堅調な成長続く(2015/12/11作成)

*グローバル投資環境
No.1218*
ご参考資料
髙木証券投資情報部
トルコの第3四半期GDP~減速との市場予想に反し、堅調な成長続く
2015年12月11日作成
トルコ統計局が12月10日に発表した第3四半期のGDP成
長率は前年同期比4.0%増となり、第2四半期の同3.8%増
から2.7%増への鈍化をみていた市場予想を大幅に上回っ
た。
《成長率の推移》(前年同期比、%)
成長率を支出項目別でみると、政府最終消費支出が第2
四半期の7.2%増から7.8%増に拡大、家計最終消費支出が
第2四半期の5.5%増から3.4%増に鈍化したものの一定の
伸びを確保する一方、総固定資本投資は第2四半期の9.7%
増から0.5%の減少に転じた。また、輸出は第2四半期の
1.9%減から0.6%減に落ち込みが和らぐ一方、輸入が1.5%
増から1.0%の減少に転じた結果、外需の寄与度は改善し
ており、11月24日に開かれた金融政策委員会の声明文で
示された「成長の組み合わせは、EU経済からの需要に支え
られた純輸出にシフトした」という中銀の見方に概ね符合
している。
《需要項目別GDPの四半期推移(前年同期比、%)》
家計最終 政府最終 総固定資
GDP
輸出 輸入
消費支出 消費支出 本投資
2014/1Q
5.1
2.6
9.2 -0.3 11.2
0.7
2014/2Q
2.4
0.5
2.5 -3.5
5.6 -4.3
2014/3Q
1.8
0.1
6.6 -0.4
7.8 -1.6
2014/4Q
2.7
2.5
2.0 -1.0
3.3
4.7
新興国の経済はこのところ国ごとの格差が目立っている 年間
2.9
1.4
4.7 -1.3
6.8 -0.2
が、その中でトルコは一定の成長を持続しているほか、6 2015/1Q
2.5
4.6
2.5
0.4 -1.0
4.0
月に行われた総選挙で従来の与党である公正発展党
2015/2Q
3.8
5.5
7.2
9.7 -1.9
1.5
(AKP)が第一党を維持したものの、単独過半数に届かず、 2015/3Q
4.0
3.4
7.8 -0.5 -0.6 -1.0
三つの野党との連立交渉も物別れに終わったことで、新た 1~3Q累計 3.4 4.5 5.9 3.3 -1.0 1.4
な政権が樹立できなかったことを受けて11月1日に実施さ
れた再選挙で、公正発展党が全議席(550議席)の過半数
(276議席)を大きく上回る316議席を獲得、政治的な空
白に終止符が打たれたことで、6月から8月にかけてみら
れたような新興国の通貨の中でトルコリラが相対的に大き
な売り圧力を受ける状況は想定しにくくなったと思われる。
《リラ/米ドル(右軸)と円/リラ(左軸)》
但し、大手格付け会社のうちフィッチは11月2日付けの
レポートで、エルドガン大統領が権限の拡大を意図してい
ることを背景に、政治的な緊張は続くとの見方を示してい
るほか、ムーディーズも「政府が断固として、成長のサ
ポートに必要な経済改革に乗り出すことに対する目に見え
る兆しがみえない」として格付け「Baa3」に対する見通
しを「ネガティブ」で据え置くなど、格付け会社はトルコ
について引き続き厳しい目を注いでいるようだ。
(文責:勇崎
聡)
(出所:トルコ統計局及びBloomberg等より髙木証券作成)
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