2015年1⽉13⽇ ⽇本株ファンドマネージャーの視点 ⽇本の通信、均質化元年を迎える! ※このレポートでは、⽇本株ファンドマネージャーが注⽬しているトピックなどを毎週お届けします。 お正⽉に1年ぶりにスマートフォンを買い換えました。というのはお正⽉特別キャンペーンで現在使っている⽉額料⾦より 割安な料⾦で「iPhone 6 Plus」に買い換えることができたからです。私はこれまで4年ほどアンドロイドスマホを使ってき ました。アンドロイドOSは⾃由度が⾼く、画⾯のカスタマイズが容易であったり、アグレッシブに新しいアプリが提供さ れるなど⾮常に刺激的なOSでした。しかし、OSのアップデートもかつて程頻繁でなくなり、わくわく感が減退した感が あります。そうなると、スティーブ・ジョブズが追求したOS、アプリ、すべてに共通する⼀貫したインターフェースを持 つiOSが、⾮常に魅⼒的に⾒えてきます。 iPhoneに移るべきと考えたもう⼀つの理由は、⽇本のキャリアはiPhoneに極めて⼤きな販促を積むからです。これはアップ ル社との契約の関係かもしれませんが、iPhoneに乗り換えることが⾦銭的に圧倒的にお得となるため、今回アンドロイドス マホからiPhoneに買い換えようと考えました。 買い替えにあたって、KDDIのauからソフトバンクにキャリアも乗り換えました。私が過去ソフトバンクを使ったのは、 その前⾝の1996年の東京デジタルホンの時代でした。当時は携帯電話の普及の黎明期で、東京、地⽅とも携帯電話のつ ながりはとてもひどかった記憶があります。東京デジタルホンはJRの鉄道電話事業を継承した会社で、全国的にはデジタ ルホンとデジタルツーカーという名前の会社でした。鉄道電話がベースのためつながるエリアは広いといえず、かつNTT ドコモに⽐べ圧倒的に資本⼒に劣るため基地局数の増加スピードも緩慢でした。しかも2GHz帯のデジタル通信を売りに していたため、波⻑の広い800MHzのアナログ通信中⼼のNTTドコモと⽐べようもないほど、ひどい接続状況でした。 そんな記憶もありソフトバンクには⼿が出なかったのですが、今回チャレンジしてみました。使ってみると私の⽣活圏では 想像以上に繋がります。ただしゴルフ場での接続状況は期待以下でした。 実際はたとえ1年前でも、このような世代を超えた通信速度の⽐較は無意味です。なぜなら端末がモデルチェンジするごと に、通信⽅式や、通信帯域が改善しているからです。細かいキャリアごとの⽐較は複雑なので省略しますが、今後複数の周 波数帯や帯域を束ねて使うことでより太い回線のように使えるキャリアアグリゲーションのカバー範囲が広がれば、通信速 度のキャリア間の差はさらに⼩さくなりそうです。NTTドコモ、ソフトバンクは2015年度から国内向け設備投資の縮 ⼩フェーズに⼊ります。このような動きは回線品質の向上に⼀定の⽬処がついたことを表していると思われます。 通信速度が今後の差別化要因とならないとなると、料⾦やサービスが重要となってきます。ただスマートフォン、特に⽇本 でシェアが50%以上あるiPhoneについては、キャンペーン時期で違いがあるもののほぼ同様のサービスを提供しており、 カケホーダイ+データ⽉間容量5GBプランは6,500円で同額です。各社のHPを⾒てみると、少し驚くことがありまし た。各社ともカケホーダイプランを中⼼にしていることです。海外ではカケホーダイプランは当たり前ですが、⽇本では通 話時間⽐例の料⾦体系がこれまでメジャーでした。ただNTTドコモが昨年スマートフォンの主⼒サービスとして導⼊した カケホーダイプランは、業績に⼤きなダメージを与えており、2014年度は営業利益で1,200億円の下⽅修正を⾏って います。⾳声通話のヘビーユーザーが率先して新料⾦プランに移り、データ定額プランも廉価なプランが選好されているこ とが影響しています。 まだ⽬⽴ちませんが、ソフトバンクもKDDIもドコモと同じ契約形態を主⼒としていきそうです。実際、私もソフトバン クに移りましたが、キャンペーン適⽤条件がこのカケホーダイプランの加⼊でした。今後この2社の業績へ何らかの影響が ありそうですが、おそらく平均単価の上昇という点で⻑期的にはプラス効果があると判断したのでしょう。 また、昨年末に総務省が改正した「SIMロック解除に関するガイドライン」もキャリアの経営戦略に影響を与えそうです。 今年の5⽉以降に発売する全機種が対象となるため、キャリアの料⾦戦略、特に2年契約を条件に端末料⾦を割引く現状の 主⼒プランへの影響がありそうです。SIMロック解除により端末の均質化はますます進みます。さらにキャッシュバック、 端末割引もやりにくくなります。 こうしてみると今年は、端末の均質化、通信品質・エリアの均質化、料⾦・サービスの均質化が同時に起る、キャリアの均 質化元年になりそうです。ソフトバンクが⾔っているように⽇本国内の通信ビジネスはキャッシュ・カウということに帰結 し、そこから得られる潤沢なキャッシュを使ったM&A戦略、株主還元が通信株投資にますます重要となると思います。 株式運⽤部 永⽥ 芳樹 ■当資料は情報提供を⽬的として⼤和住銀投信投資顧問が作成したものであ り、特定の投資信託・⽣命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するもの ではありません。■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成 しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。■当 資料に記載されている今後の⾒通し・コメントは、作成⽇現在のものであり、 事前の予告なしに将来変更される場合があります。■当資料内の運⽤実績等 に関するグラフ、数値等は過去のものであり、将来の運⽤成果等を約束する ものではありません。■当資料内のいかなる内容も、将来の市場環境の変動 等を保証するものではありません。 大和住銀投信投資顧問株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第353号 加入協会 一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
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