Focus

ご参考資料
ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート
F o c u s
2016年
9月号
日本の投資家の皆様へ短期的な投資環境見通し
(1~3 ヵ月程度)を毎月お届けします
焦点は日米の金融政策
■推奨資産配分
アンダーウエイト
(弱気)
株式
米国の利上げ観測が高まっていること、
年初来のパフォーマンスが堅調であること
から、世界高配当公益株式、新興国高配
当株式の評価をそれぞれアンダーウェイト、
ニュートラルに引き下げ、利益確定の売り
を出すこととします。また、世界経済に拡
大の兆しが見られることから、景気敏感な
特性を持つ日本ナンバーワン企業株式と
ロボ関連企業株式の評価をオーバーウェ
イトに引き上げます。その他、割安感の強
いバイオ医薬品関連株式は、評価をさら
に1段階引き上げてニュートラルとします。
ピクテ投信投資顧問株式会社
先月から
の変化
債券
ゴールド
米ドル
■推奨通貨配分(対円)
■推奨ポートフォリオ配分
オーバーウエイト
(強気)
◀◀ ▷▷
世界経済の拡大が続いていることや、各
国中銀の緩和的な金融政策が下支え材
料となることから、株式のオーバーウェイ
トを維持します。一方、バリュエーションが
極めて割高な水準にあることから向こう
数ヵ月で調整局面が訪れる事態も想定し、
引き続き債券をアンダーウェイトとします。
年内の米追加利上げ観測の高まりを受け
てドルが買われる動きも見られますが、9
月の日銀会合における金融政策の「総括
的な検証」の内容次第では再び円高に振
れる可能性もあり、米ドルの評価はニュー
トラルとします。ユーロについては、イタリ
ア銀行セクターの不良債権問題が依然と
して懸念される他、欧州各国の政治リスク
も意識されると見られ、アンダーウェイトを
継続します。
ニュートラル
(中立)
ユーロ
豪ドル
ブラジルレアル
◀
世界高配当公益株式
新興国高配当株式
バイオ医薬品
関連株式
世界メジャー・プレイ
ヤー企業株式
日本ナンバーワン
企業株式
◀
▷
▷
プレミアム・ブランド
企業株式
欧州株式
ロボ関連企業株式
▷
セキュリティ関連
企業株式
エコ関連企業株式
優良先進国国債
米欧投資適格社債
(中短期)
米国ハイイールド債券
新興国国債
資源国国債
ゴールド
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
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ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト
今月の投資環境
日本では、個人消費に改善の兆しが見られる他、賃
金調整後のインフレ率が上昇しており、景気は回復に向
かっていると言えるでしょう。新興国では、景気先行指数が
拡大基調を強める世界経済
経済の急拡大を示唆しています。特にラテンアメリカ諸国
米国では、2016年4-6月期GDP成長率の改定値が、前
期比年率+1.1%と市場予想並みの水準にとどまりました。し
かし、企業の設備投資が4ヵ月連続で回復するなど、年後
半に向けて景気動向が改善していく兆しは見られます。
2016年下半期の経済成長率は年率で+3.5%に達すると見て
おり、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月に追加利上げを
実施するとしても、ファンダメンタルズの面からは十分に正
ではその傾向が顕著であり、経済成長見通しを引き上げる
可能性もあります。一方、中国の景気動向に対する不透明
感から、アジア経済の見通しは冴えません。中国の景気先
行指数は数ヵ月に渡って改善を続けてきました。しかし、今
後は中国当局の金融・財政政策の効果が剥落するにつれ
て、設備投資や不動産市況が落ち込むリスクもあり、経済
成長が頭打ちになるのではないかと懸念しています。
当化されると考えています。
ユーロ圏では、英国の欧州連合(EU)離脱の影響など
9月の米利上げはあるか?
何もないかのごとく、経済活動の改善が見られます。ユー
ロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)の回復が続いている
ことからは、欧州中央銀行(ECB)の量的金融緩和策が効果
8月26日、ワイオミング州ジャクソンホールでの会合に
て、イエレンFRB議長は堅調な米雇用市場を背景に追加利
を発揮し始めていることが読み取れます。
上げの条件が整ってきたと述べました。また、フィッシャー
副議長も経済指標の内容次第では9月の利上げも有り得る
ピクテ世界景気先行指数
(月次、期間:2014年7月~2016年7月)
4%
と述べており、米国の利上げ観測が高まる結果となりまし
た。このような中、注目を集めていた8月の米雇用統計は、
前3ヵ月平均比%
ピクテ世界景気先行指数(年率)
非農業部門雇用者数が市場予想を下回った他、賃金の伸
3年移動平均
びは鈍化し、失業率は横ばいという内容でした。一方、3ヵ
3%
月平均で見た雇用者数の増加は23万2千人と、「力強い改
善」の目安である20万人を越えており、米国の雇用市場が
依然として堅調であるとの認識に変化は生じていません。
2%
8月の米雇用統計発表を経て、エコノミストの間では米
国の利上げ見通しについて意見が割れています。8月の米
雇用統計は9月の利上げ実施を迫るほど力強い内容では
1%
なく、利上げ先送りは正当化されるとの見方がある一方、
米国の労働市場は健全であり、9月利上げの条件を満たし
0%
14年7月
15年1月
15年7月
16年1月
16年7月
ているとの意見もあります。また、先物市場で織り込まれ
ている9月の利上げ確率を見ると、雇用統計発表前後で
※世界景気先行指数はピクテが独自で算出している指数
出所:ピクテ・アセット・マネジメントのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
34%から32%へとごくわずかに低下しただけであり、先物市
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ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト
場のトレーダーが大きく見方を変えたわけではないことが
いるなどの事例があります。歴史的な低金利環境下で、日
分かります。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上
本企業による超長期債の発行が増加する中、日銀が、現
げが実施されるか否かは不透明ですが、一つはっきりして
状「1年以上3年以下」としている社債の買い入れ対象年限
いるのは米国経済の改善が続いているということでしょう。
を長期化する可能性はあるでしょう。また、黒田総裁は、そ
株式市場の値動きを見ると、ディフェンシブ(景気の変動に
れ以外のアイデアも議論の選択肢から外すべきでないと
左右されにくい)セクターが軟調な一方、景気敏感セクター
述べており、日銀による外国債券の購入観測も出ています。
のパフォーマンスは堅調であり、景気回復を見越して投資
為替介入を目的とする場合は日銀法上認められないとの
家が資金シフトを進めている様子がうかがえます。
認識が当局から示されましたが、裏を返せば金融緩和目
的であれば認められると示唆している可能性もあります。
日銀の「総括的な検証」に対する思惑
9月の日銀金融政策決定会合における「総括的な検証」
について、市場では様々な憶測が流れており、一部では
いずれにせよ、日銀緩和の「総括的な検証」を巡って、
様々な思惑が交錯する展開が予想されます。
ドタバタは避けよ
緩和の縮小も懸念されていました。このような中、9月5日
の講演にて、日銀の黒田総裁は、総括的な検証は緩和縮
今月のFOMCと日銀の金融政策決定会合は、現地時
小方向ではなく、量、質、金利という各次元での緩和拡大
間で9月20、21日の同日開催となります。つまり、FOMCの
は依然として可能であると述べています。つまり、マイナス
決定内容が判明するのは、日本時間では日銀会合の終了
金利の深掘りや国債購入の拡大といった選択肢は温存さ
後です。日本の当局者からFOMCの決定前に追加緩和を
れたと見るべきでしょう。もっとも、マイナス金利に関しては、
行うことは差し控えた方がよいとの発言が出た際に一時円
金融機関の収益に与える影響について言及した他、保険
高が進むなど、日銀の追加緩和に対する思惑で相場が動
会社や年金の運用利回りの低下、退職給付債務の増加に
く局面も見られます。また、今後発表される米経済指標の
よる企業業績への影響などがマインド面で経済活動に悪
内容次第では9月の米利上げ見通しが変化する可能性も
影響を及ぼす可能性などについても触れており、マイナス
あり、不透明な相場環境が今しばらく続くでしょう。
金利の弊害を認識していることを示しました。
日米の金融政策決定会合の結果が出るまでは、様々
日銀による国債保有が既に全体の3分の1を超えてい
な思惑から市場動向が目まぐるしく変わるかもしれません。
ることから、国債購入にはいずれ技術的限界が訪れると予
しかし、「ドタバタは避けよ」という相場の格言にもある通り、
想されるため、質と量の拡大手段として、財投機関債や地
冷静さを欠いて非合理な取引をしてしまっては元も子もあ
方債の購入を開始する、あるいは社債の買い入れ対象を
りません。思惑が外れた時にはどうすべきか、様々なシナ
拡大するといった方法も考えられます。財投機関債の購入
リオを想定しておくことが肝要です。
となれば、政府が発表した総額28兆円の経済対策の資金
調達を支えるという意味合いがあるでしょう。中銀の社債
(※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容
購入については、ECBは買い入れ対象年限を6ヵ月から30
が変更される場合があります。)
年としており、英中央銀行(イングランド銀行、BOE)は3-7年、
7-15年、15年以上の各セクターを均等に買い入れるとして
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参考データ
世界の主要株価、 外為、 債券、 商品市況 (2016年8月)
世界の主要株式市場
当月末
前月末
前年末
月間騰落率
年初来騰落率
(米)NYダウ工業株30種
(米)ナスダック総合指数
(日)TOPIX
(日)日経ジャスダック平均
(欧)ユーロ・ストックス50種
(英)FTSE100指数
18,401
5,213
1,330
2,467
3,023
6,782
3,085
22,977
57,901
28,452
950
-
18,432
5,162
1,323
2,469
2,991
6,724
2,979
21,891
57,308
28,052
928
-
17,425
5,007
1,547
2,648
3,268
6,242
3,539
21,914
43,350
26,118
757
-
-0.2%
+1.0%
+0.5%
-0.1%
+1.1%
+0.8%
+3.6%
+5.0%
+1.0%
+1.4%
+2.4%
+0.2%
+2.6%
+5.6%
+4.1%
-14.1%
-6.8%
-7.5%
+8.6%
-12.8%
+4.8%
+33.6%
+8.9%
+25.5%
+2.3%
+8.9%
当月末
103.18
114.95
134.90
104.87
77.51
78.69
前月末
104.42
115.67
137.53
106.63
78.56
79.41
前年末
120.61
131.77
178.78
121.52
87.92
87.18
月間騰落率
年初来騰落率
-1.2%
-0.6%
-1.9%
-1.7%
-1.3%
-0.9%
-14.5%
-12.8%
-24.5%
-13.7%
-11.8%
-9.7%
中国元※
15.49
15.40
18.53
+0.6%
-16.4%
ブラジルレアル※
インドルピー
ロシアルーブル
タイバーツ
南アフリカランド
31.99
1.54
1.58
2.98
7.11
31.71
1.56
1.56
2.99
7.39
30.41
1.82
1.67
3.34
7.87
+0.9%
-1.3%
+1.3%
-0.3%
-3.8%
+5.2%
-15.4%
-5.4%
-10.8%
-9.7%
前月末
1.46%
-0.17%
-0.18%
1.91%
0.50%
-0.10%
0.00%
前年末
2.27%
0.25%
0.63%
2.96%
0.50%
0.10%
0.05%
月間変化幅
年初来変化幅
米10年国債利回り
日10年国債利回り
独10年国債利回り
豪10年国債利回り
米政策金利(FFレート)
日政策金利(無担コール翌日)
欧政策金利(リファイナンス金利)
当月末
1.57%
-0.07%
-0.13%
1.85%
0.50%
-0.10%
0.00%
+0.11%
+0.11%
+0.05%
-0.06%
+0.00%
+0.00%
+0.00%
-0.70%
-0.32%
-0.76%
-1.11%
+0.00%
-0.20%
-0.05%
商品市況
当月末
前月末
前年末
月間騰落率
年初来騰落率
44.68
1,307.93
41.54
1,349.09
37.13
1,062.38
+7.6%
-3.1%
+20.3%
+23.1%
(中国)上海総合指数
(香港)ハンセン指数
(ブラジル)ボベスパ指数
(インド)SENSEX30指数
(ロシア)RTS指数$
(世界)MSCI世界株価指数
(新興国)MSCI新興国株価指数
東京外為(対円、TTM)
米ドル
ユーロ
英ポンド
スイスフラン
豪ドル
加ドル
(※トムソン・ロイター・データストリームの参照レートによる)
主要債券市場及び政策金利
原油(WTI期近、1バレル、ドル)
金(1オンス、ドル)
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3 | ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート| 2016 年 9 月
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