Pictet Global Market Watch

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ピクテ・グローバル・マーケット・ウォッチ 2016年2月5日発行
グローバル
Pictet Global Market Watch
円高への転換点
萩野 琢英
ピクテ投信投資顧問
今回の円安局面はドル円で130円までは進まず、2015年6月の125.33円が円安のピークだったのかもしれない。
円が今後1年は上昇し100円台まで高くなるリスクを想定する必要がある。
図表1:ドル円の推移とトレンド線、移動平均線
抜け切れなかったドル円
日次、期間:2009年9月末~2016年1月末
円高が進行している。ドル円レートは2012年9月から
の上昇ラインは既に切れていたが、今回、日銀による
マイナス金利政策の導入でも円安は進まず、2月1日の
121.27円から円高に反転し、今日現在(2月5日、9時30
分)117円を割り込んでいる(図表1参照)。
チャート的には一度割り込んだ260日移動平均線
121.10円を抜け切れず、260日移動平均線と520日移
動平均線の間でドル円は推移している。この水準で推
移すると円の買い圧力が強まる可能性がある(図表1
参照)。
相場の転換点
円
130
ドル円レート
120
110
100
90
80
70
09年9月 10年9月 11年9月 12年9月 13年9月 14年9月 15年9月
円
130
ここ30年程度、円高のサイクルと円安サイクルはある
一定の関係を維持してきた。円高の期間が長いと次の
円安サイクルも長く、円高の期間が短いと次の円安の
期間も短いといった具合にである。
今回の円安局面は、2011年10月27日の75.82円から
スタートしており、昨日現在(2016年2月4日)で既に
1,561日経過している、これはその直前の円高局面の
期間が1,588日であったので、ほぼ同じ日数が経過した
ことになる(図表2参照)。
サイクル的な観点ではいつ円高局面になってもおか
しくはない。日銀による一段の緩和政策が実行される
ことで更なる円安の可能性を否定することは出来ない
が、個人的には後述する要因により、2015年6月8日の
125.33円が今回の円安のピーク(前回の円高のピーク
である2011年10月27日から1,320日目)であった可能性
があると考えている。
120
ドル円レート
260日移動平均線
520日移動平均線
110
100
90
80
70
09年9月 10年9月 11年9月 12年9月 13年9月 14年9月 15年9月
図表2:ドル円の推移
日次、期間:1988年9月末~2016年1月末
180
1,827日 1,211日
1,588日 1,320日
160
140
120
<次ページにつづきます>
※将来の市場環境の変動等により、記載の内容が変
更される場合があります。
データは過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証する
ものではありません。
100
80
60
88年9月
93年9月
98年9月
03年9月
08年9月
13年9月
出所:ブル-ムバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
ピクテ投信投資顧問株式会社
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
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貿易収支の改善が円高要因
円高転換と考える理由は貿易収支(過去12ヵ月平
均)が2014年から顕著な改善を示しているからだ。回
復は原油安が主な要因であるが、日本の対外収支は
大きく改善してきているのは事実だ。
バブルが崩壊した1992年以降、貿易収支の動向は
ドル円レートに対して約1年先行して推移してきた。右
のチャートは貿易収支のドル円レートに対する先行性
を見ているが、その関係を判りやすくするために、ドル
円レートの軸を反対にしている。一方、貿易収支はドル
円レートに対して1年先行させている。
1992年から2009年まではこの二つの指数はかなり
高い関係を維持してきた。貿易収支が改善した1年後
に円高に転じ、貿易収支の悪化した1年後に円安に転
じてきたのだ。
貿易統計は実際に日本の税関を通過した物の流れ
を基準に統計値をとっているので、税関を通過して輸
出されたものが各国で販売され、その決済代金が現地
の通貨から円に交換されるまでにタイムラグがある。
そのため貿易収支が為替動向に先行する性格を有し
ていると考えている。
チャートAの黄色の帯びかけをした時期にこの関係
は崩れた(図表3参照)。これは米国FRBと欧州中央銀
行が大胆な量的金融緩和を行い大量の通貨を供給し
た際に、日本銀行は通貨供給量を相対的に抑制した
ため、円高となったと考えている。
仮に日本銀行も円を大量に供給することで、黄色の
帯びかけの時期もドル円と貿易収支の関係が維持さ
れたとすると、チャートBのような動きになると考えられ、
依然としてその関係は維持されている可能性を示唆し
ている(図表4参照)。
図表3:【チャートA】
ドル円レートと貿易収支(12ヵ月平均)の推移
月次、期間:1992年~2016年1月末
貿易収支(12ヵ月平均、億円、1年先行)
円/ドル
40
25,000
60
20,000
80
15,000
100
10,000
120
5,000
140
0
160
180
ドル円レート
-5,000
200
貿易収支(12ヵ月平均)
-10,000
-15,000
220
92年94年96年98年00年02年04年06年08年10年12年14年16年
図表4:【チャートB】
日銀が通貨供給量を2009年2月~2010年5月の
間に抑制しなかった場合のドル円レート(シミュ
レーション)と貿易収支(12ヵ月平均)の推移
月次、期間:1992年~2016年1月末
貿易収支(12ヵ月平均、億円、1年先行)
円/ドル
40
25,000
60
20,000
80
15,000
100
10,000
120
5,000
140
0
160
180
200
ドル円レート
貿易収支(12ヵ月平均)
-5,000
-10,000
-15,000
220
92年94年96年98年00年02年04年06年08年10年12年14年16年
図表4の2009年2月以降のドル円レートは、あくまでシミュレーションで、実際
もし、円高局面に入っているのであれば、少なくとも
1年は続き、3分の1押しで109円の水準まで円が高くな
る可能性はある。
のドル円レートの推移ではありません。
※貿易収支は2015年12月まで
出所:ブル-ムバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
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