工業数学 B1
(2015/ 1/20 10:00 a.m. 締め切り)
4 回目レポート
氏名
学籍番号
問 1.
1. 領域 Im z > 0 において複素関数 f (z) =
(z 2
1
の極の「位置」を書け.
+ 1)2
2. その極の位数を書け.
3. その点における留数を求めよ.
4. 以下の積分を求めよ.(ヒント:0 < I < π )
ˆ
∞
I=
−∞
dx
(x2 + 1)2
解答
よって,積分の値は以下の通り.
1
f (z) =
(z −
i)2 (z
+
I=
(1)
i)2
π
2
(6)
より,z = ±i において,2 位の極をもつ.
おまけ
1. 位置 z = i
被積分関数
2. 2 位の極
(x2
1
の値は下図の赤線のように
+ 1)2
なる.
3. z = i における留数は下記の通り計算できる.
1
d
Res [f (z); i] = lim
(z − i)2 f (z)
z→i dz
−2
1
= lim
=
z→i (z + i)3
4i
(2)
0.8
(3)
0.6
0.4
4. 下図のように半径 R(> 1) の半円の弧のパス ΓR と
0.2
閉曲線のパス CR を考える.
0
-3
-2
-1
0
1
2
3
この赤線と x 軸で囲まれた領域の面積が求めたい値であ
る.この積分のおおよその値を知るために,青色の矩形
で近似する*1 .図から分かるように x ∼ 3 で十分小さい
値になるので,−3.5 < x < 3.5 の間で計算を行えば(検
算には)十分な精度が得られる.対称性を利用して計算
すると,次のように 1.6 という近似値を得る.
‰
ˆ
f (z)dz =
CR
ˆ
f (z)dz +
ΓR
(
1
1
× 0.5 +
×1
(1 + 02 )2
(1 + 12 )2
)
1
1
+
×1+
×1
(1 + 22 )2
(1 + 32 )2
(
)
1
1
1
=2 × 0.5 + +
+
= 1.6
4 25 100
R
f (x)dx
I ∼2 ×
(4)
−R
右辺第一項は R → ∞ で 0 になり,右辺第二項は R → ∞
で I に収束する.左辺は R の大きさによらず,留数定理
より以下のように求まる.
‰
f (z)dz = 2πi Res [f (z); i] =
CR
*1
π
2
(7)
(8)
π/2 ∼ 1.57 であるので,2% 程度の誤差で近似できてい
(5)
ることが分かる.
中点則と呼ばれます.精度は低いですが,手計算で確認するときは便利です.
1
問 2.
関数 f (t) =
t2
t
を Fourier 変換したい.ω > 0 として,以下の問に答えよ.
+1
1. 領域 Im z < 0 において複素関数 f (z)e−iωz の極の位置を書け.
2. その点における留数を求めよ.
3. 以下を Fourier 変換の定義とするとき,関数 f (t) の Fourier 変換 fˆ(ω) を求めよ.Jordan の補題を用いる場
合,積分パスを明記せよ.(ヒント:正負に注意)
ˆ
fˆ(ω) =
∞
f (t)e−iωt dt
−∞
解答
右辺第一項は R → ∞ で 0 になり,右辺第二項は R → ∞
1.
f (z)e−iωz =
−iωz
で I に収束する.左辺は R の大きさによらず,留数定理
ze
(z − i) (z + i)
より以下のように求まる.
より,z = ±i において,1 位の極をもつ.
‰
位置 z = −i
2.
[
]
f (z)dz = −2πi Res f (z)e−iωz ; −i = −ie−ω π
CR
(10)
[
]
Res f (z)e−iωz ; −i = lim (z + i)f (z)e−iωz
z→−i
−ω
=
なお,上の式では積分パスが時計まわりであるため,−1
e
を乗じている.
2
3. 下図のように半径 R(> 1) の半円の弧のパス ΓR と
おまけ
閉曲線のパス CR を考える.
非積分関数は以下のように書ける.
f (t)e−iωt =
t cos t
t sin t
−i 2
t2 + 1
t +1
(11)
実部は奇関数になっているので,積分すると明らかに 0.
虚部だけ計算する.虚部は振動しながら緩やかに減衰す
‰
f (z)e
CR
−iωz
ˆ
dz =
f (z)e
ΓR
−iωz
ˆ
るため,数値的に積分するのは難しい.ただ,グラフを
R
dz +
f (x)e
−R
−iωz
dx 描くと少なくとも虚部の積分は負になることが予想で
(9)
きる.
2