応用解析・レポート問題 (5 月 23 日) 問題の解答例 問題 6.1. 微分方程式 y 0 = y − x + 1 の方向の場を図示せよ。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 点 (x0 , y0 ) での解曲線への接線ベクトルの方向は (1, y 0 (x0 )) = (1, y0 − x0 + 1) により与えられる。このベクト ルは y0 − x0 の値が一定となる点において同じ向きがる。よって、方向の場は次のようになる: 2 1.5 1 0.5 0 -0.5 -1 -1.5 -2 -2 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 問題 6.2. 初期値問題 y0 = y(0) = y−1 2 に対し、次の問いに答えよ。 (i) 区間 (0, 1) を n 等分するオイラー法により得られる近似解 yn の具体的な形を書け。 (ii) limn→∞ yn (1) = y(1) が成り立つことを証明せよ。ただし、y(x) は上の初期値問題の真の解である。 ―――――――――――――――――――――――――――――― (i) 区間 (0, 1) を n 等分して、h = 1/n とおく。接点を xi = ih, i = 0, 1, . . . , n とする。初期条件が与える点 (x0 , y0 ) = (0, 2) からスタートして、この点での方向の場による方向 (1, y0 − 1) = (1, 1) に進む。すなわち、 yn (x) = x + 2, x ∈ (0, h) (これは点 (0, 2) を通り、傾斜 1 をもつ直線である。) x = h では yn (h) = h + 2 なので、点 (x1 , y1 ) = (h, h + 2) で方向を (1, y1 − 1) = (1, h + 1) に切り替える。 yn (x) = (1 + h)x + (1 + h)(1 − h) + 1, x ∈ (h, 2h) 点 (x2 , y2 ) = (2h, (1 + h)2 + 1) まで進み、そこで方向を (1, y2 − 1) = (1, (1 + h)2 ) に変える。 yn (x) = (1 + h)2 x + (1 + h)2 (1 − 2h) + 1, x ∈ (2h, 3h) 点 (x3 , y3 ) = (3h, (1 + h)3 + 1) まで進み、そこで方向を (1, y3 − 1) = (1, (1 + h)3 ) に変える。 yn (x) = (1 + h)3 x + (1 + h)3 (1 − 3h) + 1, x ∈ (3h, 4h) 数学的帰納法により近似解の一般的な形は以下のように求まる: yn (x) = (1 + h)k x + (1 + h)k (1 − kh) + 1, x ∈ (kh, (k + 1)h) (ii) yn (1) = yn (nh) を計算する。そのために上の式で k = n − 1 とおく。 yn (1) = (1 + h)n−1 nh + (1 + h)n−1 (1 − (n − 1)h) + 1 = (1 + h)n + 1 この n → ∞ のときの極限は lim yn (1) = lim (1 + h)n + 1 = lim (1 + n→∞ n→∞ n→∞ となるので、真の解 y(x) = ex + 1 の x = 1 での値と一致する。 1 n ) +1=e+1 n
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