KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date URL 木材の動的捩り粘弾性 則元, 京; 山田, 正 木材研究 : 京都大學木材研究所報告 (1966), 38: 32-39 1966-07 http://hdl.handle.net/2433/52992 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 論 文( ORI GI NAL) 木 材 の 動 的 振 則 元 京**・山 り 粘 弾 性* 田 正 ** Mi s at oNo R I MOTO * *andTadas hiYAMAD A* *: Dynami cTo r s i o nalVi s c oe l as t i c i t yof Wo o d* Ⅰ 緒 円 木材 の粘弾性 にお よばす水分 の影響 についてはかな りの報告が あ る4 ) 5 ) 。 た とえば 超音波域 では鈴木 が ヒノキお よび ブナ材 の動 的弾性率 お よび対 数減衰率 について調 べ,繊 維方 向におい て含水率 6%以下 の領域 で動 的弾性率 が最大値 を とり,対数減衰率 が高含水率側 か ら水分 の減 0 % 附近 で最小値 を とり, さらに低含水率 で副分散 を示 す 少 とともに減少 を示 し,含水率 8-1 ことを報告 してい る6 ) 。可聴波域 では Ko L L MANNが Fi c ht e材 の動 的粘弾性 につい て調 べ ,低 含水率域 で繊維方 向の動 的弾性率 に最大値 が,対数減衰率 に最小値 が存在 す る ことを報告 し7 ) , 梶 田 らほ ヒノキお よび ブナ材 の動 的弾性率 について調 べ,繊維方 向 の動 的弾性率 が含水率 4- 5%で最大値 を もつのに対 し,半径方 向 のそれが最大値 を もたない ことを示 し, また非晶領域 に存在す る水素結合 の動 的弾性率 へ の寄 与 を NI S S ANお よび ME R E DI TH の理論 に よって定量化 してい る8)。PE NTONY は数樹種 について 10-1 04C / S の周波数範 囲で 内部 摩擦 と 含 水率 の 関 係 を求 め,低含水率域 で内部摩擦 が最小値 を とる ことを示 し19),J AME Sは Do ugl as Br材 の対 数減衰率 について調べ,室温 で存在 す る低含水率域 におけ る対数減衰率 の最小値 の位置 が温 度 の上昇 とともに低含水率側 に移動 し, また温 度 お よび含水率 の上昇 とともに対数減衰率 が増大 す る ことを示 し, 低含水率域 と高含水率域 におけ る 木材 の内部摩擦 の機構 の相違 を述 べ てい る9)。 さ らに低 周波域 では松本 が スギお よび と/ミ材 の動 的剛性率 と対数減衰率 について調 べ, 低含水率域 で動 的剛性率 に最大値 が,対数減衰率 に最小値 が現 われ る ことを示 してい る17)。一 方携 りについては タイムスケ-ル の長 い 静 的測定 で 著 者 らが 繊維方 向におけ る ヒノキ材 の ク 0 % のあた りで最 リープ コンプ ライアンスが湿度 の増加 とともに単調 に増 加せず,含 水率 5-1 小値 を とる ことを示 しl) , さらに ヒノキ材 の半径方 向 の応 力緩和 測定 で,室温 において緩和 ス ペ ク トルが含水率 1 0 %あた りで低 い値 の平坦 な形 を示 し,温 度 の上昇 とともに この安定状態が 低含水率側 に移動 す る ことを報告 してい る。 2) 本報 では静 的粘弾性 と動 的粘弾性 の関係をみ る上 で有効 と思われ る低周波領域 での測定 が可 能 な操 り自由振動法 を用 いて,木材 の動 的粘弾性 にお よばす水分 の影響 について報告 す るO従 来木材 につい てな され て きた摂 り振動 実験 では試料 に直接付加慣性 質量 を接続 して振動 させ る 方法 が とられ て きたが,付 加質量 に よる引張 力が試料 に働 き誤差 の原因 とな る。従 っ て この よ * 第16回 日本木材学会大会 (1966年 4月)にて発表 ** 木材物理研究部門 ( Di vi s i o no fWo o dPhys i c s ) - 3 2- 則元 ・山田 :木材の動的擦 り粘弾性 うな測定法では荷重 の影響を取 り除 くことが望 ましい。 これに対 して HEYBOER らは上端を固 定 した ピアノ線に付加慣性質量を取 りつけ, さらにその下に試料を接続 して測定す る方法を用 いたが, これは無荷重状態で測定が可能で補正を必要 としない3 ) 。従って本実験では HEYBOER らの測定方法を採用 した。 Ⅱ 実 験 Fi g・1に示す ごとき寸法形状 のベイヒ ( Chamae c ypar i sl au ) s o ni anaM URR.) を試料 として用 0 0 ,3 0 0 ,45 0お よび 6 0 o C につ き絶乾状態か ら 湿潤状態 まで 6段階につい いた。測定は温度 2 て行 なった。湿度調整にはシ リカゲルお よび種 々塩類 の飽和溶液 を使用 し, また湿潤状態 の試 ・ l.:,. , ,. :, # g h i ,. ). . I . I- f J ' f J 占 C Fi g.1. Spec i me n. 料 は蒸溜水中に浸漬 した ものを用いた. 【 幸萎 J f掴 a 』 A きき】 試料 を調湿 した後 Fi g.2 に 示す 装置 のチャッ クに固定 し, それが所定 の 温度お よび湿度条件に 平衡 した と思われ る頃に, 上端チャッ ク に接続す る付加質量を試料 のまわ りに 回転振動 させ, 振動 周期 T3 お よび振 巾を測定 して式 ⑤,⑦ お よび⑧ を用い動的剛性率 G′ ,動的粘性率 で′ぉ よび 内部 Fi g・2・ Expe r i me nt alappar at us a:s pe c i me n b:c l amp c:heat e r d:l i qui dpar a用. nc up e:s al ts o l ut i o n f:bo b g:pl an°Wi r e h:mi r r o r i:c huc k J:adj us t abl e s c r e w k:handl e 摩擦 t a n∂を求めた。 Fi g.2に示す装置で運動方程式は次の ように表わせ る10)ll)0 ・ 憲うー(Kl+K ・K8)x-(Hl・H ・H3 ) 意 2 2 ---. -- ① ここに x は振子 の角変位, Ⅰは振子 の慣性能率 であ り, Kお よび Hは 弾力係数 お よび抵抗 係数で,サ フィッ クス 1, 2お よび 3はそれぞれ木材試料, ピアノ線 お よびパ ラフィンに関係 , K2 お よび Hlは木材試料 の長 さ,巾,厚 さ,形状係数,動的剛性率 お よび す る量である。Kl 動的粘性率をそれぞれ l ,b ,h,f( b /h),G′ぉ よび マ′とし, ピアノ線 の長 さ, 半径 お よび動 - 3 3- 木 材 究 第3 8号 ( 1 9 6 6 ) 研 的剛性率 を それぞれ I I " r お よび G′p とすれば次式 で示 され る。 K 1- 1 奥 地3 G′ p・ ・ G′, K 2- 笠 ・ H ・ ギ′ l -塑 型31∠ 冬 2 -. ・ ------② い ま H/I-2 E ,K/I-n2と置 いて微分方程式① を解 けば次 の ようにな る。 i +p ) x-x。 e e t s i n( 府 ---・ ---⑧ ここに xo ,や は初期条件 に よって定 まる定数 で あ るo Tl,T2 お よび T3 をそれぞれ試料 お よびパ ラフィ ンがない場合 ,試料 が な くパ ラフィンのあ る場 合 お よび試料 お よびパ ラフィンの あ る場 合 の周期 とすれば Kl お よび K3 ほ次式 で与 え られ る。 ≒筈 K l 4 7 r 2 Z( T2 2 -T1 2 ) r 14 -K2 -K3 ・K3 ≒旦 --------④ 実際 に Tl お よび T2 を測定 した結果両者 はほ とん ど等 しいため,K3≒0 とな り,木材試料 の動 的剛性率 ミ ニ . . モ ・. / G′ほ次式 で示 され る。 G与 6h 濃両 次 に式⑨ において減衰振動 の振 巾を 堵 あ るいは -堵 〔 一豊 筈 xl,x 2 , - Xn, - -. ・ .-堵 -堵 ) -. ・ -----. ・ ・ ⑤ とすれば次式 が成立す るO -・ ・ ・ -e T3 -A I n x1 -l n x2 n _1 -ne T3-n} ----・ ・ ----⑥ ここに ス は系全体 の 対数減衰率 で あ る。 従 っ て木材試料 の 動 的粘性率 で′ほ次式 で示 され る。 で′ -7G f g ( i b 7ij Jt 4・ 606I 1 i 9 g 祭 -( H ・ H3)i 2 ・ ・ ---州 . ・ ⑦ また ll ,) L 2 お よび J T 3をそれぞれ木材試料 , ピア ノ線 お よびパ ラフィ ンの対数減衰率 とすれ ば j L -).. +i L 2 +1 3とな り,従 っ て試料 の内部摩擦 t an ∂ほ次式 で与 え られ る。 l A-( 1 2 +) 3 ) t an∂- l 7 r 7 r 1 1 1 結 --------⑧ 果 Fi g.3 に剛性率 と含水率 の関係 を示 してい る。温 度 20o C において剛性率 は絶乾状態 か ら含 水率 の増加 とともに増大 し,含水率 8%附近 に最大値 を もち,そ の後繊維飽和 点 まで含水率 の 増加 とともに急激 に減少 し,織維飽和 点以上 では変化 しない。温 変が上昇 す る と 20o C で見 ら れ た低 含水率域 におけ る剛性率 の最大値 は現 われ な くな り, また含水率 の増加 に よる剛性率 の 低 下 は著 し くな る。 Fi g.4 に内部摩擦 と含水率 の関係 を 示 してい る。温 度 20o C において 内部摩擦 は 絶乾状態 か ら含水率 の増 加 とともに減少 し,含水率 8%附近 に最小値 を もち,そ の後含水率 の増加 とと もに急激 に増 大 し高含水率側 で最大値 を もつ。温 度が上昇 す る と 20o C で見 られ た低含水率域 におけ る内部摩擦 の最小値 は見 られ な くな るO また含水率 -3 4- 8%以上 では温 度 の上昇 とともに内 則元 ・山田 :木材の動的携 り粘弾性 部摩擦 は増大す る。 Fi g.5に動的粘性率 と含水率 の 関係 を示 してい る。木材 の粘性率 を求 めた報告 は非常 に少 いが,た ,深 田13),鈴木 14),山 とえば谷 12) 田15)お よび竹村 16)等 の報告が ある。 粘性率 は周波数 に依存す る量 で あ s e, り,鈴木 は 44kC /Sで 1 03 poi J I w) e l r 7 7 . C.(%) Fi g.3. The r e l at i o ns hi p be t we e nt he mo dul us o f , dynami cr i gi di t yG/a ndt hemo i s t ur ec o nt e ntat2 0 0 3 0 0 ,4 5 oand 6 0 o C O:2 0 o C ● :3 0 o C @ :4 5 o C ◎ :6 0 o C s e お よび 1 30 8. 5 kC /Sで 1 04 poi i se のオーダーの値 C /Sで 1 06 po を とることを示 し, 深 田は 23 0C /S i se のオーダーの値 を, で 1 06po s eの 谷 は片持 自由振動 で 1 07 poi 値 を報告 してい る。一方竹村 お よ び 山田は ク リープ測定 か ら 1 015 po i se のオーダーの値 を求 めてい る。本実験 におけ る周波数域 ,つ まり 0. 1-0. 08C/Sでは 粘性率 が 1 08poi s e のオ-ダ-の値 を とる O ことがわか る。 温 度 20o C において動的粘性率 β ∫ / β . / ∫ 2C l J ' wt i 仇C.( %) Fi g.4. Ther e l at i o ns hi pbe t we e nt he i nt e r nalf r i c t i o n and t hemo i s t ur ec o nt e ntat2 0 0 ,3 00 ,4 5 oand 6 0 o C O:2 0 o C ● :3 0 o C @ :4 5 O C ◎ :6 0 o C は絶乾状態か ら含水率 の増加 とと もに減少 し,含水率 8% 附近 に最 小値を もち,その後含水率 の増加 とともに徐 々に増大 し最大値 を と った後高含水率側 で急激 に減少す る。温 度が上昇 す る と 20o C で見 られた低含水率域 におけ る最小値 は見 られ な くな り,絶乾状態 か ら 含水率 の増加 とともに動的粘性率 は急激 に増大 を示す 。 また含水率 1 0%以上 では温 度 の上昇 とともに 動的粘性率 は増大 す るが,含水率 1 0% 以下 ではその関係が乱れ,舵 乾状態 では温 度 の上昇 とともに逆 Fi g.5. The r e l at i o ns hi p be t we e nt he mo dul us o f dyna mi cvi s c o s i t yandt hemo i s t ur ec o nt e ntat2 0 0 , 3 0 0 ,4 5 oa nd6 0 o C O:2 0 o C O :3 0 o C ㊥ :4 5 o C ◎ :6 0 o C - 35- に減少す ることが予想 され る。 Tabl elのa∼dに温 度 200 ,300 , 45 0 お よび 6 0o C におけ る含水率 木 材 研 究 第3 8号 ( 1 9 6 6 ) Tabl e1. The mo dul us o fdynami cr i gi di t y G/ ,t he mo dul us o f he i nt e r nalf r i c t i o nt anao fLAWSON dynam i Cvi s c o s i t y ヮ′and t CYPRESSatvari o ust e mpe r at ur esandmo i s t ur ec o nt e nt s ( a) 2 0 o C G/ (〉く 1 0 9 dyne s 孤,C.(%) / c m2 ) 52 7 0 6 2 6 4 6 0 6 8 3 3 3 3 3 1 1 2 6 03 7 8 79 5 2 3 7 7 6 6 5 5 ( b) 3 0o C G (〉 く 9dyne s m.C.(%) / 1 0 / c m2 ) ?I () ( 1 08 po i s e ) 6 5 8 5 3 6 3 6 5 2 8 4 3 3 3 3 3 2 14 9 2 4 8 8 7 74 9 5 7 6 4 4 3 4 4. 7 5. 9 1 2. 5 1 4. 8 1 9. 2 1 4 4. 0 ( C )4 5 o C G/ ( m.C.(%) 1 ; 9dyne s 10 / c m2 ) 08po i s e ) ヮ′ (>く1 5 6 63 74 9 9 2 9 6 0 2 2 33 43 2. 5 4. 5 〉く 7. 4 5 7. 4 2 ( d)6 0o C m.C.(%) G/ (> く 1 0 9dyne s / c m2 ) り′ (> く 1 08 po i s e ) と動 的剛性率 ,動 的粘性率 お よび内部摩擦 との関係 を数値 で示 してい る。 ー 36- 則元 ・山田 :木材の動的操 り粘弾性 Ⅳ 考 察 木材 の剛性率 お よび内部粘性 の定性的な意味 について木材実質 の非晶領域 に存在す る水分 の 状態 に よって考察す る。絶乾状態 の木材が吸湿 す る場 合, まず水分子 は非晶領域 で結合 されず に残 され てい る活性 な OH 基 と結合 す るもの と考 え られ るが, これは STAMM のい う構造水, また KoLLMANN のい う化学収着水に相当 し,単 に分子鎖間に存在す る 微細 な空隙 を埋 め るだ けで膨潤 に影響 を与 えない と考 え られ る。 この含水率域 では 含水率 の 増加 とともに 剛性率 は JAMES が水分子 の c ement i ngact i on と述べてい るように9 ) ,水分子 に よる空孔 の充填効果 の ために上昇 し,内部粘性 は水分子 の吸着 に より不 自然 に屈曲 して歪 みを生 じていた分子鎖 の配 列が向上す るように変化す るために減少す るもの と思われ る。 さらに吸湿が進む と,水分子 は 非晶領域 におけ る隣接分子鎖問 の水素結合 を切断 して吸着 し,結果 として水分子 に よって鎖 間 が拡大 され て膨潤 を起 し,新 しい吸着点を形成 す る。 この含水率 での剛性率 お よび内部粘性率 g.6 a の状態 でお互 に 鎖状分子間に 水素結合が 形成 され ていた と を次の ように考 え る。今 Fi ころに,水分子が水素結合 を切断 して g.6 b の 状態 になっ 鎖間に 浸入 L Fi た とす る。剛性率 とは外力に対 す る変 形 の難易 の 目安 を表 わ してお り, この 場合水分子 の浸入 に より外力に よる変 形 は容易 とな り,従 って水分子 の浸入 す る量 とともに剛性率 は減少す る。一 方 内部粘性率 は分子 の運動 に対 す る雰 囲気 の影響 の程度を表わ してお り,木 Fi g.6. Sc he mat i cdi ag r am o famo r pho usr e g l O n 材 の ように. 外部 か ら拘束を受けつつ膨潤 す る物質,つ ま り有限膨潤 す る物質 では水分子 の吸着 に よって鎖間が拡大 された場合 ,考 えてい る分子間相互 の相対運動 は容易 になって も雰 囲気 か らの拘束,つ ま りこの場合周囲に存在す る他 の鎖状分子 か らの拘束 はかえって増 し,従 って粘 性率 は含水率 とともに増大す るもの と思われ る。 さらに水分子が鎮問の水素結合 を切断 して吸 g.6 Cの状態にな り,逆 に雰 囲気 に よる拘束 は低下 し,鎖状分子 のセグメン ト動 着が進む と Fi 運が容易 とな り,内部粘性率 は減少 し主分散が現われ るもの と思われ る。 0 o C において剛性率 は含水率 8%附近 に最大値 を もつが` , これは KoLLMANN7㌦ 梶 田8) 温度 2 お よび松本 17)等 の結果 と類似 した傾 向である。 この原因は上述 した ように非晶領域 において結 合せずに残 され てい る OH 基 に水分子が吸着す ることに よっ て 鎮間に存在す る 微細 な空孔 が 充填補強 され るため と,不 自然 に屈曲 していた分子鎖が配列を変化 させ,力を受け もつ有効鏡 が増加す るため と考 え られ る。温 度が上昇 す る とこの最大値 は現 われ な くな るが, これは 自由 な OH 基 に吸着 す る水分子 の量が温度 の上昇 とともに 減少す ることか ら考 えて1 8 ) , この最大 値 の位置 は さらに低含水率側 に移動 したため と思われ る。 0 o Cにおいて内部摩擦 は含水率 8 %附近 に最小値 を もつが,これは JAMES9),PENTONY1 9 ) 温度 2 KoLLMANN7) お よび松本 17)らの結果 と一致 した傾 向である。 この最小値 の現 われ る原因 として ほ上述 した ように不 自然に屈曲 していた分子鎖 の配列 の向上が考 え られ る。 また高含水率側 で -3 7- 究 第3 8号 ( 1 9 6 6 ) 木 材 研 現 われ る最大値 は非晶領域 に存在 す る鎖状分子 のセ グメン ト運動 に よる主分散 で あ る と思われ る。 木材 の動 的粘性率 は内部摩擦 とほ とん ど同 じ傾 向を示 し,低含水率 では温 度 の上昇 とともに 減少 し,逆 に高含水率 では温 度 の上昇 とともに増大 す る。低含水率域 におけ る機構 は熱膨脹 に よる鎖状分子 間 の結合 力 の減少 に よっ て説 明 され るが,高含水率域 におけ る機構 に関 しては現 在 の ところ不 明で あ り,今後 の問題 としたい。 Ⅴ 要 約 本報 では操 り自由振動法 を用 いて木材 の動 的剛性率 ,動 的粘性率 お よび内部摩擦 にお よばす 水分 の影響 について調べ た。結果 を要 約 すれば次 の とお りで あ る。 ① 0 o C におい て含水率 8%附近 に最大値 を もち,その後含水率 の増加 動 的剛性率 は温 度 2 とともに急激 に減少 し,線維飽和 点以上 ではほ とん ど変化 しない。温 度が上昇 す る と動 的剛性 率 の最大値 は現 われ ない。 ② 0 o C において含水率 8%附近 に最小値 を もち,含水率 の 動 的粘性率 と内部摩擦 は温 度 2 増 加 とともに増大 して高含水率側 で最大値 を とる。動 的粘性率 お よび内部摩擦 と温 度 の関係 は 低 含水率域 と高含水率域 で異 な る挙動 を とる。つ ま り低含水率 では温 度 の上昇 とともに動 的粘 性率 お よび内部摩擦 は減少 し,高含水率域 では温 度 の上昇 とともに増大 す る。 Summar y dul uso fdynami cvi s c o s i t y and l nt hi s pape r mo dul uso fdynami cr i gi di t y, mo i nt e r nalf r i c t i o no fLAWSON CYPRESSi nl o ngi t udi naldi r ec t i o nwe r e meas ur e d by t hemet ho do fdampe df r eet o r s i o nalvi br at i o nandt hee fe c t so fmo i s t ur ec o nt ento n t he s edynami cpr o pe r t i e s we r edi s c us s e d. Ther es ul t so bt ai ne dar es ummar i z edas f o l l ows: ( 1) At2 0 0 Ct hemo dul us o fdynami cr i gi di t yhast hemaxi mum val ue atabo ut 8pe r c entmo i s t ur ec o nt e ntandt hende c r e as e s wi t hi nc r e as i ngmo i s t ur ec o nt entup . Abo vet henbe rs at ur at i o npo i ntt hemo dul us o fdynami c t oabe rs at ur at i o npo i nt r i gi di t ydoe sno tc hange. Fo rt het e mpe r at ur e abo ve2 0 0 Ct hemo dul us o fdynami c r i gi di t ydec r e as e swi t hi nc r e as l ngmo i s t ur ec o nt e ntandhasno tt hemaxi mum val ue atl ow moi s t ur ec o nt e nt . ( 2) At2 0 0 Ct he i nt e r nalf r i c t i o n andt he mo dul uso fdynami cvi s c o s i t y have t hemi ni mum val ue atabo ut8pe r c entmo i s t ur ec o nt entandi nc r e as ewi t hi nc r e as i ng moi s t ur ec o nt e ntandt hen havet he maxi mum val ueathi h mo g i s t ur ec o nt ent . Fo rt he t empe r at ur e abo ve20 0 Ct hei nt e r nalf r i c t i o nandt he mo dul uso fdynami c vis c o s i t yhaveno tt he mi ni mum val ue atl o w mo i s t ur ec o nt ent . Thei nnuenc eo f t empe r at ur eo nt he vi s c o s i t yo fwo o di s di f f e r entatl o w mo i s t ur ec o nt e ntand at hi g hmo i s t urec o nt e nt . Atl o w mo i s t ur ec o nt entt hevi s c o s i t ydec r eas e swi t hi nc r e as i ngt emper at ur eandathi g hmo i s t ur ec o nt ent i ti nc r eas eswi t hi nc r e as i ng t e mpe r a 一 一 38- 則元 ・山田 :木材の動的掠 り粘弾性 文 蘇 2 ) ))))))))) 1) 2) 3l) 4) 5) 6) 7) 8) 9) 0 123456789 「 ⊥l 11111111 則元,宮野,山田,木材研究,No.3 4,3 7( 1 96 5 ). 則元,山田,木材研究,No.3 5,4 4( 1 96 5 ). oc.2nd.I nt ern.Congr.O n 又heol ogy, HEYB OER,J. ,P.DEKKI NGand A.J.STAVEFMAN,pr 3( 1 9 5 4). 山田,角谷,則元,大迫,竹村,鈴木,木材研究,No.3 4,2 05( 1 9 6 5 )・ 山田,角谷,則元,大迫,岡,金谷,木材研究,No.3 7,4 9( 1 9 6 6 )・ 鈴木正治,京都大学学位論文,1 4( 1 9 6 5). KoL LMANN,F.undH.KRECH,Hol zal sRobundWerks t of,1 8,4( 1 96 0). 梶田,山田,鈴木,木材誌,7,31( 1 9 61 ). 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