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ご参考資料
ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート
F o c u s
2015年
3月号
日本の投資家の皆様へ短期的な投資環境見通し
(1~3 ヵ月程度)を毎月お届けします
高値更新する株価に強まる過熱感
アンダーウエイト
(弱気)
■推奨資産配分
米国経済にやや弱さが見られるものの、
日本や欧州経済に持ち直しの動きが見ら
れており、ECB が量的緩和を実施すること
で資産価格が下支えされる効果も期待さ
れることから、株式に対する評価を中立に
据え置きます。また欧州を中心にマイナス
利回りが出現していることから、債券に対
するやや弱気評価を継続します。
ニュートラル
(中立)
■推奨ポートフォリオ配分
先進国を中心に株価が高値更新となると
共に相場に過熱感が見られ始めているも
のの、マクロ経済環境とは異なる固有の成
長力を有するバイオ医薬品関連株式や、
世界各国のメジャー企業に幅広く投資する
株式戦略には上値余地があると見られる
ことから、これらの株式戦略の評価をそれ
ぞれ1段階引上げます。一方、今年の成長
見通しを 7%へと引下げた中国を筆頭に、
新興国全般の成長期待が鈍化しているこ
とから、新興国高配当株式の評価を引下
げます。
債券では健全な財政運営が行われている
国債に為替ヘッジなしで投資するファンド
の組入れを今月から開始しました。為替動
向を見ながら次第に組入れを高めて行く方
針です。
先月から
の変化
◀◀ ▷▷
株式
債券
ゴールド
■推奨通貨配分(対円)
欧米の景況感格差が一時的に縮小してお
り、対ドルで既に 2 割以上下落している
ユーロが買戻される可能性が出てきたこ
とから、ユーロの評価を中立へと1段階引
上げます。ドル円は 120 円の壁が厚いも
のの、中長期で見たドル高の方向性に変
わりないことから、やや強気評価を据え置
きます。
オーバーウエイト
(強気)
米ドル
ユーロ
▷
豪ドル
ブラジルレアル
世界高配当公益株式
新興国高配当株式
バイオ医薬品
関連株式
世界メジャー・プレイヤー
企業株式
日本ナンバーワン
企業株式
◀
▷
▷
プレミアム・ブランド
企業株式
優良先進国国債
(円ヘッジ)
新興国国債
(円ヘッジ)
資源国国債
(ヘッジなし)
優良財政国債
(ヘッジなし)
新規組入れ
金
ピクテ投信投資顧問株式会社
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
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Focus
ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト
今月の投資環境
反面、米国では原油安をうけてエネルギー関連の設備
投資の落ち込みや小売売上高の下振れが目立ち始めて
欧州・日本が世界経済に寄与
います。しかしエネルギー関連の投資は米国全体の5%強
に過ぎず、またガソリン支出以外の小売売上高は堅調に
ピクテの世界景気先行指数は原油安の恩恵を受ける
欧州と日本を中心に改善傾向を示しています。ユーロ圏で
は、個人消費および製造業の景況感が上向き、信用の伸
びも急回復しています。欧州中央銀行(ECB)による大胆な
金融緩和策や資産査定(ストレステスト)の終了によって銀
行の貸出態度が緩和され、抑圧されていた資金需要が刺
激されたことも改善に寄与しました。日本では円安と世界
的な需要の回復が輸出を押し上げており、昨年10-12 月期
の国内総生産(GDP)も3四半期ぶりにプラスとなりました。
推移していることを考えると原油安の影響は一時的なもの
と思われ、ピクテは 2015 年の米国経済が 3%台の成長を維
持するとの見通しを変えていません。また、中国では 3 月5
日に開幕した全国人民代表会議(全人代、国会に相当)で
李克強首相が今年の経済成長目標を 7%前後へと引下げ
ました。3 年目となる習体制は腐敗撲滅や金融制度改革な
どの構造問題に優先的に取り組む姿勢を崩しておらず、高
成長を続けてきた中国経済は「ニューノーマル(新たな常
態)」に移行したと言えるでしょう。
春の労使交渉において賃上げが進み、それによって内需
が活性化され、再び企業業績を押し上げるという好循環が
ドル買いに一服も
生まれてくれば、日本経済が持続的成長を遂げるための
環境が整うものと期待されます。
上述のように世界経済は欧州・日本に持ち直しの動き
が見られる一方で米国は一時的に弱含みに転じており、
ピクテ世界景気先行指数
(月次、期間:2013年1月~2015年1月)
「米国一人勝ち」の構図に変化が見られます。中長期的に
は米国経済の好調が持続し、米連邦準備制度理事会(FRB)
が7-9月にも利上げに踏み切るという見通しを変える必要
はないと思われますが、短期的には日米欧の景気格差が
縮小することから、為替市場ではドル買いの動きが一服す
る展開も予想されます。特に様々な問題を抱えるユーロは
昨年の高値から対ドルで2割以上も下落しましたが、欧州
連合(EU)がギリシャ支援延長に合意したことやECBが改
めて量的緩和策の概要を示したことを契機に、悪材料出尽
くし感から一時的に反発する可能性があると見ています。
ドル円相場も昨年10月末の日銀の金融緩和で大きく
円安に振れた後は120円台の壁が厚くなっていますが、こ
れには政府サイドから聞かれ始めた円安けん制発言も影
※世界景気先行指数はピクテが独自で算出している指数
出所:ピクテ・アセット・マネジメントのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
響しているようです。今後の政治日程を考えると、まず4月
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
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ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト
12・26日に統一地方選挙が実施されます。自動車の利用
率が高い地方経済や価格転嫁が容易でない中小企業に
とっては円安のデメリットが大きいため、選挙のことを考え
買いは遅かれ 売りは早かれ
れば今は円安に振れて欲しくない時期でしょう。さらに5月
の連休中には安倍首相の訪米が予定されており、TPP交
より高いリターンを求める資金は各国の株式市場にも
渉妥結を目前に円安に対する不満が聞かれ始めた米国議
流入し、主要先進国の株式市場は高値を追う動きとなって
会に対しても一定の配慮が必要です。こうした事情を考え
います。米国ではナスダック総合指数が15年ぶりとなる
ると、ドル円相場が昨年12月につけた121円85銭の高値更
5,000ポイントを一時回復し、欧州でもユーロストックス600
新にトライする環境が整うのは、4月の統一地方選、5月の
株価指数がリーマン前の高値に肩を並べ、日本では日経
安倍首相訪米という2つの政治日程の後になるかも知れま
平均株価が19,000円に接近しています(3月6日時点)。しか
せん。
し同時に株価のバリュエーション(投資価値評価)は割高に
なっており、世界株式の株価収益率(PER)は2004年以来
マイナス金利の余波
の高水準にあります。業績面でも日本を除いては業績見
通しを上方修正する企業が減っており、短期的には市場の
過熱感が否めない状態です。
ECB は 3 月 5 日の理事会で月額 600 億ユーロの資産
購入計画の具体案を発表し、マイナス利回りの債券をどこ
こうした局面では筆者を含めて多くの投資家がチキン
まで購入するのかという点についてドラギ総裁は「中銀預
ゲームを競っているような心理状態になります。割高だと
金金利まで(現在マイナス 0.2%)」と具体的な目処を示しま
思いながらも相場はまだ上がるので、自分だけ先に相場
した。ECB が今年 1 月に量的緩和策を発表した後、ユーロ
から降りるわけにはいかないと感じるのです。その反面、
圏の国債利回りが急低下し、ドイツやフランス、オランダの
恐怖心から疑心暗鬼になり、ちょっとした悪材料にも過剰
中短期債がマイナス利回りとなっていましたが、今回の発
反応しがちです。このように天井圏での相場はじりじりと上
表で ECB がマイナス利回りの国債買取を容認する考えを
昇して一気に下げるため、「買いは遅かれ、売りは早かれ」
改めて示したことになります。
という相場格言が説得力を持つのでしょう。
このため欧州の投資家の運用難は顕著になっており、
ただし全ての市場に対して割高感を抱く必要はありま
少しでも利回りのある社債市場に資金が向かっています。
せん。たとえば好調な決算発表が続く日本株式や、資源価
しかし BBB 格以上の投資適格社債の利回りは辛うじて 1%
格の下落によって割安感が強まっている一部の資源国な
を上回る程度に過ぎず、より高い利回りを求める投資家は
どがその一例です。先人の経験に学びつつ、冷静に現状
ハイ・イールド債券への投資も拡大しつつあります。欧州
分析することの大切さを、今更ながらに感じます。
のハイ・イールド債券の対国債利回り差(スプレッド)は現
在 3.5%程度で、企業のデフォルトリスクを考慮しても魅力
(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容
的な水準と言えます。ただし米国では FRB が利上げに転じ
が変更される場合があります。)
ると見られることから、米国市場を中心に流動性リスクが
高まる可能性には目配りが必要です。
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参考データ
世界の主要株価、外為、債券、商品市況 (2015年2月)
世界の主要株式市場
(米)NYダウ工業株30種
(米)ナスダック総合指数
(日)TOPIX
(日)日経ジャスダック平均
(欧)ユーロ・ストックス50種
(英)FTSE100指数
(中国)上海総合指数
(香港)ハンセン指数
(ブラジル)ボベスパ指数
(インド)SENSEX30指数
(ロシア)RTS指数$
(世界)MSCI世界株価指数
(新興国)MSCI新興国株価指数
当月末
18,133
4,964
1,524
2,434
3,599
6,947
3,310
24,823
51,583
29,220
897
-
前月末
17,165
4,635
1,415
2,357
3,351
6,749
3,210
24,507
46,908
29,183
737
-
前年末
17,823
4,736
1,408
2,364
3,146
6,566
3,235
23,605
50,007
27,499
791
-
月間騰落率
+5.6%
+7.1%
+7.7%
+3.3%
+7.4%
+2.9%
+3.1%
+1.3%
+10.0%
+0.1%
+21.6%
+5.7%
+3.2%
年初来騰落率
+1.7%
+4.8%
+8.3%
+3.0%
+14.4%
+5.8%
+2.3%
+5.2%
+3.2%
+6.3%
+13.4%
+5.1%
+4.6%
東京外為(対円、TTM)
米ドル
ユーロ
英ポンド
スイスフラン
豪ドル
加ドル
当月末
119.27
133.65
183.95
125.10
93.17
95.42
19.07
前月末
118.25
133.88
178.29
128.35
92.06
93.72
18.79
前年末
120.55
146.54
187.03
121.80
98.07
103.63
19.33
月間騰落率
+0.9%
-0.2%
+3.2%
-2.5%
+1.2%
+1.8%
年初来騰落率
-1.1%
-8.8%
-1.6%
+2.7%
-5.0%
-7.9%
+1.5%
-1.3%
41.81
1.95
1.95
3.69
10.35
43.76
1.93
1.72
3.61
10.25
45.10
1.91
2.04
3.67
10.38
-4.5%
+1.0%
+13.4%
+2.2%
+1.0%
-7.3%
+2.1%
-4.4%
+0.5%
-0.3%
当月末
2.01%
0.34%
0.32%
2.50%
0.25%
0.10%
0.05%
前月末
1.68%
0.29%
0.27%
2.43%
0.25%
0.10%
0.05%
前年末
2.18%
0.33%
0.54%
2.81%
0.25%
0.10%
0.05%
月間変化幅
+0.33%
+0.06%
+0.05%
+0.07%
+0.00%
+0.00%
+0.00%
年初来変化幅
-0.17%
+0.01%
-0.22%
-0.32%
+0.00%
+0.00%
+0.00%
当月末
49.84
1,216.57
前月末
47.79
1,273.24
前年末
53.45
1,186.33
月間騰落率
+4.3%
-4.5%
年初来騰落率
-6.8%
+2.5%
中国元※
※
ブラジルレアル
インドルピー
ロシアルーブル
タイバーツ
南アフリカランド
(※トムソン・ロイター・データストリームの参照レートによる)
主要債券市場及び政策金利
米10年国債利回り
日10年国債利回り
独10年国債利回り
豪10年国債利回り
米政策金利(FFレート)
日政策金利(無担コール翌日)
欧政策金利(リファイナンス金利)
商品市況
原油(WTI期近、1バレル、ドル)
金(1オンス、ドル)
※
※
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出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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