Focus

ご参考資料
ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート
F o c u s
2016年
8月号
日本の投資家の皆様へ短期的な投資環境見通し
(1~3 ヵ月程度)を毎月お届けします
好天に恵まれた株式市場
■推奨資産配分
アンダーウエイト
(弱気)
株式
株式では、PERがほぼ10年ぶりに米国株
式市場全体の水準を下回り割安感の強
まっているバイオ医薬品関連株式の評価
を1段階引き上げ、やや弱気とします。ス
プレッドの急激な縮小が見られた新興国
国債には利益確定の売りを出すこととし、
評価を中立に引き下げます。また、米国
ハイイールド債券への新規投資を実施し
ました。スプレッドの水準からは依然として
投資妙味がありますが、短期的には買わ
れ過ぎの傾向があるため、評価は中立と
します。
ピクテ投信投資顧問株式会社
先月から
の変化
債券
ゴールド
米ドル
■推奨通貨配分(対円)
■推奨ポートフォリオ配分
オーバーウエイト
(強気)
◀◀ ▷▷
緩やかながら世界経済が成長を続けてい
ることや、各国中銀による緩和的な金融
政策の継続がリスク資産の下支え材料と
なることから、株式のやや強気評価を維
持します。一方、バリュエーションが極め
て割高な水準にある債券の評価は引き続
きやや弱気とします。
イタリアでは、銀行セクターの不良債権問
題に対する懸念が高まっている他、10月
の憲法改正を巡る国民投票の結果次第
では政権運営にも影響があり、政治的な
リスクも意識されます。ユーロの評価は引
き続きやや弱気とします。一方、中国経済
の安定化に伴い商品市況も安定してきて
いること、中央銀行の利下げ姿勢に打ち
止め感も見られることから、豪ドルの評価
を中立に引き上げます。
ニュートラル
(中立)
ユーロ
豪ドル
▷
ブラジルレアル
世界高配当公益株式
新興国高配当株式
バイオ医薬品
関連株式
世界メジャー・プレイ
ヤー企業株式
日本ナンバーワン
企業株式
プレミアム・ブランド
企業株式
▷
欧州株式
ロボ関連企業株式
セキュリティ関連
企業株式
エコ関連企業株式
優良先進国国債
米欧投資適格社債
(中短期)
米国ハイイールド債券
新興国国債
新規投資
◀
資源国国債
ゴールド
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
ご参考資料
Focus
ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト
今月の投資環境
日本では、2016年の経済成長率が潜在成長率の+0.7%
を下回る水準にとどまりそうです。公共投資、民間消費共
に拡大している他、住宅市況が上向いていること、緩やか
緩やかながら世界経済は成長へ
ながら外需にも回復が見られることなどはプラスの材料で
米国では、個人消費の増加や堅調な住宅市況、製造
業活動の安定を背景に景気改善が続いています。ピクテ
では2016年の米国の経済成長率を潜在成長率並みの+2%
と予想していますが、上方修正の余地もあるでしょう。
ユーロ圏では、個人消費の伸びや外需の回復に伴い経済
活動が改善しています。6月下旬の国民投票で英国が欧州
連合(EU)離脱(ブレグジット)を選択したことから、景況感は
心もとない水準ですが、経済は堅調であり、2016年は潜在
成長率を上回る水準である+1.3%の経済成長が可能となる
すが、企業が設備投資を抑制していることが影響しまし
た。
中国経済は、財政、金融、不動産市況といった分野で当局
のサポートが奏功し、安定化の兆しを見せています。もっ
とも、建設活動はピークに達したと見られ、当局が過剰な
借り入れの抑制に動き始めると信用供給の伸びも減速し
ました。その他新興国の経済成長見通しは、中国経済の安
定化、米国の利上げ観測の後退、各国の金融・財政政策
によって下支えされています。
見込みです。もっとも、イタリアの銀行セクターに対する懸
念は晴れません。同国の銀行が抱える不良債権はユーロ
日銀緩和は限界に近付いているのか
圏全体の3分の1の規模に達しており、公的資金の注入も
含めた対策が検討されています。
7月の日銀金融政策決定会合の直前、日本政府は28
兆円規模の財政政策を発表しており、日銀には追加緩和
ピクテ世界景気先行指数
(月次、期間:2014年6月~2016年6月)
4%
で財政拡大をサポートすることが期待されていました。とこ
ろが、今回会合では、ETFの買い入れ額こそ年間3.3兆円
前3ヵ月平均比%
ピクテ世界景気先行指数(年率)
から6兆円へとほぼ倍増したものの、マネタリーベースの
3年移動平均
増加ペースはターゲットである80兆円を維持するとし、国
3%
債やJ-REITの買い入れ方針、政策金利に変更はなく、投
資家の失望を招きました。このような中、市場では日銀の
金融緩和政策が限界に近付いているとの観測も出ていま
2%
す。そもそも、日銀による国債保有残高は既に全体の3分
の1を超えており、長期国債を保有している金融機関が売
却に応じなければ日銀が購入することのできる対象は減っ
1%
ていきます。CP、社債等では市場規模が小さいため、国債
の代替として大規模緩和を受け止めるには力不足です。
0%
14年6月
14年12月
15年6月
15年12月
16年6月
日銀は、今回会合の声明文の中で、次回9月の金融政
※世界景気先行指数はピクテが独自で算出している指数
出所:ピクテ・アセット・マネジメントのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
策決定会合までに「総括的な検証」を行うと述べました。こ
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
1 | ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート| 2016 年 8 月
ピクテ投信投資顧問株式会社
ご参考資料
Focus
ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト
の表現が意味するところを巡って、市場では「追加金融緩
関投資家よりも個人投資家が優先されました。ポルトガル
和を示唆」から「マイナス金利政策の軌道修正」までと、
の事例と同じく、イタリアでも仮に公的資金注入となった場
様々な憶測が流れています。会合後には日本国債が売ら
合、個人投資家が優先的に保護されるかどうかに注目が
れていることから、実質的に日銀緩和の縮小が始まったの
集まります。また、イタリア銀行セクターの動向次第では社
ではないかと、市場が警戒している可能性もあります。
債のスプレッドにも影響が及びそうです。
米連邦準備制度理事会(FRB)が当面追加利上げを据
え置くと見られる他、欧州中央銀行(ECB)は9月の金融政策
悪材料出尽くしは買い
決定会合で2017年3月までとしている資産購入プログラム
の期限を延長すると予想されています。また、8月4日の会
国民投票にて英国がEU離脱を選択したことから、当
合でイングランド銀行(BOE)は、「ブレグジット」対応として
初こそ金融市場は大幅な下落に見舞われたものの、世界
2009年以来となる利下げを実施し、9月には量的緩和を再
の株式市場は反発しており、既に「ブレグジット」前の水準
開すると表明しました。主要国の中央銀行が緩和強化に舵
を上回っています。中でも、米国株式市場は史上最高値を
を切る中にあって、日銀の動向にはより一層注目が集まる
更新しており、震源地である英国の株式市場も上昇に転じ
と見ています。
ています。また、金融市場が混乱したことの副作用として
米国の追加利上げ観測が後退しており、ピクテのメインシ
イタリアの不良債権問題は政権にも影響
ナリオでは少なくとも年内の利上げはないと見ています。
中国の景気見通しが安定してきていることと合わせて、新
興国株式市場を下支えしており、投資家の資金は再び新
イタリア銀行セクターの不良債権は3,600億ユーロと、
興国に向かっています。「悪材料出尽くしは買い」という相
ユーロ圏全体の3分の1の規模に達しています。不良債権
場の格言がありますが、「ブレグジット」というイベントには
処理のため銀行への公的資金注入も検討されていますが、
これが見事に当てはまりました。
公的支援に関するEUのルールでは個人投資家の保有す
る劣後債も減免の対象となる恐れがある点がネックになっ
一方で、イタリアの銀行セクターが抱える不良債権問
ています。憲法改正を巡る国民投票を10月に控え、否決さ
題に対する懸念が高まっていることから欧州株式市場はイ
れれば辞任すると同国のレンツィ首相が表明する中、個人
タリアを筆頭に弱含んでおり、未だに「ブレグジット」前の水
投資家の損失負担は政権の人気低下につながり、レンツィ
準を回復していません。また、7月の日銀会合の結果を受
政権の存続可能性に影響します。イタリア政府とEUとの交
けて日銀緩和が限界に近付いているとの観測も出ており、
渉は難航すると見られます。
円高が進行した他、日本国債の利回りは上昇に転じました。
欧州と日本についてはまだまだ「悪材料出尽くし」とはいか
損失負担に関しては、個人投資家と機関投資家を切り
分けることができるかどうかが焦点の一つであり、ポルト
ないと見られ、秋に向けて不安定な相場環境を覚悟してお
く必要がありそうです。
ガルのノボ・バンコのシニア債の事例が参考になります。
このケースでは、個人投資家向けに販売されたシニア債
(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容
は損失負担の対象外となり、同順位であるにも関わらず機
が変更される場合があります。)
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
2 | ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート| 2016 年 8 月
ピクテ投信投資顧問株式会社
ご参考資料
Focus
ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト
参考データ
世界の主要株価、 外為、 債券、商品市況 (2016年7月)
世界の主要株式市場
当月末
前月末
前年末
月間騰落率
年初来騰落率
(米)NYダウ工業株30種
(米)ナスダック総合指数
(日)TOPIX
(日)日経ジャスダック平均
(欧)ユーロ・ストックス50種
(英)FTSE100指数
18,432
5,162
1,323
2,469
2,991
6,724
2,979
21,891
57,308
28,052
928
-
17,930
4,843
1,246
2,432
2,865
6,504
2,930
20,794
51,527
27,000
931
-
17,425
5,007
1,547
2,648
3,268
6,242
3,539
21,914
43,350
26,118
757
-
+2.8%
+6.6%
+6.2%
+1.5%
+4.4%
+3.4%
+1.7%
+5.3%
+11.2%
+3.9%
-0.3%
+4.0%
+3.9%
+5.8%
+3.1%
-14.5%
-6.7%
-8.5%
+7.7%
-15.8%
-0.1%
+32.2%
+7.4%
+22.5%
+2.0%
+6.1%
当月末
104.42
115.67
137.53
106.63
78.56
79.41
前月末
102.91
114.39
138.41
105.07
76.74
79.57
前年末
120.61
131.77
178.78
121.52
87.92
87.18
月間騰落率
年初来騰落率
+1.5%
+1.1%
-0.6%
+1.5%
+2.4%
-0.2%
-13.4%
-12.2%
-23.1%
-12.3%
-10.6%
-8.9%
※
15.40
15.44
18.53
-0.3%
-16.9%
ブラジルレアル※
インドルピー
ロシアルーブル
タイバーツ
南アフリカランド
31.71
1.56
1.56
2.99
7.39
32.02
1.53
1.62
2.93
6.97
30.41
1.82
1.67
3.34
7.87
-1.0%
+2.0%
-3.7%
+2.0%
+6.0%
+4.3%
-14.3%
-6.6%
-10.5%
-6.1%
(中国)上海総合指数
(香港)ハンセン指数
(ブラジル)ボベスパ指数
(インド)SENSEX30指数
(ロシア)RTS指数$
(世界)MSCI世界株価指数
(新興国)MSCI新興国株価指数
東京外為(対円、TTM)
米ドル
ユーロ
英ポンド
スイスフラン
豪ドル
加ドル
中国元
(※トムソン・ロイター・データストリームの参照レートによる)
主要債券市場及び政策金利
当月末
1.46%
-0.17%
-0.18%
1.91%
0.50%
-0.10%
0.00%
前月末
1.49%
-0.23%
-0.13%
2.02%
0.50%
-0.10%
0.00%
前年末
2.27%
0.25%
0.63%
2.96%
0.50%
0.10%
0.05%
月間変化幅
年初来変化幅
米10年国債利回り
日10年国債利回り
独10年国債利回り
豪10年国債利回り
米政策金利(FFレート)
日政策金利(無担コール翌日)
欧政策金利(リファイナンス金利)
-0.03%
+0.06%
-0.05%
-0.11%
+0.00%
+0.00%
+0.00%
-0.81%
-0.43%
-0.81%
-1.05%
+0.00%
-0.20%
-0.05%
商品市況
当月末
前月末
前年末
月間騰落率
年初来騰落率
41.54
1,349.09
48.27
1,321.07
37.13
1,062.38
-13.9%
+2.1%
+11.9%
+27.0%
原油(WTI期近、1バレル、ドル)
金(1オンス、ドル)
※
※
MSCI 指数は、MSCI が開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利は MSCI に帰属します。また MSCI は、同指数の内容を変更
する権利および公表を停止する権利を有しています。
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
当資料をご利用にあたっての注意事項等
●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推
奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果
等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性,、使用目的への適合
性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金
等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。●登録
金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資そ
の他に係る助言を構成するものではありません。
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
3 | ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート| 2016 年 8 月
ピクテ投信投資顧問株式会社