ブレグジット(Brexit)後の投資アイデア

2016年6⽉27⽇
⽇本株ファンドマネージャーの視点
『ブレグジット(Brexit)後の投資アイデア』
※このレポートでは、⽇本株ファンドマネージャーが注⽬しているトピックなどを毎週お届けします。
世界が注⽬していた英国の国⺠投票は、EU離脱で決着しました。開票前には残留優位と伝えられていただけ
に、驚きをもって受け⽌められ、⾦曜⽇の⽇本市場は⼤きく荒れました。週明け以降については、⼀旦の材
料出尽くし感が出てくると考えます。しかしながら、EU離脱は初めてのケースであり、スコットランドが独
⽴を模索する動きや、フランスやオランダなど他国でもEU離脱を求める動きが強まることがあれば、まだま
だ市場は欧州に振り回されてしまうリスクはあります。
国内景気もなかなか盛り上がってこない状況が続いています。マイナス⾦利政策が⿊⽥⽇銀総裁の思い描い
た効果をあげられていない印象です。不安定な⾦融市場が景況感の悪化を加速させることが懸念されます。
そのような中では、⼤幅な減速リスクのある⺠需ではなく、安定している官公需に⽬を向けてみるのが良い
と考えます。特に昨今、従前から批判の強い箱物とは違った官公需が出つつあるように感じます。
今、地⽅⾃治体では消滅可能性都市が公表されたこともあり、⼤きな不安の中にいるようです。⽯破地⽅創
成⼤⾂が、各⾃治体に競争原理を導⼊することが地⽅活性化に不可⽋だとし、結果として格差が⽣じること
も⽌むを得ないとの認識を⽰したことも、⽣き残りをかけた競争を促進した印象です。⾝近な例としては、
ふるさと納税が思い当たります。インターネットサイトをみると、多種多様な返礼品が並んでおり、競争の
過熱が窺いしれます。寄付の受け⼊れ額から減税額を差し引いた地⽅⾃治体の収⽀を朝⽇新聞が集計したと
ころ、2014年度分は上位の10⾃治体に⿊字の約24%、100⾃治体に⿊字の7割が集中したとのことです。
私もランキングサイトを使って、上位の⾃治体の返礼品からみていることもあり、納得感があります。⼀⽅
で、⾚字になる⾃治体もあります。多くは都市部の⾃治体ですが、地⽅でも返礼品競争に慎重な⾃治体は⾚
字になっているようです。この傾向は2015年度も変わっていないようです。つまり、何もしなければ、競
争に負けてしまう世界になったのです。
⾃治体間競争は新しい需要を作りだしています。先⽇、地⽅公共団体が情報を発信するためのクラウドサー
ビスを提供している会社の社⻑と⾯談しました。社⻑によると、⾃治体間競争の激化に加え、地⽅創成関連
予算も後押しとなり、⾜元で同社が提供している⼦育て⽀援アプリなどの地域情報クラウドサービスへの引
き合いが強まっているとのことでした。1歳の⼦供を持つ親として、おむつ替えや授乳のスペース、予防接
種の時期や種類などを簡単に閲覧することができるサービスに対する需要は強いと思いますし、しっかりと
取り組んでいる⾃治体は⼦育てしやすい街としての評価が徐々に拡がると思います。このことは、特に地⽅
にとって⾮常に重要です。充実した⼦育て⽀援で有名になった千葉県流⼭市の昨年の⼈⼝の転⼊超過数が政
令指定都市などを除く⼀般市の第2位となったことからも伺われます。
景気の不透明感が強い中での投資アイデアの⼀つとして、官公需に注⽬してみるのも良いのではないかと考
えます。ただし、⼀般的な公共事業は、財政の問題もあり、⾜元の状況をみていると、あまり⼤きな伸びは
期待できないと思われます。⼀⽅で、上で取り上げたような地域の魅⼒を⾼めるための施策は今後も拡⼤す
ると思われるため、こういった需要を取り込める企業を探していくのが良いのではないでしょうか。
株式運⽤部
部奈和洋
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