ご参考資料 ピクテ・グローバル・マーケット・ウォッチ 2016年6月15日 グローバル Pictet Global Market Watch 競争力のある眼科薬が業績をけん引するリジェネロン 主要なバイオ医薬品企業であるリジェネロンは、阻害剤の研究・開発で強みを持っています。現在は加齢黄斑変性治療薬アイ リーアが同社の売上の大半を占めていますが、今後、新薬の承認が続くことが予想されており、市場平均を上回る業績の伸びが 期待されます。 リジェネロン:眼の疾患(加齢黄斑変性) 治療薬アイリーアが業績をけん引 図表1: リジェネロンの売上高、営業利益の推移 年次、ドルベース、期間:2005年~2019年、2016年以降は予想 代表的なバイオ医薬品企業であるリジェネロン・ファーマ シューティカルズ(米国)は、長期にわたり順調に業績を伸ば しています。 億ドル 90 80 特に2011年11月に欧米で成人の失明原因の第1位となってい 70 る加齢黄斑変性の治療薬であるアイリーアが承認されて以降、 60 50 2012年から2015年の4年間で売上高は9.2倍となり、当初、赤 40 字が続いていた営業利益についても、2012年以降は黒字が 30 計上されています(図表1参照)。 20 またリジェネロンの今後の業績見通しについても、2016年から 10 2019年にかけて売上高が年率+19%、営業利益が年率+28%で 0 伸びると予想されています(ブルームバーグ集計アナリスト予 -10 売上高 営業利益 (※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更され る場合があります。) 2016年 関節リウマチ治療薬 サリルマブ承認の可能性注 2011年11月 加齢黄斑変性症治療薬 アイリーア承認 予想 05年 有望な治療薬やパイプラインを有し、今後も業績の伸びが期 待されるリジェネロンは、長期にわたりナスダック・バイオテッ ク指数を大きく上回るリターンとなっています(図表2参照)。 2016年年初は、リジェネロンの業績は堅調に推移しているも のの、株式市場全体が調整する中、同社の株価も下落しまし たが、1999年12月末~2016年5月末までのパフォーマンスを 見ると、期間中、リジェネロンの株価は31. 3倍と、ナスダック・ バイオテック指数の3.4倍を大きく上回る上昇となりました。 リジェネロンは、有望な治療薬や今後承認が期待される治療 薬候補を有しており、引き続き市場全体を上回る増収が予想 されており、今後の株価動向が注目されます。 今後4年間で 売上高年率+19%増 営業利益年率+28%増 2015年7月 高コレステロール血症治療薬 プラルエント承認 想平均)。 堅調な業績と有望なパイプラインなどを 受け株価は堅調 2017年 アトピー性皮膚炎治療薬 デュプリマブ承認の可能性注 07年 09年 11年 13年 15年 17年 19年 図表2: リジェネロンとナスダック・バイオテック指数の推移 月次、ドルベース、期間:1999年12月末~2016年5月末 5,000 1999年12月末=100として指数化 4,000 リジェネロン ナスダック・バイオテック指数 3,000 2,000 1,000 0 99年12月 04年12月 09年12月 14年12月 【図表1】注:あくまでも承認の可能性であり、時期のずれや承認されない場合 もあります。 【図表2】※ナスダック・バイオテック指数はトータルリターン 出所:ブルームバーグ、会社資料のデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 データは将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありませ ん。記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として 紹介したものであり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありま せん。 ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 1 4 ご参考資料 Pictet Global Market Watch グローバル アイリーアは加齢黄斑変性治療薬でトッ プの治療薬に 図表3: 重度の加齢黄斑変性の罹患者数(日本、米国) (日本)1998年、2007年、(米国)2010年、2030年、2050年 加齢黄斑変性は欧米で患者が多い眼の病気ですが、近年、 生活の欧米化や高齢化などにより日本でも増加しています。 重度の加齢黄斑変性の罹患者数は、日本では1998年に37万 人でしたが2007年には69万人と86%増加しています。また米国 では2010年に210万人だった患者数が2050年には540万人に まで増加するとの予測がされています(図表3参照)。加齢黄 斑変性には滲出型と萎縮型の2種類ありますが、現在、有効 な治療法が存在するのは滲出型だけです。 滲出型加齢黄斑変性の治療法は、いくつかありますが、その ひとつがアイリーアなどVEGF(血管内皮増殖因子)阻害剤を 使用した治療法です。 滲出型加齢黄斑変性は、眼の網膜にある「黄斑」とういう部分 が網膜のすぐ下にできた新しい血管(新生血管)によりダメー ジを受けることで発症します。正常な網膜にはない新生血管 は非常にもろく、成分の漏出や出血を起こしやすいという特徴 があり、この新生血管から出た液体が視覚障害を引き起こし ています。滲出型加齢黄斑変性の原因となっている新生血管 はVEGFの働きにより活発に成長しますが、アイリーアなど VEGF阻害剤は、VEGFの働きを抑制し新生血管の成長を抑え ることで、視力の低下を抑える効果があります。 アイリーアと競合するVEGF阻害剤としてルセンティス(ロシュ、 スイス)やがんの治療薬としても使用されているアバスチン(ロ シュ、スイス)などがあります。 アイリーアはルセンティスよりも持続性が高いことから投与の 回数が少なくてすむという利点があり、2015年にはルセンティ スの売上高を上回り、滲出型加齢黄斑変性治療薬ではトップ の売上となりました。また今後の売上高見通しでも、アイリー アは2016年から2019年にかけて年率12%で売上が伸びると予 想されています(図表4参照)。 (※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更され る場合があります。) ピクテ投信投資顧問株式会社 米国 日本 80 万人 6 69 60 40 4 37 86%増 5.4 百万人 40年で 2.6倍に 3.7 2.1 2 20 0 0 1998年 2010年 2007年 2030年 2050年 図表4: アイリーアの売上高推移の推移 年次、ドルベース、期間:2012年~2019年、2016年以降は予想 70 億ドル 60 50 40 30 予想 20 10 0 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 【図表3】米国の2030年、2050年は予想 【図表4】アイリーアは、リジェネロン(米国内)とバイエル(米国外)の売上 合計 ※予想は2016年5月30日時点、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均 出所:ブルームバーグ、米国立眼科研究所、厚生労働省、会社資料の データを使用しピクテ投信投資顧問作成 記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として紹 介したものであり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありませ ん。 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 2 4 ご参考資料 Pictet Global Market Watch グローバル 阻害剤で存在感を示す リジェネロン 図表5: リジェネロンのパイプライン 2016年4月現在 フェーズ1 アイリーアの他にも、リジェネロンには阻害剤で既に承認を受 けているものや治験中のパイプラインを含めて有望な治療薬 があります。 プラルエント(仏サノフィとの共同開発)は、「PCSK9」という LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を除去する肝臓の 機能を妨げるタンパク質を阻害する薬(PCSK9阻害剤)で、ス タチン剤(高コレステロール血症治療薬として低価格で広く普 及している)の効き目のない患者などへの限定付きで、2015 年7月に米食品医薬品局(FDA)により承認を受けました。プラ ルエントは高価格なことや競合治療薬の存在などにより、承 認後の販売の立ち上がりは緩やかなものにとどまっています が、現在、リジェネロンが進めているプラルエント使用によって 心臓疾患による死亡を減少させるなどの研究成果が公表(中 間結果が2016年後半、最終結果が2017年)されれば、売上の 大きな伸びにつながる可能性があり、市場で注目されていま す。 開発中の治療薬候補は、適用拡大も含めてフェーズ3が6つ、 フェーズ2が8つ、フェーズ1が2つあり、中でも関節リウマチ治 療薬サリルマブやアトピー性皮膚炎などの治療薬デュピルマ ブが注目です(図表5参照)。 関節リウマチ治療薬のサリルマブ(IL-6阻害剤)は、現在、米 FDAに承認申請中であり、2016年10月30日までに審査結果 が判明する見込みです。アトピー性皮膚炎などの治療薬であ るデュピルマブ(IL-4/13阻害剤)は、2016年4月に中等から重 度のアトピー性皮膚炎の成人に対するフェーズ3治験で目標 達成しており、2016年7-9月期中の米FDAへの承認申請、 2017年中の承認が期待されています。 上に挙げた3つの治療薬(候補含む)の売上高はプラルエント とデュプリマブが2019年にはそれぞれ15億ドル(約1,650億円) 程度、サリルマブについても8億ドル(約880億円)となることが 予想されており、アイリーアと共に同社の業績をけん引する治 療薬となることが期待されています(図表6参照)。 (※将来の市場環境の変動等により、上記の内容が変更され る場合があります。) ピクテ投信投資顧問株式会社 フェーズ2 フェーズ3 ALIROCUMAB*1 デュプリマブ*1 REGN1979 CD20/CD3阻害剤 がん IL-4阻害剤 PCSK9阻害剤 アトピー性皮膚炎(子供)など 心血管転帰 REGN1908-1909 サリルマブ*1 AFLIBERCEPT*2 IL-6阻害剤 非感染性ぶどう膜炎 VEGFトラップ 糖尿病黄斑浮腫を伴わない 糖尿病性網膜症 アレルギー TREVOGRUMAB サリルマブ*1 GDF8阻害剤 骨格筋疾患 IL-6阻害剤 関節リウマチ REGN2176-3*2 デュプリマブ*1 Rinucumab+Aflibercept 漏出性加齢黄斑変性 IL-4阻害剤 アトピー性皮膚炎(成人)など EVINACUMAB REGN2222 Angptl3阻害剤 脂質疾患 RSV阻害剤 RSウィルス REGN910-3*2 Nesvacumab+Aflibercept 眼科 REGN2810*1 FASINUMAB*3 NGF阻害剤 変形性関節炎 PD-1阻害剤 がん FASINUMAB*3 NGF阻害剤 慢性腰痛 *1 サノフィとの共同 *2 バイエルとの共同 *3 田辺三菱製薬との共同 図表6:プラルエント、サリルマブ、デュプリマブの 売上高予想推移 年次、ドルベース、期間:2016年~2019年 20 15 億ドル プラルエント サリルマブ デュプリマブ 10 5 0 16年 17年 18年 19年 【図表5】※売上高予想はブルームバーグ集計アナリスト予想平均 ※サリルマブ、デュピルマブは未承認(2016年5月31日現在) 出所:ブルームバーグ、会社資料のデータを使用しピクテ投信投資顧問 作成 記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考として紹 介したものであり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありませ ん。 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 3 4 ご参考資料 Pictet Global Market Watch グローバル ピクテのウェブサイトでいま注目の マーケット情報がすぐわかる! ピクテ 検索またはこちらのURLをクリック! https://www.pictet.co.jp/top 弊社ホームページのトップ画面からご覧になる場合 お客さまの「知りたいこと」がギッシリと詰まっています。 各市場の動向 注目ニュース 最新の マーケット動向 最新トピック 今後の注目点 下にスクロールして・・・ レポートの一覧へ レポート一覧には、 最新レポートや今知るべきマーケット情報が多数! 業界最多水準のレポートをご用意しています。 最新のマーケット環境 を知りたい 最近話題のトピックを おさえたい いま注目のニュースに ついて理解したい こんなご要望や疑問にお応えできるレポートです! マーケットレポートの一覧へ 当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場 の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将 来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用 目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。 ●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象 ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、 会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。 4 4
© Copyright 2024 ExpyDoc