議事録に見る、オーストラリア準備銀行の次の一手

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オセアニア
2015年3月17日
議事録に見る、オーストラリア準備銀行の次の一手
今回の豪中銀の議事録で3月の政策会合で利下げを見送った理由は判明しましたが、より関心の高い今後の豪中
銀の政策スタンスについては、どちらかといえば、一段の利下げ機会の模索を暗示した内容とも考えられます。
豪中銀議事録:3月政策金利据え置きの理由
と今後のスタンス。追加利下げの可能性も
オーストラリア準備銀行(豪中銀)は2015年3月17日、3月3
日に開いた政策決定会合の議事録を公表しました。3月の
政策決定会合で政策金利の据え置きを決定した理由として、
低金利下で利下げした場合、家計がどのように行動するか
不透明であることから、2月の利下げの後の動向を見守るこ
とが必要と判断したと述べています(図表1参照)。
また議事録は、金融政策はすでに緩和的と指摘しつつも、
豪ドルの一段安が、バランスのとれた経済成長の実現に寄
与するとの認識を示しています。その上で豪経済の成長と
インフレ率の予想に基づけば、金融政策をさらに緩和すべ
き局面が表れる可能性があるとも述べています。
図表1:豪政策金利と豪ドル(対米ドル)レートの推移
(日次、期間:2012年3月16日~2015年3月16日)
4.5
4.0
%
豪ドル/米ドル
高 豪ドル 安
どこに注目すべきか
設備投資、豪ドル、交易条件、資源価格
がない点が議事録で述べられています。鉱山市場が低調な
ことから賃金の伸びは限定的であるため(賃金上昇を背景と
した)インフレの懸念は後退しています。
為替については、豪ドルは若干割高であるとの見方が議事録
に示されています。別の資料(報道機関の情報開示請求を受
け豪中銀が3月6日に公表した内部文書)を見ても、為替につ
いて豪中銀は資源価格下落による交易条件の悪化が豪ドル
に反映されていない(一段の豪ドル安水準となるべき)点を指
摘しています。仮に資源価格の下落が長期化したならば、豪
中銀が豪ドル安をいっそう支持する可能性も想定されます。
利下げと据え置き両要因に言及し、バランスをとった議事録
ですが、緩和を示唆する内容が多かったように思われます。
1.1
1.0
今回の豪中銀の議事録で3月の政策会合で利下げを見送っ 3.5
0.9
たのは2月の利下げ後の家計の動向を見守る意向であると 3.0
最近の利下げは
判明しました。より関心の高い豪中銀の今後の政策スタンス
2015年2月
0.8
について議事録は、利下げの可能性は半々との表現ながら、 2.5
豪政策金利(左軸)
一段の利下げ機会の模索を暗示した内容と見られます。
豪ドル(対米ドル、右軸)
2.0
0.7
豪中銀は議事録の中で、利下げを慎重にさせている要因と
12年3月
13年3月
14年3月
15年3月
して(シドニーなど特定の地域で)住宅投資が堅調なことと、
図表2:豪民間設備投資(前四半期比)の推移
消費に回復傾向が見られる点を指摘しています。ただし、堅
(四半期、期間:2010年1-3月期~2014年10-12月期)
調な住宅市場と消費の背景に、低金利が下支えになってい
15
る点も議事録では指摘されています。
%
豪民間設備投資(左軸)
次に利下げを促す要因として、民間設備投資の低迷と賃金 10
の落ち着きなどがあげられています。オーストラリアの民間
当指数は、民間企業の固定資
産投資をカバーし、建物、工場、
設備投資は半分以上が鉱山投資で占められています。足
5
設備、機械などを含む
元の資源価格下落の影響で鉱山投資が落ち込む中、民間
0
設備投資全体でも直近データは前四半期比でマイナスとな
っています(図表2参照)。鉱山資源の輸出を見ると、石炭な -5
どが下落しています。しかし主力の鉄鉱石は価格が下落し
10年3月
11年3月
12年3月
13年3月
14年3月
ているため輸出額は低下していますが、数量に大きな変化
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
ピクテ投信投資顧問株式会社
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