改定値から上方修正、前年同期比では3%の高成長(2015/4/1作成)

*グローバル投資環境
No.945*
ご参考資料
髙木証券投資情報部
英国の第4四半期GDP確報値~ 改定値から上方修正、前年同期比
では3%の高成長
2015年4月1日作成
3月31日に発表された英国の昨年第4四半期GDPの確報値は以
下の通り。
・前期比0.6%増
改定値の0.5%増から上方修正。第3四半期は0.6%増
・前年同期比3.0%増
前期比
改定値の2.7%増から上方修正。第3四半期は2.8%増
・2014年通年は2.8%増、改訂値の2.6%増から上方修正
第4四半期の成長率(前期比)を支出項目別でみると、GDPの
押し上げ、改定値からの上方修正の双方の点から貢献度が高
かったのは家計最終消費支出と純輸出である。
前年同期比
家計最終消費支出の伸びは第3四半期の1.0%増から鈍化はし
たものの、改定値の0.5%増から0.6%増に上方修正され、GDPを
0.4%押し上げた。原油価格の下落などによるインフレ率の低下
に伴って、家計の実質可処分所得が前期に比べ1.4%増加したこ
とが、個人消費の堅調さの背景にあるように思われる。
一方、輸出が改定値の3.5%増から4.6%増に上方修正され
(輸入も1.3%増から1.6%増に上方修正)、純輸出はGDPを
0.9%押し上げている。
英国の通貨ポンドは昨年7月にかけて、総裁が昨年中の利上
げの可能性を示唆するほどに中銀の姿勢が「タカ派」に傾いて
いたことを背景に、先進国の通貨の中では屈指のパフォーマン
スを示していたが、夏場以降は中銀のスタンスが徐々に「ハト
派」色を帯びるのに連れて下げに転じ、その後は米国の利上げ
に対する思惑を背景にした米ドル全面高の中で、足下では昨年
初めの水準さえ下回っている。
ところで、低下を続けていた英国の消費者物価上昇率は3月
にはついに前年同月比0%に落ち込んだが、中銀のカーニー総
裁はそれ以前の2月12日に行った講演でインフレ率がマイナス
に転じる可能性を認めながらも、「食品とエネルギー価格下落
の影響が薄れた後、出来るだけ早くインフレを目標に戻すべき
であり、それは来たるべき年における利上げのペースと度合い
を調整することで可能になる」と述べているのは興味深い。現
在、米国の金融政策が為替市場の鍵を握っているが、米国の利
上げ時期の後ずれが意識されたり、利上げ開始の時期にかかわ
らず、そのペースがゆっくりとしたものになるとの見方が強ま
る場面では、米国以外の先進国で唯一、中銀が利上げを視野に
入れている国の通貨であるポンドが注目される可能性があろう。
(文責:勇崎 聡)
(出所:英国国家統計局、英中銀及びBloombergより髙木証券作成)
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