Page 1 Page 2 【 459 】 た か ぎ かず ょ し 学位(専攻分野) 博 士 (農 学

KURENAI : Kyoto University Research Information Repository
Title
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Issue Date
URL
Spectroelectrochemical analysis of quinoprotein amine
oxidoreductase reactions( Abstract_要旨 )
Takagi, Kazuyoshi
Kyoto University (京都大学)
1999-03-23
http://hdl.handle.net/2433/181913
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
氏
名
たか
ぎ
高
木
よし
かず
好
学位 (
専攻分野)
博
士
学 位 記 番 号
農
学 位 授 与 の 日付
平 成 11年 3 月 23 日
学 位 授 与 の要 件
学 位 規 則 第 4 条 第 1項 該 当
研 究 科 ・専 攻
農 学 研 究 科 農 芸 化 学 専 攻
学 位 論 文 題 目
S
p
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C
t
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ns
博
第
(
農
学)
1
064 号
(
キ ノプ ロテ イ ンア ミン酸化 還 元酵 素反応 の分 光 電気化 学 的解 析 )
(
主査)
論 文調 査 委 員
教 授 池 田 篤 治
論
文
教 授 加 藤 暢 夫
内
容
の
要
教 授 井 上 圃 世
旨
ピロロキノ リンキノン (
PQQ) が酸化還元酵素の新 しい コファクタ として発 見 されて以来, これまでに 4種 のキノノイ
ドコファクタの存在が明 らかにされてい る。 これ らの コファクタを有す る酸化還元酵素 (
キノプ ロテイ ン)の うち微生物 由
来のものは,ペ リプラズム空間における短絡的な電子伝達系の初発酵素 として機能 し,限 られた栄養条件下での微生物のエ
ネル ギー代謝 に深 く関与 してい る場合が多い。 PQQ以外のキノノイ ドコファクタは,酵素ペ プチ ド鎖 に共有結合 してい る
ため単離 が困難で,機能性低分子 としての評価 を行 った研究例は少ない。 また,キノプロテイ ンについては,基質 との反応
特性お よび構造解析 な どの報告が豊富な一方で,酸化還元特性 を熱力学的視点か ら詳細 に検討 した研究例 は少 ない。本研究
では,まず, トリプ トファン トリプ トフィル キノン (
TTQ)モデル化合物 (
TTQa
) について,物理化学的基本特性,な ら
, トーパ キノン (
TPQ)モデル化合物 (
TPQa
) の 3種 のキノ
びにイ ミノキノン生成反応 を解析 した。次 に,PQQ,TTQa
ノイ ドコファクタを用いて,それ らが触媒す る非酵素的ア ミン酸化反応 を解析 した。 さらに,新規 キノ-モプロテイ ンア ミ
ン脱水素酵素を単離 ・精製 し,分光電気化学的手法 を用い,本酵素の酸化還元特性 を明 らかに した。 これ らの結果 に基づい
て,キノプ ロテイ ンが触媒す るア ミン酸化反応機構,酵素分子内な らびに酵素 一電子受容体間での電子移動機構 について考
察 した。
1.メチル ア ミン脱水素酵素の活性 中心はTTQであることが 1
991
年 に明 らかに され た。 ここでは,まず,電気化学分析 に
の酸化還元 ・酸塩基反応 といった物理化学的基本特性 を明 らかに し,TTQa
の酸化還元反応がセ ミキノンラジカ
より,TTQa
TTQa
●{) を経 由す る 2段階 1電子反応で進行す ることを明確 に した. EPRスペ ク トル分析 によ りTTQa
● の生成
ル 中間体 (
を確認 し,TTQa
の 2つのイ ン ドール環にお ける部分的 7
;共役 と,そのn
o
nr
i
idな構造が示唆 された.TTQa
g
はアンモニア と
可逆的に反応 し,イ ミノキノン体 (
I
TTQa
) を生成す る。t
J-vi Sスペ ク トル分析 によ り, この反応 の平衡定数,速度定数 を
V
TTQa
もセ ミキノンラジカル 中間体 (
I
TTQa
●-) を経 由す る可逆的
決定 した。電気化学分析, EPRスペ ク トル分析 により,I
+Nと比較 してI
TTQa
●Jは均化反応的に安定化 されてい ることか ら,
酸化還元挙動 を示す ことを明 らかに した. さらに,TTQa
触媒反応過程でのI
TTQa
,I
TTQa
+∼
の機能について論 じた。
2.PQQ,TTQa
,TPQa
のア ミン酸化触媒能 を生成物分析,電気化学分析で評価 し,本反応がキノノイ ドコファクタとア ミ
ンの濃度 に関す る 2次反応であ り,再酸化過程 は律速段階でない ことを明 らかに した。また,触媒反応過程での電気化学分
析,EPRスペ ク トル分析 の結果,ア ミノフェノール,イ ミノセ ミキノンの生成 を確認 した。 これ らの結果か ら,キノノイ
ドコファクタが触媒す るア ミン酸化反応 はア ミノ基転移反応機構で進行す ることを明確 に した。 さらに, これ らの知見か ら,
銅 ア ミン酸化酵素のCuI
I
は,TPQあるいは リジンチ ロシル キノンの 2電子還元体 に対 して分子内 1電子受容体 として機能す
ることに よって,キノノイ ドコファクタの酸素酸化反応 を促進 し, さらに,TPQ酵素の場合 には,TPQの解離型水酸基 に
弱 く配位 し, これ をOキノン的電子構造にす る機能 をも有す るもの として,その役割 を説明 した。
3.Pa
r
ac
o
c
c
usde
ni
t
r
i
f
l
'
c
ansI
FO 12442をメチル ア ミンを炭素源 として培養 し,新規 キノ-モプ ロテイ ンア ミン脱水素酵
-1
0
45-
秦 (
QHAmDH) を単離 ・精製 した。 QHAmDHは 2つのサブユニ ッ トか ら構成 され る αβ構造 を有 し, αサブユニ ッ ト
には-ム Cとキノノイ ドコファクタが存在す ることを明 らかに した。本酵素が触媒す るア ミン酸化反応 について速度論的解
析 を行い,基質ア ミン,人工電子受容体について速度論的パ ラメー タを決定す るとともに,カルボニル試薬 による非可逆的
反応 阻害 を確認 した。次 に, メデ ィェ一 夕型 間接 カ ラム電解分光法 を用い, QHAmDHの- ム C 部位 の 1電子酸化還元電
位 を決定 した。
一方,基質 ア ミンによる滴定にお ける-ム C部位 の酸化還元挙動 を電気化学理論 に基づいて解析 し,UVi
vSスペ ク トル
では直接検 出不可能なキノノイ ドコファクタ部位 の 2段階の酸化還元電位 を分離評価 した。 これ らの結果 に基づいて,本酵
素分子内にお ける電子移動経路 について論 じた。
論
文
審
査
の
結
果
の 要
旨
キノノイ ドコファクタお よびキノプ ロテイ ンが触媒す る生体内酸化還元反応 の重要性 については, これまでにも多 くの報
告がある。一方で,キノノイ ドコファクタを機能性低分子 として評価 をした研究例 は少 な く,それ らが触媒す るア ミン酸化
反応機構 については,未だ統一的な解釈 には至 っていない。また,キノプロテイ ンについては,酸化還元特性 を熱力学的視
点か ら詳細に検討 した研究例は少 ない。そのよ うな背景の下,本論文では,キノノイ ドコファクタお よびキノプロテインが
触媒す るア ミン酸化反応 に注 目し,機能性低分子 としてのキノノイ ドコファクタの特性評価,キノノイ ドコファクタが触媒
す るア ミン酸化反応機構の解析, さらに新規キノ-モプロテイ ンア ミン脱水素酵素の酸化還元挙動解析 を行っている。特に,
電気化学的お よび分光学的手法やカラム電解分光法 といった分析手法を積極的に取 り入れ,物理化学的視点か らの詳細な解
析 を行 ってお り,評価すべき点は以下の通 りである。
1.TTQモデル化合物 (
TTQA
),お よび,そのイ ミノキノン体 (
I
TTQ且
) について,詳細な電気化学分析 によ り物理化学的
基本特性 を明 らかに してい る. さらに,分光学的分析手法 を用い,TTQ且
の酸化還元挙動における構造的情報 も得ている。
な らびにI
TTQa
について,セ ミキノンラジカル 中間体 を経 由 した 2段階 1電子酸化還元反応 を明確に し,酵素一
特に,TTQ。
電子受容体間での電子移動機構 を考察 した点は評価 に値す る。
2.キノノイ ドコファクタが触媒す るア ミン酸化反応 を生成物分析,電気化学分析 によって速度論的視点か ら詳細に検討す
る とともに, EPRスペ ク トル分析 によ り反応 中間体 ラジカル の検 出 とその帰属 を試み,ア ミン酸化反応機構 を明 らかに し
I
の役割について も斬新な提唱を行 っている。
ている。 さらに, これ らの知見 を基に,ア ミン酸化酵素におけるC uI
3.活性 中心 に- ム Cとキノノイ ドコファクタの両方 を有す る新規 ア ミン脱水素酵素 をPa
r
ac
o
c
c
us属 よ り精製 し,その生
化学的基本特性 を明 らかに している。 さらに,新規な分析手法であるカラム電解分光法,な らびに基質滴定の電気化学理論
に基づいた解析 によ り,本新規酵素の酸化還元特性 を明 らかに し,熱力学的視点か らその詳細を論 じている。
以上のよ うに,本論文は,キノプ ロテインア ミン酸化還元酵素反応 について,電気化学的お よび分光学的手法を用い, コ
ファクタ レベルか ら酵素 レベル にわたって,その機能特性 を定量的に明 らかに してお り,酵素化学,機能生物化学,な らび
に生物電気化学の分野に寄与す るところが大きい。
よって,本論文は博士 (
農学)の学位論文 として価値 あるもの と認 める。
なお,平成 11
年 2月 1
2日,論文並びにそれに関連 した分野にわた り試問 した結果,博士 (
農学)の学位 を授与 され る学力
が十分あるもの と認 めた。
-1
046-