More than enough is too much!(過ぎたるは猶及ばざるが

2015年1⽉19⽇
⽇本株ファンドマネージャーの視点
『More than enough is too much!(過ぎたるは猶及ばざるが如し)』
※このレポートでは、⽇本株ファンドマネージャーが注⽬しているトピックなどを毎週お届けします。
今年に⼊ってからも、その他⾦融、証券などの⾦融セクターや鉱業、⾮鉄などの原油安・資源安デメリット業種の不
振が際⽴っています。⼀⽅、ゴム、空運などの原油安メリット業種は好調なパフォーマンスを⽰しています。また、
値上がり上位業種には医薬品、情報・通信などの配当利回りの⾼い業種も顔を出しています。さらに東証33業種で
は無いものの相対的に⾼い利回りが評価されたJ-REITが上昇していることも⾒逃せません。どうしてこのような
動きになっているのでしょう。これは、以下のような因果関係でおおよそは説明できるのではないでしょうか?
(下げ⽌まらない原油)→(リスク・オフ)→(円⾼)→(インフレ懸念後退)→(⾦利低下)
→(利鞘悪化懸念による⾦融セクターの不振)
(下げ⽌まらない原油)→(リスク・オフ)→(円⾼)→(インフレ懸念後退)→(⾦利低下)
→(相対利回りの上昇により医薬品セクターやJ-REITなどが選好される)
このように⾒ると、原油価格が下げ⽌まれば今までと逆の動きになることが予想されます。では、今後原油価格は下
げ⽌まるのでしょうか?
下のチャートは⻑期間にわたる原油価格のチャートですが、今回の原油価格の下落は、リーマンショック時に匹敵す
る程の急速で⼤きな下落であることがわかります。ただ、今の原油価格のレベルは移動平均を⼤きく下回っており、
ちょっとしたきっかけで60ドル程度の⽔準には戻るようにも⾒えてきます。このチャートを眺めていると、今の原
油価格の⽔準はオーバーシュートである様な気がしてきます。この様に、私はチャートが⼤きな変動をした時は、で
きるだけ⻑期間のチャートを眺めて⼤局的なイメージを持つように⼼掛けています。
先週のスイスフランショックについて、中央銀⾏の⼒の限界を感じた⼈も多かったのではないでしょうか? やはり
何ごともやり過ぎは良くないということだと思います。原油価格の下落が中⻑期で⽇本経済にプラスに働くことに疑
いの余地は無いと思いますが、あまりにも急激な下げは混乱を招きます。また、⽇銀緩和政策で0.2%台となった⻑
期⾦利もやはりやり過ぎだと思います。
今回のスイスフランショックは、今後の⽇本に当てはまるいい教訓として頭の⽚隅に⼊れておくことが⼤事だと思い
ます。
(⽶ドル)
■原油価格の推移(WTI原油先物)
160
(⽶ドル)
160
(1983年3⽉〜2015年1⽉)
120
120
四半期ベース(左軸)
25四半期移動平均終値(右軸)
75四半期移動平均終値(右軸)
80
80
40
40
0
0
1983年
1988年
1993年
1998年
2003年
2008年
2013年
(出所)Bloomberg
■東証33業種値上がり/値下がり上位10業種
前⽉⽐(%)
前⽉⽐(%)
1
ゴム
6.70%
1 その他⾦融
-8.81%
2
空運
3.64%
2 証券
-8.54%
3
医薬品
3.50%
3 鉱業
-8.06%
4
海運
0.85%
4 保険
-7.81%
5
陸運
0.76%
5 鉄鋼
-7.57%
6
情報・通信
-0.39%
6 ⾮鉄
-7.27%
7
⾷品
-1.13%
7 ⾦属
-7.09%
8
サービス
-1.36%
8 パルプ・紙
-6.82%
9
化学
-1.50%
9 ⽯油・⽯炭
-6.71%
-1.94%
10 銀⾏
-6.39%
10 ⽔産・農林
(出所)Bloomberg、株価は2015年1⽉16⽇終値
株式運⽤部
⼩出 修
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