KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date URL CHARACTERIZATION OF CARBONIZED WOOD AND ITS APPLICATION TO THE ADSORPTION OF HEAVY METALS( Abstract_要旨 ) Lilibeth Pulido Novicio Kyoto University (京都大学) 2000-03-23 http://hdl.handle.net/2433/181068 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University リ 氏 名 リ ベ ス プ リ ド ノ ビ シ オ Li l i be t h Pul i do No vi ( : i o 学位( 専攻分野) 博 士 ( 農 学) 学 位 記 番 号 農 博 学位授与の 日付 2年 3 月 2 3日 平 成 1 学位授与の要件 学 位 規 則 第 4 条 第 1項 該 当 研 究 科 ・専 攻 農 学 研 究 科 森 林 科 学 専 攻 学位論文題 目 CHARACTERI ZATI ONOFCARBONI ZEDWOODANDI TSAPPLI CATI ON TOTHEADS ORPTI ONOFHEAVYMETALS 第 1 1 3 2号 ( 木 質 炭 化 物 の特性 と重 金 属 吸 着 - の応 用 ) ( 主 論文調査委員 査) 教 授 今村祐嗣 論 教 授 則元 文 内 容 の 京 要 教 授 川井秀一 旨 近年,廃水中の有害物質,特 に重金属による汚染が社会的な問題 となってお り,それ らを除去 して水質を浄化することは 重要な課題である。一方で,林業 ・林産業では間伐材や廃材の効率的利用が求 め られてお り, その一つ として木質炭化物, すなわち木炭の環境浄化材料 としての利用が考え られる。本論文 は,木質を焼成することよって得 られる木炭の吸着性能に 関係す る化学的,物理的,組織構造的な特性を解明 し,それを踏 まえて,水中に溶解する重金属の吸着材料 としての利用を 検討 した もので,内容 は以下のように要約 される。 1.窒素雰囲気中で従来方式 によって熱処理を行 う 1段階炭化法 ( 以下 1段法)で木材 (スギ材)を処理 した場合,重量 減少 は 2 0 0 ℃までは少な く,300℃にかけて急激に起 こり,その後徐々に進行 し 700- 1000℃でほぼ安定 した。一万,600℃ ℃ で通常の炭化後再 び高温域で熱処理を行 う 2段階炭化法 ( 以下 2段法)では,重量減少 はやや生 じるものの 8 0 0 以上では ほとんど認め られなか った。 2.1段法で処理 した場合,窒素吸着法か ら求めた比表面積および空隙体積 は炭化温度の上昇 に伴 って大 きくなり,7 0 0か ら8 0 0 ℃で ピークに達 し,その後 900℃付近か ら再 び減少す る傾向を示 した。一万, 2段法では,比表面積および空隙体積 0 0 0 ℃付近で最大 に達 した後,再 び減少 した。 の値がより大 きくな り,かつ ピークが高温側 にシフ トして 1 3.環境制御型走査電子顕微鏡を用 い,加熱下での動的直接観察 を行 ったところ,2 0- 4 0 0 ℃でまではほとん ど変化がみ ℃ られなか ったが,4 0 0か ら 5 0 0 にかけて顕著な細胞の収縮が認め られた。しか し,細胞形状や配列 に著 しい変化 は観察 され ず,この様子 は 1 0 0 0 ℃以上の炭化温度で も同様であった。この傾向は,昇温速度を変化 させて もほぼ同 じであ ったが,速度 を上 げる程やや早材部での収縮が罪 責著になった。 4.スギ木炭の吸着性能を ヨウ素吸着法によって検討 したところ, 1段法では 7 0 0か ら 8 0 0 ℃で炭化 した試料が最大の飽 ℃ 0 0か ら 1 0 0 0 で調 和吸着量を示 したが, この値 は 2段法で調製 した試料の場合 とはば同等であった。一万, 2段法では,9 製 した試料が,最大の飽和吸着量を示 した。 しか しなが ら, 1段法では 1 0 0 0 ℃以上, 2段法では 1200℃以上か らは飽和吸 着量 は低減する傾向を示 した。 また, これ らの吸着性能 は,試料の比表面積および空隙体積の傾向 と対応 していた。 5.塩化水銀の単一水溶液を用いた吸着実験では,スギの炭化木粉がす ぐれた吸着性能を示 した。すなわち,1 0 0 0 ℃付近 0ppm の溶液中のすべての水銀 を吸着 し, 高い吸着能力を発揮 の炭化温度で焼成 した材料 ははば 1時間で初期濃度 1か ら 1 した。複数の重金属 ( 水銀,亜鉛, ヒ素,鉛,カ ドミウム)を含む水溶液中で も,1 0 0 0 ℃炭化物 は溶液の初期濃度にかかわ らず,水銀を優先的に吸着 した。 6.2段法で調製 した 1 0 0 0 ℃炭化物の吸着特性を塩化水銀水溶液を試料 として検討 したところ,溶液の初期 pH と温度条 件が吸着特性 に影響 を及ぼす ことが明 らかになった。pH3か ら 9までの場合,水銀吸着量 はほとんど変わ らなか ったが,pH I O以上では顕著 に減少 した。また,温度の上昇 によって吸着章 は減少する傾向を示 し,エ ンタル ピーを計算 した結果,吸着 -1 1 1 2 - 過程は発熱反応であることが示唆 された。さ らに,p H6に調整 した水銀溶液を用い,3 0 ℃下での吸着等温線を得て,Freun- dl i c h吸着式 に適用 し吸着定数を求めだ結果, 1 0 0 0 ℃スギ炭化物の吸着性能 は市販の標準 ヤ シガラ活性炭 と同等以上である ことが明 らか となった。 7.木炭の水質浄化材料 としての実証的な応用 を,熱帯造林木であるアガシアマ ンギウムの炭化木粉を用いて, フィリピ ン ・マニラ圏 にある汚染 された湖水で試みたところ,木炭が水銀を含む多 くの重金属の水系の浄化 に有用であるとの見通 し を得た。 輸 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 木質炭化物,すなわち木炭 は,林業 ・林産業 における間伐材や廃材の効率的な利用法であるが, また,そのす ぐれた吸着 性能の点か ら環境浄化材料 としての利用が考え られている。 本論文 は,木質を焼成す ることよって得 られる木炭の吸着性能 に関係する化学的,物理的,組織構造的な特性 を解明 し,それを踏 まえて,水中に溶解す る重金属の吸着材料 としての利用 を試みたもので,評価できる点 は以下のとお りである。 1.従来方式 による 1段階炭化法 ( 以下 1段法)で は,水中に存在する重金属の吸着に関与すると考え られる木炭の比表 0 0か ら 8 0 0 ℃で ピークに達 し,その後,900℃付近か ら再 び 面積および空隙体積 は,炭化温度の上昇 に伴 って大 きくなり,7 減少する傾向を示す ことを明 らかに した。 2.6 0 0 ℃で通常の炭化後,再 び高温域で熱処理を行 う 2段階炭化法 (以下 2段法)を用 いることによって,表面積および 0 0 0 ℃付近で最大に遷 した後,再 び減少することを明 ら 空隙体積の値がより大 きくな り,かつ ピ-クが高温側 に シフ トして 1 かに した。 3.木材細胞の形状変化 は,2 0- 4 0 0 ℃の範囲ではほとんど認め られないが,400か ら500℃にかけて顕著な細胞の収縮 が認め られ ることを,環境制御型走査電子顕微鏡 を用いた動的直接観察によって明 らかに した。 4.ヨウ素吸着法によって評価 した木炭の吸着能 は, 1段法では 7 0 0か ら 8 0 0 ℃の炭化温度で調製 した試料が, 2段法で は9 0 0か ら 1 0 0 0 ℃で処理 した試料が最大の飽和吸着量を示すが, 1段法では 1000℃以上,2段法では 1200℃ 以上か らは飽 r e undl i c h式が適合 し,氏 和吸着量 はむ しろ低減する傾向を示す ことを明 らかに した。また,調製 した木炭の吸着現象 には F 表面積および空隙体積の傾向 と対応することを提示 した。 5. スギの炭化木粉, 特 に1 0 0 0 ℃付近の炭化温度で焼成 した材料 は水中に溶解す る水銀 に対 してす ぐれた吸着性能 を示 し,複数の重金属 ( 水銀,亜鉛, ヒ素,鉛, カ ドミウム)を含む水溶液中で も,水銀を優先的に吸着することを明 らかに し た 。 6.水中に溶解す る水銀の吸着 に関 しては,溶液の pHと温度条件が吸着特性 に影響を及ぼ し,吸着定数を求めた結果で は,1 0 0 0 ℃でスギ炭化物の吸着能 は市販の標準 ヤ シガラ活性炭 と同等以上であることを明 らかに した。 以上のよ うに,本論文 は,木質を焼成す ることよって得 られ る木炭の水質浄化材料 としての利用開享 削, こ新 たな知見を加え たものであ り,木質複合材科学及び木質物性制御学の発展 に寄与す るところが大 きい0 よって,本論文は博士 ( 農学)の学位論文 として価値あるものと認める。 なお,平成 1 2年 2月 1 4日,論文並 びにそれに関連 した分野 にわたり試問 した結果,博士 ( 農学)の学位を授与 され る学 力が十分あるもの と認めたO -1 1 1 3 -
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