保証するものではありません。■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を 保証するものではありません。■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾 者に帰属します。■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。
© Copyright 2024 ExpyDoc