ご参考資料 ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート F o c u s 2016年 5月号 日本の投資家の皆様へ短期的な投資環境見通し (1~3 ヵ月程度)を毎月お届けします 政治イベントを前に一旦様子見 アンダーウエイト (弱気) ■推奨資産配分 ニュートラル (中立) オーバーウエイト (強気) 先月から の変化 ◀◀ ▷▷ 世界経済が頭打ちとなる中、企業業績の 減益傾向や内外の政治要因が相場の不 透明要因となっています。このため3月に やや強気へと引上げた株式の評価を一旦 中立に戻し、再びリスクを取る時期を見極 めます。またFRBの利上げ先送りは既に 相場にある程度織り込まれているとの判 断から、債券およびゴールドの評価を据え 置きます。 ◀ 株式 債券 ゴールド 米ドル ユーロ 日銀の追加緩和見送りや米国側からの円 安けん制などを背景に円高圧力が強まっ ており、米ドル、ユーロの評価をやや弱気 に維持します。また、予想外の利下げに 踏み切った豪ドルの評価を一段階引下げ る一方、経常赤字が縮小傾向にあるブラ ジルレアルの評価は中立に据え置きま す。 ■推奨ポートフォリオ配分 株式の評価を中立へと引下げることに伴 い、英国の国民投票を6月に控えて政治リ スクの高まりが懸念される欧州株式の評 価を弱気へと引下げます。債券部分では、 低金利環境の長期化の恩恵を受けやす い新興国国債の評価をやや強気へと一段 階引上げます。 ◀ 豪ドル ■推奨通貨配分(対円) ブラジルレアル 世界高配当公益株式 新興国高配当株式 バイオ医薬品 関連株式 世界メジャー・プレイヤー 企業株式 日本ナンバーワン 企業株式 プレミアム・ブランド 企業株式 ◀ 欧州株式 優良先進国国債 米欧投資適格社債 (中短期) 新興国国債 ▷ 資源国国債 ゴールド ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 ご参考資料 Focus ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト 日本では受注や輸出の落ち込みから製造業の景況感 今月の投資環境 が悪化しており、消費者物価の急低下や消費支出の低迷 などを受けてデフレ懸念が強まっています。日銀が導入し たマイナス金利政策は消費者心理を却って冷え込ませた 世界経済は頭打ち 感すらあり、5月18日に発表される2016年1-3月期の日本 ピクテの景気先行指数は世界経済の頭打ち感が強く なっていることを示しています。これまで成長のけん引役 であった米国では、設備投資の減少や個人消費の鈍化に よって2016年1-3月期の経済成長率は前期比年率で0.5% の伸びに留まりました。ただし年後半に向けて経済環境は 改善すると予想され、ピクテは今年の米国の成長率は2% に達するとの見方を変えていません。ユーロ圏では欧州 の経済成長率は2期連続でマイナスとなる可能性も否定で きません。一方、中国経済には安定化の兆しが見られます。 鉱工業生産は市場予想を上回る伸びを示しており、中国人 民銀行の緩和的な金融政策のおかげで貸出およびマネー サプライが増加しています。中国経済の15%を占める不動 産セクターも回復に転じており、主要都市を中心に不動産 価格が前年比20%以上も上昇しています。 中央銀行(ECB)が3月に行った量的金融緩和の効果もあり、 1-3月期の経済成長率は前期比年率で+2.2%と緩やかな 注目を集める高利回り債券 拡大が続いています。世界的な需要減退はユーロ圏の輸 出企業にとって逆風となりますが、消費者心理の改善と堅 調な個人消費が経済成長のけん引役となっています。 こうした経済情勢を踏まえ、米連邦準備制度理事会 (FRB)は足下の景気判断を「減速」へと下方修正し、4月の 利上げを見送りました。その後発表された4月の雇用統計 ピクテ世界景気先行指数 (月次、期間:2014年3月~2016年3月) 4% でも新規雇用者の伸びが予想に届かず、FRBの利上げは 9月以降にずれ込むことになりそうです。低金利が長引け 前3ヵ月平均比% 世界景気先行指数(年率) ば投資家はインカム狙いの投資行動を強めるのは必至で、 3年移動平均 米国債と比べて6%以上の上乗せ金利がある米国ハイ 3% イールド債券が改めて注目されています。財務内容が悪 化しているエネルギー関連企業が多く組み込まれている 点は気懸かりですが、今の米国ハイイールド債券市場は 2% 企業の倒産確率を実勢以上に悲観的に見込んでおり、割 安な状況にあると思われます。 1% もう一つ米国の利上げ時期が先送りされることで恩恵 を受ける資産にドル建ての新興国国債が挙げられます。 0% 14年3月 14年9月 15年3月 15年9月 16年3月 ※世界景気先行指数はピクテが独自で算出している指数 出所:ピクテ・アセット・マネジメントのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 新興国国債の平均格付けはBBB格とハイイールド債券よ り信用力はあるものの、2013年以降は米国の利上げ観測 を背景に新興国から資金が大量に流出した結果、米国債 からの上乗せ金利は4%程度に拡大しています。しかし 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 1 | ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート| 2016 年 5 月 ピクテ投信投資顧問株式会社 ご参考資料 Focus ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト FRBの利上げペースが緩やかとの見方が強まるにつれて 意し、首相が消費増税の再延期を決断することになれば、 資金が再び新興国へ戻り始めており、国際金融協会によ アベノミクスの推進力が金融政策から財政政策へと移行す れば8週間連続で新興国への資金流入となっています。加 る可能性があるからです。 えて、上述のように中国経済に安定化の兆しが見られ、ブ ラジルの経常収支も改善方向にあるなど、新興国経済の ファンダメンタルズ(基礎的条件)も最悪期を脱しつつあり 相場は理外の理 ます。 世界経済に頭打ち感が広がると同時に、企業業績に 日銀ショックの背景 も減益基調が鮮明になっています。これまではエネルギー や素材セクターの業績悪化ばかりが目立っていましたが、 ここに来て幅広い業種で失望的な決算が見られます。例え 一方で日銀は4月28日の金融政策決定会合で追加金 ば米国ではアップルの2016年1-3月期決算が2003年以来 融緩和を見送りました。熊本地震の影響や110円前後まで で初めての減収となり、米国企業全体では2009年以来とな 進んでいた円高を考えれば日銀が何らかの行動を取ると る前年比マイナス7%の減益になりそうです。日本でも急速 の見方が大半だっただけに、緩和見送りは市場を失望させ、 に進む円高が輸出企業を直撃しており、110円以下の為替 円高・株安を加速させる結果となりました。黒田総裁は追 水準が続けば主力輸出企業だけでも1兆円を越す減益要 加緩和見送りの背景をマイナス金利の効果を見極めるた 因となる見通しです。 めと説明していますが、一方で2%の物価目標の達成時期 を半年ほど後ズレさせており、市場では日銀の意図がわ かりづらいとの声や金融政策の限界論も聞かれます。 ところが減益決算を発表したからと言って株価が必ず しも下落するとは限らず、今回の米国企業の2016年1-3月 期決算についても、直前に業績見通しが大幅に下方修正 もっとも日銀からすれば複雑な政治要因を考慮する必 された結果、実際に発表された業績は事前予想よりはマシ 要があり、奥歯に物が挟まった言い方をせざるを得ない事 だったことから株価は高値圏での推移が続いています。逆 情もありそうです。もしも安倍政権が2017年4月に予定され に好決算銘柄が発表と同時に利食い売りに押されることも る消費増税を再延期して日本国債の格付けがシングルA 珍しくなく、将来を先取りして動く相場を足下で起きている 格から一段と引下げられれば、企業のドル資金調達など 現象だけで説明することが出来ないこともしばしばです。 実体経済に影響が及びかねず、黒田総裁としては金融緩 相場の格言に「相場は理外の理」というものがありますが、 和カードを温存したいと考えるのは当然です。また米国財 この格言は相場が必ずしも理屈通りに動かず、人間の認 務省が日本を為替操作国として監視する考えを示すなどし 識を超えたところに道理があることを私達に教えてくれて て円安けん制を強めていることも、日銀の金融政策の自由 います。あらゆる情報は一瞬にして株価に織り込まれるた 度を狭めている一因と思われます。 め、株価そのものが最も有効な情報であると考えるテクニ カル分析にも通じる考えといえるでしょう。 これら政治要因の行方を占う意味で、5月下旬に行わ れるG7伊勢志摩サミットとその前後の政治動向から目が (※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容 離せません。仮に各国が財政政策に軸足を移すことで合 が変更される場合があります。) 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 2 | ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート| 2016 年 5 月 ピクテ投信投資顧問株式会社 ご参考資料 Focus ピ ク テ の 資 産 運 用 戦 略 マ ンス リ ー レ ポ ー ト 参考データ 世 界 の 主 要 株 価 、 外 為 、 債 券 、 商 品 市 況 (2016年 4月 ) 世界の主要株式市場 (米)NYダウ工業株 30種 (米)ナスダック総合指数 (日) TOPIX (日)日経ジャスダック平均 (欧)ユーロ・ストックス 50種 (英) FTSE100指数 (中国)上海総合指数 (香港)ハンセン指数 (ブラジル)ボベスパ指数 (インド) SENSEX30指数 (ロシア) RTS 指数 $ (世界) MSCI世界株価指数 (新興国) MSCI新興国株価指数 当月末 17,774 4,775 1,341 2,458 3,028 6,242 2,938 21,067 53,911 25,607 951 - 前月末 17,685 4,870 1,347 2,460 3,005 6,175 3,004 20,777 50,055 25,342 876 - 前年末 17,425 5,007 1,547 2,648 3,268 6,242 3,539 21,914 43,350 26,118 757 - 月間騰落率 +0.5% -1.9% -0.5% -0.1% +0.8% +1.1% -2.2% +1.4% +7.7% +1.0% +8.5% +0.7% -0.2% 年初来騰落率 +2.0% -4.6% -13.4% -7.2% -7.3% -0.0% -17.0% -3.9% +24.4% -2.0% +25.6% -1.8% +2.2% 東京外為(対円、 TTM ) 米ドル ユーロ 英ポンド スイスフラン 豪ドル 加ドル 当月末 109.75 124.12 159.48 112.90 83.40 87.19 16.50 前月末 112.68 127.70 161.92 116.74 86.25 86.79 17.38 前年末 120.61 131.77 178.78 121.52 87.92 87.18 18.53 月間騰落率 年初来騰落率 -2.6% -2.8% -1.5% -3.3% -3.3% +0.5% -9.0% -5.8% -10.8% -7.1% -5.1% +0.0% -5.1% -10.9% 31.01 1.66 1.68 3.13 7.61 31.71 1.70 1.65 3.19 7.54 30.41 1.82 1.67 3.34 7.87 -2.2% -2.4% +1.8% -1.9% +0.9% +2.0% -8.8% +0.6% -6.3% -3.3% 中国元 ※ ※ ブラジルレアル インドルピー ロシアルーブル タイバーツ 南アフリカランド (※トムソン ・ロ イター ・デ ー タストリー ム の参照レー トによ る ) 主要債券市場及び政策金利 米 10年国債利回り 日 10年国債利回り 独 10年国債利回り 豪 10年国債利回り 米政策金利( FF レート) 日政策金利(無担コール翌日) 欧政策金利(リファイナンス金利) 当月末 1.82% -0.07% 0.28% 2.52% 0.50% -0.10% 0.00% 前月末 1.79% -0.04% 0.16% 2.50% 0.50% -0.10% 0.00% 前年末 2.27% 0.25% 0.63% 2.96% 0.50% 0.10% 0.05% 月間変化幅 +0.03% -0.03% +0.13% +0.02% +0.00% +0.00% +0.00% 年初来変化幅 -0.45% -0.33% -0.35% -0.45% +0.00% -0.20% -0.05% 商品市況 原油( W TI期近、 1バレル、ドル) 金( 1オンス、ドル) 当月末 前月末 前年末 月間騰落率 年初来騰落率 45.98 1,292.34 38.36 1,234.34 37.13 1,062.38 +19.9% +4.7% +23.8% +21.6% ※ ※ MSCI 指数は、MSCI が開発した指数です。同指数に対する著作権、知的所有権その他一切の権利は MSCI に帰属します。また MSCI は、同指数の内容を変更 する権利および公表を停止する権利を有しています。 出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推 奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果 等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性,、使用目的への適合 性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金 等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。●登録 金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資そ の他に係る助言を構成するものではありません。 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 3 | ピクテの資産運用戦略マンスリーレポート| 2016 年 5 月 ピクテ投信投資顧問株式会社
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