F ocus

ご参考資料
ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート
F o c u s
2016年
2月号
日本の投資家の皆様へ短期的な投資環境見通し
(1~3 ヵ月程度)を毎月お届けします
日銀のマイナス金利政策の衝撃
■推奨資産配分
株式市場は不安定な動きが続いています
が、世界経済への懸念は行き過ぎと思わ
れる上に、政策発動への期待も強まって
いることから、株式に対する評価を現状の
中立に据え置きます。債券については日
本や欧州でマイナス金利が進み投資妙味
が一段と薄れていることから、やや弱気を
維持します。仮に米国の追加利上げ観測
が大きく後退することがあれば、ゴールド
の比率を引上げることを検討します。
アンダーウエイト
(弱気)
ニュートラル
(中立)
オーバーウエイト
(強気)
先月から
の変化
◀◀ ▷▷
株式
債券
ゴールド
米ドル
■推奨通貨配分(対円)
日銀のマイナス金利政策によって投機的
な円高圧力の抑制効果が見込まれること
から、ユーロの評価をひとまず中立へ戻し
ます。一方、不透明な経済情勢が続く豪ド
ルやブラジルレアルはやや弱気評価を継
続します。
▷
世界高配当公益株式
▷▷
豪ドル
ブラジルレアル
■推奨ポートフォリオ配分
株式については、低成長・低金利の環境
下にあっても安定したリターンが見込まれ
る世界高配当公益株式の評価を中立へと
引上げる一方、増益基調に翳りが見られ
始めた日本ナンバーワン企業株式の比率
をやや弱気へと引下げます。新興国高配
当株式は、原油相場の落ち着きが確認さ
れれば、今後評価を引上げることも検討し
ます。
債券では主要先進国の国債利回りが大
幅に低下して投資妙味が低下している優
良先進国国債をやや弱気に、また米欧投
資適格社債を中立に、それぞれ据え置き
ます。
ユーロ
新興国高配当株式
バイオ医薬品
関連株式
世界メジャー・プレイヤー
企業株式
日本ナンバーワン
企業株式
プレミアム・ブランド
企業株式
◀
欧州株式
優良先進国国債
米欧投資適格社債
(中短期)
新興国国債
資源国国債
金
ピクテ投信投資顧問株式会社
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
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Focus
ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト
今月の投資環境
日本では雇用環境が堅調な一方で鉱工業生産や輸出
が弱含んでおり、経済指標はまだら模様です。春の賃上げ
幅が僅かな額に留まるようだと脱デフレの達成時期が一
景気減速懸念が台頭
段と遠のく可能性があり、今回の日銀のマイナス金利政策
が実体経済へどう影響するかが注目されます。中国では
ピクテの景気先行指数は、世界経済の緩やかな拡大
局面が続いていることを示しています。米国では2015年10
~12月期の実質経済成長率が+0.7%(前期比、年率)に留
まりましたが、個人消費や住宅投資は依然堅調です。米連
邦準備制度理事会(FRB)の利上げやドル高で米国景気が
昨年の経済成長率が6.9%へと減速し、人民元安に伴う資
金流出への不安が高まっています。しかし建設活動や自
動車販売台数は力強い回復を示しており、大量の資金供
給が行われている点を併せて考えれば、中国のビジネス
環境は次第に改善しつつあると言えるでしょう。
腰折れるとの懸念があるものの、ピクテは米国が景気後
退局面に陥る可能性は2割程度に過ぎないと見ており、市
相場反転の契機は
場の悲観は行き過ぎと考えます。欧州では欧州中央銀行
(ECB)による量的金融緩和の効果などから投資が堅調で、
個人消費も上向いています。ただしイタリアの地方銀行で
の不良債権の増加や、欧州連合(EU)離脱の是非を問う英
国の国民投票の行方など、リスク要因への目配りが必要
世界経済の減速懸念が強まる中、2016年の世界の金
融市場は波乱の幕開けとなりました。上述の米国経済や
中国経済への懸念に加えて、下げ止まらない原油相場が
リスク資産の下押し材料となっています。供給過剰懸念を
です。
受けて原油価格は12年ぶりの安値水準となる1バレル30ド
ピクテ世界景気先行指数
(月次、期間:2013年12月~2015年12月)
ルを割り込み、エネルギー株が下げを主導する格好で世
界株式の株価収益率(PER)は14倍を下回る水準まで低下
しました。また米国のハイイールド債券の利回りは、米国
がほぼ8割の確率で景気後退に落ち込むことを前提にした
水準にまで上昇(価格は下落)しています。
このように足下の投資環境はピクテの想定を超えて
悪化していますが、かと言って市場が織り込むほどに実体
経済が悪化しているとは思われません。例えば原油安は
世界中のエネルギー需要が大きく落ち込んでいるからで
はなく、供給側の過剰生産が原因と思われます。また米国
経済への懸念は、FRBの利上げが実体経済を一気に悪化
させたからというより、利上げを機に大量の緩和マネーが
逆回転して株式市場が下落し、企業や家計の景況感が悪
※世界景気先行指数はピクテが独自で算出している指数
出所:ピクテ・アセット・マネジメントのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
化したからと見ています。だとすれば、原油供給側が減産
合意に至ったり、FRBが利上げペースを緩和したりすること
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で、過度に悲観的な見方を織り込んでいる市場が反発する
可能性は十分にあると考えます。
マイナス金利を導入した日銀
戦わざる者は勝たず
ついに日本にもマイナス金利の時代が来てしまいまし
た。個人の預金金利がマイナスになることはなさそうです
が、資産運用の選択肢は一気に狭まります。まず個人向
不透明な経済情勢を受けて各国の財政・金融政策
への期待が再び強まる中、市場を驚かせたのは1月29日
の日銀のマイナス金利政策の導入です。日銀は金利水準
を引下げて融資や投資を促進する狙いから、現在年間80
兆円のペースで国債などの資産買入れ(=量的緩和)を
行っています。しかし実際にはその全てが融資や投資に
向かうわけではなく、残余分は結果的に日銀の当座預金
け国債の募集は停止され、公社債投信の新規購入も中止
されます。一時払い終身保険など貯蓄性の高い保険商品
も販売停止は時間の問題です。高利回りの外国債券に為
替ヘッジ付きで投資しようとしても、ヘッジコストの増加分
で利回りが相殺されてしまいます。大手企業の個人向け社
債は魅力的な選択肢ですが、申込倍率は新規上場株式
(IPO)以上になるでしょう。
に超過準備として積み上げられています。その額は2015
年末時点で220兆円を超えており、日銀はこの超過準備の
うち、昨年の平残を上回る部分(10兆円程度)に▲0.1%の
マイナス金利を課すことにしたのです。
こうした状況で筆者が思いつく最善の資産運用は、各
種ローンの返済です。こんなことを言えばローン推進担当
の方からお叱りを受けそうですが、預金しても利息が得ら
れないのであれば、せめて支払い利息を減らすためにお
マイナス金利発表直後は円安・株高が進行しましたが、
上述のようにマイナス金利が適用されるのはごく一部であ
ることが分かると、相場はすぐに逆戻りしてしまいました。
「緩和効果は3日しか保たなかった」と揶揄される所以です。
しかし債券市場では10年未満の国債利回りは軒並みマイ
ナス(2月4日時点)の状態が続いており、日銀が今後マイ
ナス金利を一段と引下げれば、中短期ゾーンを中心に更
に金利低下が進む可能性があります。2014年12月に同様
の政策を採用したスイスでも当初は政策効果に懐疑的な
金を使ってはいかがでしょうか。また返済すべきローンが
ないという幸せな方には、高配当株式や不動産投資信託
もお勧めです。特に通信や電力、鉄道など公益性の高い
事業会社の場合、銘柄によりますが日本でも1~2%程度
の配当利回りが見込まれる上に、業績悪化による減配リス
クが相対的に低い点も魅力です。なおこれらの事業は巨
額の固定資産を有するため負債比率は相対的に高いです
が、マイナス金利時代の到来で利払い負担が軽減されると
いう「恩恵」も期待できます。
見方がありましたが、わずかな金額に対して大幅なマイナ
ス金利を適用することで短期金融市場に効果的に働きか
けることが出来、為替市場でフラン高を抑制する効果をも
たらしました。一方で長期金利は下げ渋り、結果としてイー
ルドカーブ(利回り曲線)はスティープ(傾斜)化しました。ス
マイナス金利は日本人が誰も経験したことのない事
態ですが、ここで立ち止まるわけには行きません。「戦わ
ざる者は勝たず」という格言にもあるように、思い切って行
動しなければ何も得られない時代が来たようです。
イスの事例を踏まえて考えると、今回の政策の狙いの一つ
は、投機的な円買い圧力を抑制することにあるように思わ
れます。
(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容
が変更される場合があります。)
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参考データ
世 界 の 主 要 株 価 、 外 為 、 債 券 、 商 品 市 況 (2016年 1月 )
世界の主要株式市場
(米)NYダウ工業株30種
(米)ナスダック総合指数
(日)TOPIX
(日)日経ジャスダック平均
(欧)ユーロ・ストックス50種
(英)FTSE100指数
(中国)上海総合指数
(香港)ハンセン指数
(ブラジル)ボベスパ指数
(インド)SENSEX30指数
(ロシア)RTS指数$
(世界)MSCI世界株価指数
(新興国)MSCI新興国株価指数
当月末
16,466
4,614
1,432
2,481
3,045
6,084
2,738
19,683
40,406
24,871
745
-
前月末
17,425
5,007
1,547
2,648
3,268
6,242
3,539
21,914
43,350
26,118
757
-
前年末
17,425
5,007
1,547
2,648
3,268
6,242
3,539
21,914
43,350
26,118
757
-
月間騰落率
-5.5%
-7.9%
-7.4%
-6.3%
-6.8%
-2.5%
-22.6%
-10.2%
-6.8%
-4.8%
-1.6%
-5.5%
-5.3%
年初来騰落率
-5.5%
-7.9%
-7.4%
-6.3%
-6.8%
-2.5%
-22.6%
-10.2%
-6.8%
-4.8%
-1.6%
-5.5%
-5.3%
東京外為(対円、TTM)
米ドル
ユーロ
英ポンド
スイスフラン
豪ドル
加ドル
当月末
120.87
132.17
173.57
119.22
85.66
86.05
18.40
前月末
120.61
131.77
178.78
121.52
87.92
87.18
18.53
前年末
120.61
131.77
178.78
121.52
87.92
87.18
18.53
月間騰落率
年初来騰落率
+0.2%
+0.3%
-2.9%
-1.9%
-2.6%
-1.3%
+0.2%
+0.3%
-2.9%
-1.9%
-2.6%
-1.3%
-0.7%
-0.7%
30.12
1.78
1.58
3.37
7.46
30.41
1.82
1.67
3.34
7.87
30.41
1.82
1.67
3.34
7.87
-0.9%
-2.2%
-5.4%
+0.9%
-5.2%
-0.9%
-2.2%
-5.4%
+0.9%
-5.2%
中国元 ※
※
ブラジルレアル
インドルピー
ロシアルーブル
タイバーツ
南アフリカランド
(※トムソン ・ロ イター ・デ ー タストリー ムの参照レー トによ る )
主要債券市場及び政策金利
米10年国債利回り
日10年国債利回り
独10年国債利回り
豪10年国債利回り
米政策金利(FFレート)
日政策金利(無担コール翌日)
欧政策金利(リファイナンス金利)
当月末
1.93%
0.11%
0.27%
2.70%
0.50%
0.10%
0.05%
前月末
2.27%
0.25%
0.63%
2.96%
0.50%
0.10%
0.05%
前年末
2.27%
0.25%
0.63%
2.96%
0.50%
0.10%
0.05%
月間変化幅
-0.34%
-0.14%
-0.37%
-0.26%
+0.00%
+0.00%
+0.00%
年初来変化幅
-0.34%
-0.14%
-0.37%
-0.26%
+0.00%
+0.00%
+0.00%
商品市況
原油(WTI期近、1バレル、ドル)
金(1オンス、ドル)
当月末
前月末
前年末
月間騰落率
年初来騰落率
33.66
1,117.15
37.13
1,062.38
37.13
1,062.38
-9.3%
+5.2%
-9.3%
+5.2%
※
※
MSCI 指数は、MSCI が開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利は MSCI に帰属します。また MSCI は、同指数の内容を変更
する権利および公表を停止する権利を有しています。
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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