ご参考資料 ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート F o c u s 2016年 12月号 日本の投資家の皆様へ短期的な投資環境見通し (1~3 ヵ月程度)を毎月お届けします 押し寄せる変化のうねり アンダーウエイト (弱気) ■推奨資産配分 ニュートラル (中立) 米大統領選挙で勝利したトランプ氏は減税 およびインフラ支出の拡大を政策として掲げ ており、株式市場には追い風と見ています。 とは言え、「トランプ・ラリー」でバリュエーショ ンは割安な水準にはなく、株式の評価は中 立を維持します。債券は、短期的には金利 上昇の影響が十分に織り込まれたと見られ、 バリュエーション面で投資妙味が出てきたこ とから、一旦評価を中立に引き上げます。 ■推奨ポートフォリオ配分 金利の急騰により、バリュエーション面で投 資妙味の出てきた優良先進国国債の評価 を戦術的に引き上げ、中立とします。同じく、 バリュエーション面で投資妙味の出てきた米 国ハイイールド債券の評価は二段階引き上 げてやや強気とします。一方、ドル高の進行 や米国の次期政権が打ち出している保護主 義的な通商政策は新興国にとってマイナス 材料であることから、新興国国債の評価を やや弱気に引き下げます。 ピクテ投信投資顧問株式会社 先月から の変化 ◀◀ ▷▷ 株式 債券 ▷ ゴールド 米ドル ユーロ 豪ドル ■推奨通貨配分(対円) トランプ次期米大統領の政策は米国経済の 拡大に寄与すると見られ、ドル高基調が続く との判断から米ドルのやや強気評価を継続 します。ユーロは、政治リスクが上値を抑え ると見ており中立評価を継続します。石油輸 出国機構(OPEC)の減産合意を受けて原油 価格は底堅いものの、米国の金利上昇を背 景に新興国からの資金流出も懸念されるこ とから、ブラジルレアルは中立評価を据え置 きます。 オーバーウエイト (強気) ブラジルレアル 世界高配当公益株式 新興国高配当株式 バイオ医薬品 関連株式 世界メジャー・プレイ ヤー企業株式 日本ナンバーワン 企業株式 プレミアム・ブランド 企業株式 欧州株式 ロボ関連企業株式 セキュリティ関連 企業株式 エコ関連企業株式 ▷ 優良先進国国債 米欧投資適格社債 (中短期) ▷▷ 米国ハイイールド債券 ◀ 新興国国債 資源国国債 ゴールド 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 ご参考資料 Focus ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト 日本の景気見通しは改善が続いています。公共投資の 今月の投資環境 拡大や輸出の回復を背景に、景気先行指数は1年ぶりの 水準まで上昇しています。中国の経済成長率は、個人消費 および鉱工業生産が堅調であることから、現在の+6~+7% 改善が続く先進国経済 の水準で安定すると見ています。住宅市場では、当局によ 先進国の景気先行指数は拡大を続けています。米国は、 堅調な個人消費や労働市場、消費者信頼感指数や企業景 る過熱抑制のための取り組みが秩序だって行われている ことから、大幅な調整が起こる可能性は小さいでしょう。 況感指数の改善が続いていることもあって特に活況を呈し ています。もっとも、トランプ次期米大統領が掲げる減税お トランプ大統領の誕生 よびインフラ投資の拡大が米国の経済成長に寄与し始め るのは、早くても2017年後半以降と見ています。 ユーロ圏では、個人消費や企業活動の改善を受けて、 緩やかながらも景気は回復基調にあります。企業の設備 投資こそ抑制されていますが、非金融セクターへの貸し出 しが改善するなど、景気回復に向けて明るい兆しが見られ ます。ピクテでは、ユーロ圏の2017年の経済成長率を+1~ 米国の大統領選挙は、共和党候補のドナルド・トランプ 氏が勝利し、上院・下院共に共和党が過半数を占める結果 となりました。トランプ次期米大統領は減税と大規模なイン フラ投資を政策として掲げており、米国経済の活性化を通 じて株式市場にはプラスになると見られます。一方、トラン プ政権下で米国の公的債務は拡大していくと予想され、イ 1.5%と予想しています。 ンフレ率と金利の上昇によって債券市場にはマイナスと予 想されます。また、トランプ氏はアメリカ第一主義で、極め ピクテ世界景気先行指数 (月次、期間:2014年10月~2016年10月) 4% て保護主義色の強い通商政策を主張しているため、米国 の内需型企業が恩恵を受ける反面、多国籍企業にとって 前3ヵ月平均比% ピクテ世界景気先行指数(年率) は受難の時代となる可能性もあります。 3年移動平均 3% トランプ大統領誕生の影響は新興国にも波及しています。 米国の金利上昇を受けたドル高の進行によって、ドル建て の負債を抱える新興国企業は、借り入れコストの上昇に伴 2% い利益率の縮小に直面すると予想されます。また、トルコ のように、対ドルでの自国通貨の急落を受けて通貨防衛の ために利上げを実施すれば、景気には逆風となります。加 1% えて、ドル高を背景にドルの調達環境が悪化しており、信 用供給の縮小も懸念されます。その他、トランプ政権の通 0% 14年10月 15年4月 15年10月 16年4月 16年10月 ※世界景気先行指数はピクテが独自で算出している指数 出所:ピクテ・アセット・マネジメントのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 商政策は保護主義色が強く、関税率の上昇などを通じて新 興国企業の輸出が打撃を受ける可能性もあります。こうし た懸念を背景に、米大統領戦後の1週間だけを見ても、新 興国株式からは50億ドル、新興国債券からは67億ドルもの 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 1 | ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート| 2016 年 12 月 ピクテ投信投資顧問株式会社 ご参考資料 Focus ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト 資金が流出しています。 首相(当時)が辞任しました。また、イタリアでは、12月4日 に実施された憲法改正を巡る国民投票が否決という結果 流動性供給は引き締めへ に終わり、レンツィ首相は辞意を示しています。米英で先 行して見られた反体制(アンチ・エスタブリッシュメント)の 動きは大陸欧州にも波及しつつあるようです。このような 2017年は、世界の流動性環境が引き締めに転じる年と 中、2017年に目を向けると、オランダの議会選挙、フランス なるでしょう。米国では、12月の米連邦公開市場委員会 の大統領選挙、ドイツの連邦議会選挙など、重要な政治イ (FOMC)で利上げが実施された後、2017年にはさらに2回 ベントが数多く控えています。欧州では、自らの進退を賭 の追加利上げを予想しています。さらに、欧州中央銀行 けた国民投票の結果、既に2人の指導者が退場しており、 (ECB)は、量的金融緩和策を2017年末まで延期するものの、 右派のポピュリスト政党がさらに勢力を拡大していく可能 2017年6月からは月次の債券購入額を現行の800億ユーロ 性は現実味を帯びています。加えて、イタリア政局の混乱 から600億ユーロに減額すると見ています。世界の5大中 により、同国の銀行セクターの再建に遅れが生じるようで 央銀行(米国、ユーロ圏、日本、英国、中国)が供給する流 あれば、新たな信用不安の元となりかねません。 動性は、2017年には8,000億ドルと、2016年の1兆7,000億ド ルから半減すると見られ、2017年の株式市場の株価収益 率(PER)を5~10%程度低下させる可能性があります。 2017年の金融市場は引き続き、トランプ次期米大統領の 政策や欧州の政治情勢次第で大きく動く局面が多々見ら れるでしょう。もっとも、「木を見て森を見ず」という相場の 直近の投資資金の流れを見る限りでは、市場は経済成 格言にもある通り、短期的な相場変動に一喜一憂するので 長を背景としたインフレ率の上昇を織り込んでいるようです。 はなく、相場全体を俯瞰して投資対象を見極めることがよ 米大統領戦後の2週間で、債券ファンドから180億ドルもの り大切な1年となりそうです。世界情勢には大きな潮目の変 資金が流出する一方、米国を中心に株式ファンドには大量 化が見られ、国・地域、セクター別に大きく勝敗が分かれる の資金が流入しているからです。2015年以来、債券ファン 可能性があるのですから。ところで、有望な投資先は意外 ドに2,200億ドルもの巨額の資金が流入したことを考えると、 と身近にあるのかもしれません。日本は、日銀がイールド 中期的には債券から株式へのさらなる資金シフトが進む余 カーブのコントロールを目的として、固定金利で無制限に 地は十分にありそうです。とは言え、流動性供給の減少見 国債を買い入れる「指値オペ」を初めて通告するなど量的 通しは未だ相場に織り込まれていないと見ており、2017年 金融緩和策の継続が期待される他、政治が安定しているこ の相場のかく乱要因の一つになると見ています。 とから、投資先としての不安材料が比較的少ないと見てい ます。 木を見て森を見ず 皆様、本年も当レポートをお読み下さり誠にありがとうござ いました。どうかよい年をお迎え下さい。 2016年は世界情勢が大きく動いた年となりました。11月 の米大統領選挙では、出馬当初は泡沫候補に過ぎなかっ たトランプ氏が勝利を収めました。英国では、6月の国民投 (※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容 が変更される場合があります。) 票で欧州連合(EU)離脱が選択されたことから、キャメロン 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 2 | ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート| 2016 年 12 月 ピクテ投信投資顧問株式会社 ご参考資料 Focus ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト 参考データ 世界の主要株価、 外為、 債券、 商品市況 (2016年11月) 世界の主要株式市場 当月末 前月末 前年末 月間騰落率 年初来騰落率 (米)NYダウ工業株30種 (米)ナスダック総合指数 (日)TOPIX (日)日経ジャスダック平均 (欧)ユーロ・ストックス50種 (英)FTSE100指数 19,124 5,324 1,469 2,668 3,052 6,784 3,250 22,790 61,906 26,653 1,029 - 18,142 5,189 1,393 2,609 3,055 6,954 3,100 22,935 64,925 27,942 989 - 17,425 5,007 1,547 2,648 3,268 6,242 3,539 21,914 43,350 26,118 757 - +5.4% +2.6% +5.5% +2.3% -0.1% -2.5% +4.8% -0.6% -4.6% -4.6% +4.1% +2.4% -2.2% +9.7% +6.3% -5.0% +0.8% -6.6% +8.7% -8.2% +4.0% +42.8% +2.0% +35.9% +4.0% +7.3% 当月末 112.42 119.70 140.46 111.11 84.14 83.68 前月末 104.86 115.05 127.76 106.09 79.59 78.11 前年末 120.61 131.77 178.78 121.52 87.92 87.18 月間騰落率 年初来騰落率 +7.2% +4.0% +9.9% +4.7% +5.7% +7.1% -6.8% -9.2% -21.4% -8.6% -4.3% -4.0% 16.54 15.52 18.53 +6.6% -10.7% 33.69 1.64 1.73 3.16 8.10 33.19 1.57 1.66 2.99 7.60 30.41 1.82 1.67 3.34 7.87 +1.5% +4.5% +4.2% +5.7% +6.6% +10.8% -9.9% +3.6% -5.4% +2.9% (中国)上海総合指数 (香港)ハンセン指数 (ブラジル)ボベスパ指数 (インド)SENSEX30指数 (ロシア)RTS指数$ (世界)MSCI世界株価指数 (新興国)MSCI新興国株価指数 東京外為(対円、TTM) 米ドル ユーロ 英ポンド スイスフラン 豪ドル 加ドル 中国元※ ※ ブラジルレアル インドルピー ロシアルーブル タイバーツ 南アフリカランド (※トムソン・ロイター・データストリームの参照レートによる) 主要債券市場及び政策金利 当月末 2.37% 0.02% 0.20% 2.74% 0.50% -0.10% 0.00% 前月末 1.83% -0.05% 0.08% 2.36% 0.50% -0.10% 0.00% 前年末 2.27% 0.25% 0.63% 2.96% 0.50% 0.10% 0.05% 月間変化幅 年初来変化幅 米10年国債利回り 日10年国債利回り 独10年国債利回り 豪10年国債利回り 米政策金利(FFレート) 日政策金利(無担コール翌日) 欧政策金利(リファイナンス金利) +0.53% +0.07% +0.11% +0.38% +0.00% +0.00% +0.00% +0.10% -0.23% -0.44% -0.22% +0.00% -0.20% -0.05% 商品市況 当月末 前月末 前年末 月間騰落率 年初来騰落率 49.41 1,173.76 46.83 1,273.88 37.13 1,062.38 +5.5% -7.9% +33.1% +10.5% 原油(WTI期近、1バレル、ドル) 金(1オンス、ドル) ※ MSCI 指数は、MSCI が開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利は MSCI に帰属します。また MSCI は、同指数の内容を変更す る権利および公表を停止する権利を有しています。 ※ 出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨 やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等 を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性,、使用目的への適合性 を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等 ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。●登録金 融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その 他に係る助言を構成するものではありません。 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 3 | ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート| 2016 年 12 月 ピクテ投信投資顧問株式会社
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