平成16年度 土木施設設計演習 ~鋼矢板護岸の設計~ 平成16年11月10日 本日の内容 設計条件 矢板の設計方法 土圧の計算方法 根入れ長の設計 設計計算例 鋼矢板壁の設計 前回の講義で配布した配布資料No.1,p95.『タイロッド式鋼 矢板壁工法の設計』を行ってもらいます. 具体的には,pp.108~の設計計算例を参考に設計を進めて もらいます. 設計条件については,今回は各自で設定してもらうものがあ ります.場合によっては再計算の可能性もありますので,よく考 えて条件を設定してください. 構造物に被害を及ぼす外力として,地震があります(新潟地 震や阪神大震災etc).通常では地震時のことを考慮して設計を 行いますが,今回は,常時(地震のことを考慮しない)における 構造物の設計を行ってもらいます. 設計条件 q 土の内部摩擦角:φ 背面土として用いられる土の種類に応じ た数値を使用. H 水深:Hw hw γ c R.W.L W.L. ±0.00 基準水面より海底面までの深さ(m) 天端高さ:Hc 基準水面より矢板天端までの高さ(m) γ'=1.0tf/m3 φ δ=15 ° 重防食被覆 Hw タイロッド取付位置および残 留水位 上載荷重:q 土の単位堆積重量:γ φ δ=15 ° ~ φ=31°~40°,Hw=6.5m~8.5m,Hc=3m~4m 残留水位およびタイロッド取付位置は各自で設定する. ただし,Hc>T.R.L.>=R.W.L. 構造物(矢板)に作用する外力 矢板 載荷重 裏込め土 矢板背面の土砂による 主働土圧 地下水による水圧 主働土圧 根入れ部における受働 土圧 水圧 地下水 受働土圧 これらの外力に耐えうる構 造物を設計することが重要 土圧 ランキン土圧・・塑性平衡状態における土中応力から土圧を 算定 クーロン土圧・・土中にすべり面を想定し,くさび状の土塊を 剛体と仮定し,力の力学的なつりあいから土 圧を算定 s1=gz s3 P W R s3 s1=gz すべり面 土圧の計算方法(常時)配付資料:p37 2.4土圧・水圧 構造物に作用する土圧は,砂質土,粘性土等の土質,構造物の種類及び挙 動による主働,受働等の状態,常時,地震時等の状況等に応じて算定する. ※港湾の施設の技術上の基準・同解説(参考資料:p289) p ai = K ai 土圧強度 g i hi w cos cos cos 壁面が鉛直となす角 荷重 主働土圧係数 K ai = cos 2 ( i ) 2 cos cos( ) 1 sin( i ) sin( i ) cos( ) cos( ) ψ=β=0°の時,土圧係数は以下の式により算出 Kai cos a ここに,:壁面摩擦角 2 β ψ 鋼矢板壁の設計(根入れ長) 古典土圧論によるもの ①フリーアースサポート法(Free earth support法) ②フィクストアースサポート法(Fixed earth support法) 根入れ部を弾性支承としてとく方法 ③ロウ(P.W.Rowe)の方法 参考資料:pp.666-667.参照 今回は,①の考え方と,仮想梁法の考え方を用いた仮想鉸点法 によって,矢板壁の断面設計を行う. 配布資料No.1,pp.97~ 設計計算例(配布資料p.108) 断面図 荷重分布図(土圧強度・残留水圧強度) C.H. p A1 R.W.L. hw p A2 L.W.L. D.L. D p A3 p PD p AD pW 2.0+γ×(天端高さ-残留水位) 上載荷重q 海水の単位体積重量=1.03tf/m3×残留水位(1.5m) 水平力とモーメント C.H. S1 T.R.L. S2 R.W.L. lj S7 L.W.L. タイロッド取付点 回りのモーメント を求める S3 S8 S4 平力Sを求める. (三角形の面積) D.L. S5 S9 S 10 荷重分布図から, 左図のように水 S6 根入れ長の計算 主働土圧,受働土圧および残留水圧によるタイロッド取付点 まわりのモーメントの釣り合いより決定する. MP≧Fs・MA 受働土圧 Fs:安全率(常時のみ考慮:1.5) 主働土圧 MA=PA・lA+Pw・lw MP=PP・lP 根入れ長Dを含む3次方程式 ●D3+■D2+▲D+◆=0 上式を満足するようなDを求める. 本日の講義はここまで! 次回の講義までに,各自で設定した条件に基づく根入 れ長を求めておいてください. 説明したように,根入れ長の算定には3次方程式を解 く必要があります.3次方程式の解法については,図書 館などで調べて各自で解いてください. ここで,土圧強度の算定や,根入れ長の算定で計算ミ スをすると,鋼矢板の断面の決定等に影響を及ぼしま す.計算ミスの無いように! 次回は,11/24(水)の予定
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