Focus

ご参考資料
ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート
F o c u s
2015年
4月号
日本の投資家の皆様へ短期的な投資環境見通し
(1~3 ヵ月程度)を毎月お届けします
後退した米国の利上げ観測
アンダーウエイト
(弱気)
■推奨資産配分
ニュートラル
(中立)
先月から
の変化
◀◀ ▷▷
世界経済は米国が一時的に減速している
一方、欧州と日本がけん引役となっており、
全体的には堅調に推移しています。しかし
FRBの利上げ観測が後退していることは
債券相場の支援材料になると思われ、債
券の評価を中立へと引上げます。高値圏
での推移が続く株式については、米国の
企業業績やギリシャ情勢などの不透明要
素も強く、現状の中立評価を維持します。
株式
債券
▷
ゴールド
■推奨通貨配分(対円)
米ドル
ドル高が米国経済に影響を及ぼし始めた
との見方が広がっており、米国景気が一
時的に鈍化していることも考慮すると、米
ドルの評価をひとまず中立に引下げて、
今後の動向を見極めることとします。一方、
売りが一巡した感のあるブラジルレアル
の評価を中立へと引上げます。
ユーロ
◀
豪ドル
ブラジルレアル
▷
世界高配当公益株式
■推奨ポートフォリオ配分
株式では新興国市場に下げ止まり感が出
てきたことから、やや弱気としていた新興
国高配当株式や新興国国債(円ヘッジ)
の評価をそれぞれ1段階づつ引上げます。
一方で年初から大幅に上昇したことで割
高感が強まっているバイオ医薬品関連株
式の評価をやや弱気へと引下げます。
また米ドルの上値が重いとの見方から、
優良財政国債の評価を1段階引下げます
が、新興国通貨に対する確信度が強まれ
ば、代わりに資源国国債の評価を引上げ
ることも検討します。
オーバーウエイト
(強気)
新興国高配当株式
バイオ医薬品
関連株式
▷
◀
世界メジャー・プレイヤー
企業株式
日本ナンバーワン
企業株式
プレミアム・ブランド
企業株式
優良先進国国債
(円ヘッジ)
新興国国債
(円ヘッジ)
資源国国債
(ヘッジなし)
優良財政国債
(ヘッジなし)
▷
◀
金
ピクテ投信投資顧問株式会社
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
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ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト
今月の投資環境
一方、米国では2015年3月の新規雇用者数が12万6千
人増と事前予想を下回る水準に留まり、2月のISM製造業
景況指数も4ヵ月連続で落ち込むなど、景気の力強さに翳
欧州・日本が世界経済をけん引
りが見られます。またガソリン価格の下落によって恩恵を
受けるはずの家計も消費を手控えており、2015年2月の名
ピクテの世界景気先行指数は、欧州と日本をけん引
役に、長期平均を上回る水準にまで改善が進みました。
ユーロ圏では、ドイツの小売売上高の伸びにけん引されて
景気先行指数が改善している上に、欧州中央銀行(ECB)
の積極的な金融緩和によって市中銀行が国債購入よりも
貸出に資金を振り向け始めた結果、域内全体で信用供給
目小売売上高は3ヵ月連続で前月比マイナスと落ち込んで
います。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が
指摘するように、原油安やドル高の影響が実体経済に影
響を及ぼし始めたことが米国の景気減速の背景と考えら
れ、市場では早ければ2015年6月とされていたFRBの利上
げ観測が急速に後退しています。
が大きく伸び始めています。さらに足元のユーロ安を受け
て輸出企業の業績改善が期待されることも追い風となりそ
米企業業績とギリシャ情勢に注目
うです。日本では円安を背景に米国向け自動車輸出が好
調に推移しており、企業の景況感も総じて良好です。個人
ただし米国では悪天候や主要港湾でのストライキなど
消費や物価動向など一部に弱さが見られるものの、労働
一時的要因も重なっており、4月以降にこれらの要因が解
市場は建設業やサービス業を中心に逼迫した状態にある
消された後の景気の強さを見極める必要があります。その
ことから、いずれ賃金上昇を通じて消費刺激効果をもたら
際の手掛かりとして注目したいのは、間もなく本格化する
すと見られます。
米国企業の2015年1-3月期の決算発表です。終わった四
ピクテ世界景気先行指数
(月次、期間:2013年2月~2015年2月)
半期の業績は5年半ぶりの減益が予想されていますが、よ
り重要なのは企業側が示す今後の利益予想です。ビジネ
スの第一線に立つ経営者が今後の事業環境をどう見てい
るかは、景気の先行きを占うだけでなく、株式市場にも大
きな影響を及ぼしそうです。
欧州ではギリシャ情勢の行方に注意が必要です。
2015年2月に欧州連合(EU)が求める緊縮財政の継続が合
意されたことでギリシャ問題は当面の危機を回避したかの
ように思われましたが、その後チプラス首相は国民に過度
な負担を強いる緊縮策は取らないとの従前の主張に逆戻
りしており、EUから金融支援を受ける目処は立っていませ
ん。このままではギリシャの資金繰りが行き詰まり、4月中
にもデフォルト(債務不履行)状態に陥るとの観測もあり、
ギリシャの銀行からは預金流出が加速しています。ユーロ
※世界景気先行指数はピクテが独自で算出している指数
出所:ピクテ・アセット・マネジメントのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
圏財務相会合ではギリシャの預金封鎖や資本規制も検討
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ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト
されている模様で、状況はかなり逼迫しています。ギリシャ
クテは以前から、インフレに負けないためにも株式などリ
が覚悟を決めて改革に乗り出すのか、それともユーロ圏を
スクを取った資産運用で生活防衛を図るようお勧めして参
離脱するのか、いよいよ決断の時が近づいています。
りましたが、実際に食品価格が上昇し始めた今、その必要
性を改めて実感されておられる方も少なくないでしょう。
新興国は悪材料が一巡
そうした中、あるマネー誌を読んでいて、読者の方が
「今から株を買っても大丈夫ですか」と質問している記事が
欧米経済に不透明感が強まる一方で、これまで悪材
料ばかりだった新興国経済からは好材料が聞かれ始めま
した。建設活動や不動産市況の不振から減速傾向が続い
ている中国では、輸出が堅調を維持していることに加え、
中国人民銀行による金融緩和も景気下支え効果が期待さ
れます。ブラジルでは2014年10-12月期の実質国内総生産
(GDP)が前期比+0.3%と予想外のプラス成長となりました。
国民の人気取りに腐心していたルセフ大統領がばらまき
型の財政支出を見直す考えを示し、ブラジルの格下げ懸
目に留まりました。今、日本企業は株主還元の強化などを
通じて自己資本利益率(ROE)の向上を経営目標として掲
げる企業が増えています。企業の経営改革は政府の成長
戦略でも言及されており、さらに年金積立金管理運用独立
行政法人(GPIF)がROEを選考基準とする株価指標を採用
したことも、企業の構造変化を後押ししています。こうした
動きは株式市場にとってプラスであることに間違いはなく、
インフレに備えるという視点と併せて、中長期で株式投資
を検討する方が増えているのもうなずける話です。
念が後退したことも好材料です。
その一方、短期的には日経平均株価の年初来の上昇
為替市場でも、ブラジル中銀が通貨レアルを買い支え
る為替介入を2015年3月末で打ち切ったにも関わらず、レ
アルは安定しています。ロシアの通貨ルーブルも、原油価
格が50ドル近辺で下値固めの動きとなる中、緩やかな反
発に転じています。このように新興国通貨が底堅く推移し
始めたのは、FRBの利上げ観測が後退してドルが対新興
国通貨で軟化し始めたことが直接的な原因ですが、同時に、
売り一辺倒だった新興国市場に一巡感が出てきたことも見
逃せないポイントだと思います。
幅が10%を超えており、短期的には過熱感を警戒すべき
局面のように思われます。しかも質問の内容から、この読
者の方は投資の経験がまだ浅いこと、そして株価が割高
だと感じていることが推察されます。筆者ならこの方にど
のようなアドバイスが出来るだろうか、と考えて思い浮ぶ
のが「二度に買うべし」という相場の格言です。相場の先行
きを正確に言い当てることは誰にも出来ず、ましてや経験
の浅い方であれば尚更、予定資金を複数回に分けて買う
など時間分散を図ることが肝要です。そうすれば仮に最初
に高値掴みをしてしまったとしても、分散した分だけ傷は少
二度に買うべし
なくて済むはずです。ありきたりなアドバイスで恐縮ですが、
一度に全額を投資するのではなく、石橋を叩いて渡るよう
日本ではトヨタ自動車が過去最高となる4千円のベー
な慎重さを持つことが大切だと感じます。
スアップを決定するなど、アベノミクスの効果がようやく家
計にも及ぶと期待されていますが、一方で4月1日からは乳
製品やコーヒー、ケチャップ、食用油など様々な食品価格
(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容
が一斉に値上げされ、私達の暮らしを直撃しています。ピ
が変更される場合があります。)
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参考データ
世界の主要株価、外為、債券、商品市況 (2015年3月)
世界の主要株式市場
(米)NYダウ工業株30種
(米)ナスダック総合指数
(日)TOPIX
(日)日経ジャスダック平均
(欧)ユーロ・ストックス50種
(英)FTSE100指数
(中国)上海総合指数
(香港)ハンセン指数
(ブラジル)ボベスパ指数
(インド)SENSEX30指数
(ロシア)RTS指数$
(世界)MSCI世界株価指数
(新興国)MSCI新興国株価指数
当月末
17,776
4,901
1,543
2,458
3,697
6,773
3,748
24,901
51,150
27,957
880
-
前月末
18,133
4,964
1,524
2,434
3,599
6,947
3,310
24,823
51,583
29,220
897
-
前年末
17,823
4,736
1,408
2,364
3,146
6,566
3,235
23,605
50,007
27,499
791
-
月間騰落率
-2.0%
-1.3%
+1.3%
+1.0%
+2.7%
-2.5%
+13.2%
+0.3%
-0.8%
-4.3%
-1.8%
-0.7%
-0.0%
年初来騰落率
-0.3%
+3.5%
+9.6%
+4.0%
+17.5%
+3.2%
+15.9%
+5.5%
+2.3%
+1.7%
+11.3%
+4.4%
+4.6%
東京外為(対円、TTM)
米ドル
ユーロ
英ポンド
スイスフラン
豪ドル
加ドル
当月末
120.17
130.32
178.07
124.44
92.06
94.78
19.34
前月末
119.27
133.65
183.95
125.10
93.17
95.42
19.07
前年末
120.55
146.54
187.03
121.80
98.07
103.63
19.33
月間騰落率
+0.8%
-2.5%
-3.2%
-0.5%
-1.2%
-0.7%
年初来騰落率
-0.3%
-11.1%
-4.8%
+2.2%
-6.1%
-8.5%
+1.5%
+0.1%
37.52
1.94
2.08
3.70
9.91
41.81
1.95
1.95
3.69
10.35
45.10
1.91
2.04
3.67
10.38
-10.3%
-0.5%
+6.7%
+0.3%
-4.3%
-16.8%
+1.6%
+2.0%
+0.8%
-4.5%
当月末
1.93%
0.40%
0.18%
2.34%
0.25%
0.10%
0.05%
前月末
2.01%
0.34%
0.32%
2.50%
0.25%
0.10%
0.05%
前年末
2.18%
0.33%
0.54%
2.81%
0.25%
0.10%
0.05%
月間変化幅
-0.07%
+0.06%
-0.14%
-0.16%
+0.00%
+0.00%
+0.00%
年初来変化幅
-0.24%
+0.07%
-0.36%
-0.47%
+0.00%
+0.00%
+0.00%
当月末
47.72
1,187.60
前月末
49.84
1,216.57
前年末
53.45
1,186.33
月間騰落率
-4.3%
-2.4%
年初来騰落率
-10.7%
+0.1%
中国元※
※
ブラジルレアル
インドルピー
ロシアルーブル
タイバーツ
南アフリカランド
(※トムソン・ロイター・データストリームの参照レートによる)
主要債券市場及び政策金利
米10年国債利回り
日10年国債利回り
独10年国債利回り
豪10年国債利回り
米政策金利(FFレート)
日政策金利(無担コール翌日)
欧政策金利(リファイナンス金利)
商品市況
原油(WTI期近、1バレル、ドル)
金(1オンス、ドル)
※
※
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