RCNP 研究会 「核子と中間子の多体問題の統一的描像にむけて」 中性子過剰核での N = 8 魔法数の破れと一粒子描像 金子 剛樹,梅谷篤史A,武藤一雄 東京工業大学 A大阪電気通信大学 大阪大学 核物理研究センター 2007年12月14日 Motivation • 中性子過剰核での N = 8 魔法数の破れ 11Be (parity inversion) 12Be (低い第一2+状態) 11Li (halo 構造) • N = 20 の破れ Mg や Na isotope での 大きな変形や遷移確率 「“island of inversion” (N = 20 の破れ) の領域はどこまでか?」 については多くの研究がなされている D. Kameda et al., Phys. Lett. B 647, 93 (2007). Y. Utsuno et al., Phys. Rev. C 70, 044307 (2004). 「どの原子核で魔法数 N = 8 が破れるか?」 E. K. Warburton et al., Phys. Rev. C 41, 1147 (1990). N = 8 魔法数 N = 8 魔法数 中性子の一粒子 0p1/2 と 1s1/2 軌道の間の大きなエネルギーギャップとして理解 魔法数の消失は N = 7 の原子核でもっとも clear に見える - 6個の中性子で軌道は満たされており、最後の1個で状態が決まる と考えられる N=7 sd shell 「1s1/2 と 0p1/2 の間のエネルギー差」 に着目して魔法数の破れを見る p shell Neutron s shell Set up • Calculation method - Shell model with spherical harmonic oscillator basis • Set up p-shell 領域の中性子過剰核の magnetic moment や β decay の強度を再現するように つくられたもの - Effective interaction: SFO T. Suzuki, R. Fujimoto, T. Otsuka, Phys. Rev. C 67, 044302 (2003) - Model space: p and sd shell with the inert 4He core allowing up to 3-nucleon excitations from p shell to sd shell The energy difference between 1s1/2 and 0p1/2 for N = 7 nuclei (1) Even-Z nuclei Ex. 最も simple な配位のみを仮定 4He (Cal) 4He I. Talmi and I. Unna, Phys. Rev. Lett. 4, 469 (1960) The energy difference between 1s1/2 and 0p1/2 for N = 7 nuclei (2) Odd-Z nuclei 1 - , 2- Ex. × 4He × (Cal) 4He Single-particle energy 一粒子エネルギー monopole interaction: A. Umeya and K. Muto, Phys. Rev. C 74, 034330 (2006) Energy difference between the 1s1/2 and the 0p1/2 orbits for even-Z for odd-Z for even-Z 原子核の energy spectrum から 単一の配位を仮定して引き出されるエネルギー差 for odd-Z valence 核子間の二体力と配位混合を考慮して計算される 一粒子エネルギーの差 1s1/2 0p1/2 0p3/2 0s1/2 11Be では のひらきがあるにも関らず、 基底状態は Jπ = 1/2+ (明らかな魔法数の破れ) Occupation numbers in the 0p1/2 and the 1s1/2 neutron orbits lowest 1/2- state での 中性子 0p1/2 軌道の占有数 (even-Z ) p: lowest-lying positive parity doublet における 中性子 0p1/2 軌道の占有数の平均 (odd-Z ) での 中性子 1s1/2 軌道の占有数 (even-Z ) lowest-lying negative parity doublet における 中性子 1s1/2 軌道の占有数の平均 (odd-Z ) + s : lowest 1/2 state 0p1/2 の占有数はほぼ1 N = 7 isotones よい一粒子状態 (状態を という配位で十分記述できる) 1s1/2 0p1/2 0p3/2 0s1/2 1s1/2 の占有数は1より小さい よい一粒子状態ではない (1s1/2 の一粒子強度が分散している) Configuration mixing between 1s1/2 and 0d5/2 0d5/2 と 1s1/2 が近接 これらの軌道間の配位混合によって lowest 1/2+ state 及び lowest negative parity doublet の エネルギーが下がる 結果的に、 一粒子エネルギー的に数MeV のひらきがあっても 魔法数の破れを示す現象 (11Be での parity inversion など) が現れる Mixing of sd-shell configurations in N = 8 nuclei 波動関数の中身(成分)を調べることで、魔法数の破れを見る 基底状態の波動関数に、 中性子が sd-shell に存在するような配位がどれだけ混ざっているか? Z = 2,3,4 での魔法数の破れ N = 8 の核における、基底状態の配位混合の割合 (%) Z = 3,4 では40%近く、 Z = 2 では80%以上含まれる Z = 2,3,4 と Z=5 以上で著しい違い Single-particle energy for the isotones and the isotopes N = 7 isotones (fixed-N ) Be isotopes (fixed-Z ) 陽子数が一定なら、 中性子数の増加では中性子の一粒子構造はほとんど変わらない He, Li, Be では中性子数によらず魔法数は破れている (N が小さい核では、関与する軌道に中性子が入っていないので、 実験で見るのは困難?) Summary • 中性子の 0p1/2 と 1s1/2 軌道の間のエネルギー差を計算することで N = 8 魔法数が破れている核を調べた。 - Z≦4 の原子核で魔法数は破れている - ただし、魔法数が破れているとはいえ、中性子の一粒子軌道が 逆転しているわけではない。(数MeVのギャップがある) - 0p1/2 と 1s1/2 の occupation number の違い - 1s1/2 と 0d5/2 が近接していることによる配位混合の影響で エネルギー準位が下がる 中性子数の増加のみでは一粒子エネルギーはほとんど変化しない - n -n 間モノポール相互作用の弱さ 14N と 15O で occupation number が小さい理由 Ex. 14N lowest 0- , 1- 状態 4He proton neutron 1s1/2 1s1/2 0p1/2 0p3/2 0p1/2 0p3/2 4He proton neutron この2種類の配位がまったく同じ割合で波動関数に混ざる (アイソスピン対称性のため) Z が7を越えると、陽子が excite した configuration も効いてくる この状態における中性子の軌道の occupation number を見ると かなり小さくなる
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