直流回路と交流回路

電気回路Ⅱ 演習 第7回
分布定数回路の基本方程式の導出
線路定数の導出
進行波と反射波の記述
分布定数回路とは?

分布定数回路というのは、集中定数回路という言葉の対義語です。
集中定数回路と仰々しい名前が付けられていますが、何のことはなく、
普通のLCRで構成された電気回路のことです.

分布定数回路では、回路内でまんべん無くLCRが存在していて、距
離の関数になっているところが異なります.

線路には線路そのものの抵抗R[Ω/m],インダクタンスL[H/m],線間
容量C[f/M],コンダクタンスG[S/m]がある.
基本方程式(1)

分布定数回路として2本の往復導体による線路を考える.一部
を切り出し,Δxの距離に関して考える.
i(t , x)
x
Rx Lx
v(t , x)
Cx
i (t , x  x)
i (t , x)
Gx
v(t , x  x)

i  i (t , x)  i (t , x  x)  Gx  v(t , x)  Cx  v(t , x)
t

v  v(t , x)  v(t , x  x)  Rx  i (t , x)  Lx  i (t , x)
t
基本方程式
基本方程式(2)
符号に気をつけて
i



 G  v(t , x)  C  v(t , x) →下に流れる電流の分だけ
x
t


電流 i は減る
v



 R  i(t , x)  L  i(t , x) →抵抗により電圧vが降下する
x
t


上記の式は,位置xと時間tの連立偏微分方程式.
信号を周波数の変化しない正弦波に限ると簡単になる
v(t , x)  2 Re V ( x)e jt
i (t , x)  2 Re I( x)e jt
周波数一定であるから e jt
V ( x)と I ( x)は位置xの関数
上記の2式に代入して解を求める
波動方程式の解法(1)
問題1
i



 G  v(t , x)  C  v(t , x)
x
t


(1)
v



 R  i(t , x)  L  i(t , x)
x
t


(2)
上記の式に
v(t , x)  2 Re V ( x)e jt (3)


i (t , x)  2 Re I( x)e jt (4) を代入して一般解 V ( x), I ( x) を求めよ
問題1の続き

まず式(1),(2)に式(3),(4)を代入する.

次に,V(x)とI(x)の式に分離する.
 (例)
2
 V ( x)
2 



V ( x)
2
x

これまでの計算で,一般解の形は以下の式になることが分かる
V ( x)  A e x  B ex
I( x)  C e x  D ex
, A , B , C , D を求めよ
→C,DをA,Bを用いて表せ
波動方程式の一般解

一般解をまとめると
V ( x)  A e x  B ex
I ( x)  1 A e x  B ex
Z 0
ただし , Z  R  jL  Y  G  jC ,
 2  ZY  R  jL G  jC 


Z 0  Z / Y  Z / 
線路定数と波の進行方向
V ( x)  A e x  B ex

I ( x)  1 A e x  B ex
Z 0
(前のページより)

 : 伝搬定数(複素数)
 1  x  x
x
x
jt


v(t , x)  2 Re Ae  Be e , i(t , x)  2 Re
Ae  Be

 Z0
各複素数の成分を以下のように書き換えると
A  Ae jA , B  Be jB , Z0  Z0e j ,     j



 jt
e


v(t , x)  2 Aex cost  x   A   2 Be x cost  x  B 
A x
B  x
i(t , x)  2 e cost  x   A     2 e cost  x  B   
Z0
Z0
e
x
x方向に対して減衰することを意味している
cost  x 
cost  x 
時間的にも空間的にも,振動してい
ることを意味している
どちらが進行波?後進波?
進行波と後進波
cost  x 
→結論から言うと進行波
位相がとなる位置が tだけ時間が経つと xだけ移動したと考える
(初期値は時間,空間 はそれぞれ t0 , x0)
これを t  xにそれぞれ代入すると
t0  x0   ,  t0  t    x0  x    ,
1
これを解くと,
x 
 0
t 
進行
1
y( xx )
0
1
1
つまり進行波
0
0
10
xx
20
x
18.85
.

同様に
cost  x 
→後進波,or反射波
位相がとなる位置が tだけ時間が経つと xだけ移動したと考える
(初期値は時間,空間 はそれぞれ t0 , x0)
これを t  xにそれぞれ代入すると
t0  x0   ,  t0  t    x0  x    ,
これを解くと,
x

 0
t

つまり反射波
後進
1
1
y( xx )
0
1
1
0
0
10
xx
20
x
18.85
.
位相速度

先ほど計算した  x が位相速度と呼ばれるもの
t

v   f

前進波の場合

v     f 後進波の場合

伝搬定数の詳細



伝搬定数
減衰定数
位相定数
    j


2

  ZY  R  jLG  jC 
問題2
線路の単位長さあたりの抵抗,自己インダクタンス,漏れコ
ンダクタンス,静電容量をそれぞれ,R,L,G,Cとした場合,
1.伝搬定数  を求めよ(問題1と同じ)
2.減衰定数α,位相定数βを求めよ.
(     j つまり実部と虚部の大きさを求めればよい )
3.線路の特性インピーダンス Z 0 を求めよ.(問題1と同じ)
4.位相速度を求めよ.(2で求めた位相定数を用いて)
問題2の補足
式(A)
式(B)
I( x)
 G  jC V ( x)
x
V ( x)
 R  jL I( x)
x
基本方程式より,左の式A,Bが
求まったという時点から
計算を始めよう
問題1について
i



 G  v(t , x)  C  v(t , x)
x
t


(1)
v



 R  i(t , x)  L  i(t , x)
x
t


(2)
上記の式に以下の式を代入しよう.(Reは後で計算すればよい)
v  2V ( x)e jt (3)
i  2 I( x)e jt
(4)
偏微分について

掛け合わさった関数の微分について
d
d
d
f ( x) g ( x)  g ( x)
f ( x)  f ( x) g ( x)
dx
dx
dx
そのまま


微分
そのまま
微分
片方ずつ微分して,足し合わせる
偏微分(複数の変数が入っている場合)
xとは独立な変数tの関数
d
d
d
f ( x) g (t )  g (t )
f ( x)  f ( x) g (t )
dx
dx
dx
d
g(t)は,変数xを含まないので,
 g (t )
f ( x)
xから見ると定数である.
dx
定数の微分は0
問題1について 式(A)
左辺

 jt I( x) 
i  2 I( x)e jt
 jt 
jt I ( x)

 2  e
 I ( x) e   2e
x
x
x
x
x


0になる
右辺






 G  v(t , x)  C  v(t , x)  G  2V ( x)e jt  C 
2V ( x)e jt 
t
t








 G  2V ( x)e jt  2Ce jt  V ( x)  2CV ( x) e jt 
t
t


  G  2V ( x)e jt  j 2CV ( x)e jt 0になる

  2 G   jCV ( x)e jt
式(A)
左辺と右辺より
I( x)
 G  jC V ( x)
x

ただし,両辺を
2e jtで割った
問題1について 式(B)

同様に式(2)に(3),(4)を代入して
式(B)
V ( x)
 R  jL I( x)
x
を得る.
問題1について
式(A)
式(B)
一般解の導出
I( x)
 G  jC V ( x)
x
V ( x)
 R  jL I( x)
x
それぞれの式にI(x)とV(x)が入ってい
るので,このままでは計算できない.
よって, I(x)だけ,またはV(x)だけの
式を作る.
やり方:まず式(B)をさらにxで微分する.
式(A)を代入する
 2V ( x)
I( x)
 R  jL 
 R  jL  G  jC V ( x)
2
x
x
 G  jC R  jL V ( x)   2V ( x)
 2  G  jC R  jL

同様に,式(A)をさらにxで微分する.
式(B)を代入する
 2 I( x)
V ( x)
 G  jC 
 G  jC  R  jL I( x)
2
x
x
 G  jC R  jL I( x)   2 I( x)
 2  G  jC R  jL
問題1について

一般解の導出
2次の微分方程式
 2V ( x)
2 


V ( x)
2
x
 2 I( x)
2


I ( x)
2
x
数学の教科書参照
上記の2階微分方程式の一般解は
V ( x)  A ex  B ex
I( x)  Cex  D ex
 は未知数
ここで A , B , C , D
 の関係は,式(A)または式 (B)に代入すれば分かる
A , B , C , D

式(B)に一般解を代入してみよう
V ( x)
 R  jL I( x)
x

 ex
 A e x  B ex  R  jL Ce x  D

上記の式の統合はどんなxに対しても成り立つので
exp(jωt)の係数は両辺で等しい
 A  R  jLC
C 

A   A  Y A  1 A
R  jL  Z
Z
Z 0

またexp(-jωt)の係数も両辺で等しい
B  R  jLD
D 
 
 
Y 
1 

B B
B B


R  jL 
Z
Z
Z 0
問題1のまとめ

一般解をまとめると
V ( x)  A e x  B ex
I ( x)  1 A e x  B ex
Z 0
ただし , Z  R  jL  Y  G  jC ,
 2  ZY  R  jL G  jC 


Z 0  Z / Y  Z / 