F o c u s

ご参考資料
ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート
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2015 年
1 月号
日本の投資家の皆様へ短期的な投資環境見通し
(1~3 ヵ月程度)を毎月お届けします
年頭にポートフォリオの再点検を
■推奨資産配分
年初の相場はギリシャ問題や原油安など
の不安材料から波乱のスタートとなりまし
たが、米国を主導として世界経済が緩や
かに持ち直していることから、過度に悲観
的になる必要はないと考え、株式に対す
る評価を中立に据え置きます。今後、リス
ク要因が強まった場合には、やや弱気とし
ている債券やゴールドの引き上げを検討
します。
アンダーウエイト
(弱気)
ニュートラル
(中立)
オーバーウエイト
(強気)
先月から
の変化
◀◀ ▷▷
株式
債券
ゴールド
■推奨通貨配分(対円)
米ドル
ギリシャが総選挙を経てユーロを離脱す
る可能性は限定的と見られるものの、当
面の不安定要因であることには変わりなく、
ユーロの評価を中立から一段階引き下げ
やや弱気とします。また新興国・資源国の
信用リスクが上昇していることから、これら
の通貨に対するやや弱気評価を継続しま
す。
ユーロ
◀
豪ドル
ブラジルレアル
世界高配当公益株式
■推奨ポートフォリオ配分
新興国高配当株式
ギリシャ問題や原油安などから先行き不
透明感が強まっていることから、株式・債
券ともに比較的先行きを見通し易い戦略
へのポートフォリオ組み換えを推奨します。
具体的には、新興国や資源国関連の戦
略を一律に引き下げる一方、財務内容が
安定している優良先進国国債をやや弱気
から 2 段階引き上げてやや強気とし、マク
ロ経済の影響を受け難いバイオ医薬品株
式を弱気からやや弱気へ引き上げます。
また、市場占有率が高く引き続き安定した
成長が見込まれる内外株式に投資する、
世界メジャー・プレイヤー企業株式や日本
ナンバーワン企業株式戦略も、前向きな
評価を継続します。
◀
バイオ医薬品
関連株式
▷
世界メジャー・プレイヤー
企業株式
日本ナンバーワン
企業株式
プレミアム・ブランド
企業株式
優良先進国国債
(円ヘッジ)
▷▷
新興国国債
(円ヘッジ)
◀
資源国国債
◀
金
ピクテ投信投資顧問株式会社
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
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Focus
ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト
今月の投資環境
また、ユーロ圏でも景況感が久しぶりに前月比でプラ
スに転じるなど、景気安定の兆しが見られます。しかし域
内のデフレ圧力は依然として強く、欧州中央銀行(ECB)は
持ち直しの動きが続く世界経済
2015 年 1-3 月中にも国債買取りを含む本格的な量的緩和
に踏み切るものと見ています。中国では景気の減速感が
ピクテの世界景気先行指数は 2 ヵ月連続で改善を示し
ています。米国では原油価格の下落が消費者支出を押し
上げている他、製造業活動も拡大しており、労働市場も改
善が続いています。2014 年 7-9 月の GDP(国内総生産)も
前期比年率+5.0%と11年ぶりの高成長を記録するなど、引
続いていますが、建設活動指数が5 ヵ月連続で改善を示す
など、一連の規制緩和効果が現れ始めています。さらにピ
クテは中国人民銀行が今年前半にも預金準備率の引き下
げなどの追加金融緩和に踏み切ると見ており、景気の下
支え効果が期待されます。
き続き世界経済を力強くけん引しています。消費増税のダ
ギリシャ総選挙を巡るシナリオ
メージから 2 四半期連続でマイナス成長となった日本経済
も、企業部門を中心に景況感が上向きつつあります。先の
衆院選で自公連立政権が勝利し、安倍政権が本腰を入れ
そうした中、2015 年1 月25 日に行われるギリシャの総
て経済対策に取り組む環境が整ったことも、景気の先行き
選挙に注目が集まっています。ギリシャでは 2012 年に政
に期待を持たせる材料となるでしょう。
権についたサマラス首相の下、公務員削減などの緊縮策
ピクテ世界景気先行指数
(月次、期間:2012年11月~2014年11月)
が推し進められ、国家財政は改善に向かっていました。一
方で失業率が 25%に達するなど国民生活は疲弊しており、
厳しすぎる緊縮策の見直しを訴える最大野党の急進左派
連合(シリザ)への支持率が高まっています。市場はシリザ
が政権に就いた場合、ギリシャのユーロ離脱論が再び高
まりかねないと警戒しています。
シリザの目標はあくまでも EU(欧州連合)からの債務
を一部減免してもらい緊縮財政を緩和することであり、ユ
ーロ離脱が狙いではありません。しかし EU の盟主である
ドイツは、ギリシャが現状の財政再建策を放棄するのなら
ユーロには留まれないとの立場を崩しておらず、債務減免
とユーロ残留の二兎を追うシリザの要求を受け入れること
はないでしょう。つまりギリシャには、厳しい財政再建を継
続するか、ユーロから離脱するかの二者択一しかないの
です。
※世界景気先行指数はピクテが独自で算出している指数
出所:ピクテ・アセット・マネジメントのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
ギリシャ国民の 7 割がユーロ残留を希望しているとい
う現実を考えれば、仮にシリザが選挙に勝利したとしても、
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結局は財政再建路線を踏襲せざるを得ないとピクテは見
ています。ただしシリザのツィプラス党首がユーロ離脱をも
辞さない強硬派であることを考えれば、EUとの交渉が決裂
遠くのものは避けよ
すればギリシャがユーロを離脱する可能性も無いとは言
いきれません。その場合は金融市場への影響が警戒され
2015 年の相場はギリシャ問題や原油安といった不安
ますが、銀行監督権限が ECB に一元化されたことや、ギリ
材料から波乱の幕開けとなりました。しかし冒頭に申し上
シャ向け債権の保有者が既に民間から公的部門へと移っ
げたように、世界経済のけん引役である米国経済の好調
ていることから、危機が連鎖的に伝播するリスクは以前ほ
が損なわれているわけではなく、過度に悲観的になる必要
ど高くないとの見方もあります。いずれにせよギリシャの
はないように思われます。また、今世界で起きている出来
総選挙は欧州の不安材料であることに変わりなく、目先の
事は、欧州や一部の新興国・資源国にとっては重大な問題
ユーロや欧州株は値動きの激しい展開となるでしょう。
とは言え、全ての市場が同じ影響を受けるわけでもありま
せん。例えば原油安は産油国にとっては災難でしょうが、
拡大しつつあるソブリンリスク
石油輸入国にとっては天恵であるように、資産クラスや市
場毎に明暗がはっきり分かれる状況です。
さらに新興国・資源国の一部で信用リスクが拡大し始
こうした状況では、投資している資産がどのようなリス
めている点にも警戒が必要です。国の信用リスクを反映す
クに晒されているかを認識して選別する必要があります。
るクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を見ると、原油価
株式投資で巨額の富を築いた著名投資家のウォーレン・
格の大幅な下落によって苦境に陥っている産油国のロシ
バフェット氏は、事業内容が自分で理解できる会社の株以
アやベネズエラでは、信用リスクが過去 3 ヵ月で 2 倍以上
外は一切投資しないと言います。バフェット氏は自分が投
に急拡大しています。また親ロシア派勢力との戦闘によっ
資している企業を良く理解していたからこそ、株価下落局
て危機的な財政状態にあるウクライナや、ブラジル石油公
面でも慌てることなく、また好機と判断すれば自信を持って
社における汚職事件の影響などで株価下落が続くブラジ
買い増すことができたのでしょう。まさに「遠くのものは避
ルでも、信用リスクが悪化傾向にあります。
けよ」という相場の格言を地で行く投資スタイルです。
高い成長力がある新興国や豊富な天然資源を有する
ギリシャ問題や原油安の影響が思わぬ波乱をもたら
資源国は、長期的に見て有望な投資対象であることに変
しかねない今は、馴染みが薄くて縁遠い資産はなるべく避
わりありませんが、短期的な価格変動リスクも大きいという
けた方が無難です。「未(いまだ)」という字を充てる未年
点は改めて申し上げるまでもありません。加えて、今年は
(ひつじどし)は辛抱の一年といわれるように、価格変動の
米連邦準備制度理事会(FRB)が年央にも利上げに踏み切
要因が自分で判断できる身近な資産に狙いを定め、価格
ると見られており、これまで潤沢な資金供給を背景に本来
下落によって割安感が出てきたところを辛抱強く拾う投資
の価値以上に買い上げられてきた資産に変調を来す可能
が実を結ぶ一年になると見ています。
性もあります。これまで何度か当レポートでも指摘させて
頂きましたが、バンクローンやハイイールド債券など、割高
(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容
感が見られる資産にも重ねて警戒が必要です。
が変更される場合があります。)
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参考データ
世界の主要株価、外為、債券、商品市況 (2014年12月)
世界の主要株式市場
(米)NYダウ工業株30種
(米)ナスダック総合指数
(日)TOPIX
(日)日経ジャスダック平均
(欧)ユーロ・ストックス50種
(英)FTSE100指数
(中国)上海総合指数
(香港)ハンセン指数
(ブラジル)ボベスパ指数
(インド)SENSEX30指数
(ロシア)RTS指数$
(世界)MSCI世界株価指数
(新興国)MSCI新興国株価指数
当月末
17,823
4,736
1,408
2,364
3,146
6,566
3,235
23,605
50,007
27,499
791
-
前月末
17,828
4,792
1,410
2,360
3,251
6,723
2,683
23,987
54,724
28,694
974
-
前年末
16,577
4,177
1,302
2,053
3,109
6,749
2,116
23,306
51,507
21,171
1,443
-
月間騰落率
-0.0%
-1.2%
-0.2%
+0.2%
-3.2%
-2.3%
+20.6%
-1.6%
-8.6%
-4.2%
-18.8%
-0.9%
-2.7%
年初来騰落率
+7.5%
+13.4%
+8.1%
+15.1%
+1.2%
-2.7%
+52.9%
+1.3%
-2.9%
+29.9%
-45.2%
+7.7%
+2.5%
東京外為(対円、TTM)
米ドル
ユーロ
英ポンド
スイスフラン
豪ドル
加ドル
当月末
120.55
146.54
187.03
121.80
98.07
103.63
19.33
前月末
118.23
147.20
185.73
122.51
100.71
104.22
19.31
前年末
105.39
145.05
173.76
118.20
93.24
98.42
17.36
月間騰落率
+2.0%
-0.4%
+0.7%
-0.6%
-2.6%
-0.6%
年初来騰落率
+14.4%
+1.0%
+7.6%
+3.0%
+5.2%
+5.3%
+0.1%
+11.3%
45.10
1.91
2.04
3.67
10.38
46.07
1.93
2.39
3.61
10.76
44.55
1.72
3.24
3.20
10.01
-2.1%
-1.0%
-14.6%
+1.7%
-3.5%
+1.2%
+11.0%
-37.0%
+14.7%
+3.7%
当月末
2.18%
0.33%
0.54%
2.81%
0.25%
0.10%
0.05%
前月末
2.20%
0.42%
0.70%
3.10%
0.25%
0.10%
0.05%
前年末
3.01%
0.74%
1.94%
4.26%
0.25%
0.10%
0.25%
月間変化幅
-0.02%
-0.09%
-0.16%
-0.29%
+0.00%
+0.00%
+0.00%
年初来変化幅
-0.83%
-0.41%
-1.40%
-1.45%
+0.00%
+0.00%
-0.20%
当月末
53.45
1,186.33
前月末
65.94
1,181.97
前年末
98.55
1,207.85
月間騰落率
-18.9%
+0.4%
年初来騰落率
-45.8%
-1.8%
中国元※
※
ブラジルレアル
インドルピー
ロシアルーブル
タイバーツ
南アフリカランド
(※トムソン・ロイター・データストリームの参照レートによる)
主要債券市場及び政策金利
米10年国債利回り
日10年国債利回り
独10年国債利回り
豪10年国債利回り
米政策金利(FFレート)
日政策金利(無担コール翌日)
欧政策金利(リファイナンス金利)
商品市況
原油(WTI期近、1バレル、ドル)
金(1オンス、ドル)
※
※
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する権利および公表を停止する権利を有しています。
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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