債券投資デイリー リサーチ部 債券ストラテジスト 稲留 克俊 リサーチ部 マーケットエコノミスト 大塚 崇広 2015年2月26日(木) 1.前営業日の債券市場 25 日の長国先物は、大幅続伸。イエレン FRB 議長の 長期国債先物日足チャート (円) 149.0 議会証言を受けて上昇した米債市場の流れを引き継 148.67円(1/20) 148.5 遅行スパン ぎ、買いが先行。その後も、日を通して堅調に推移し 基準線 148.0 転換線 た。日銀長国買入オペや株価の軟化、円高が相場の支 先行スパン2 先行スパン1 147.5 えとなった。 147.0 現物債も、長期・超長期ゾーンを中心に全般的に堅 146.5 調。新発 30 年国債利回りは節目の 1.4%を割れ、一時 146.0 1.380%と約 2 週間ぶりの水準にまで低下した。新発 5 145.71円(11/13) 145.5 年債利回りも約 2 週間ぶりに 0.1%割れ。 145.25円(9/19) 145.0 9/1 9/12 9/29 10/10 10/24 11/7 11/20 12/4 12/17 1/5 1/19 1/30 2/13 注 :中心限月ベース、2015年2月25日時点 出所:三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成 2/26 3/11 (月/日) 注:市場データは次ページのデータ集を参照ください。 2.本日の債券市場見通し 予想レンジ(日中) 債券先物(3 月限) 147.75 円 新発 10 年国債利回り 0.320 % ~ ~ 148.00 円 0.340 % 本日の債券市場見通しは、じり高相場が継続する展開。 5 年・0.10%、10 年・0.35%という節目の水準を下回ってきた。特に 10 年・0.3%台前半は、3 月 3 日の 10 年利付国債 入札でテールが大きく流れた(45 銭)時の水準だけに、買い進むことへの警戒感はある。しかし、じり高が続く地合いは今 日も変わらないだろう。昨日の米長期金利は、FRB 早期利上げ観測の後退により 2%を下回る水準を維持している。ま た、円債の需給環境を考えても、決算期末や 3 月大量償還を前に、保有国債を売り急ぐ投資家は少ないとみられる。売 り圧力が弱いなかで、日銀の大規模国債買入が(明日以降)続くため、じり高相場は継続しやすい。今日実施される 2 年 利付国債入札も、波乱は見込まれない。底堅い展開が続くと予想している。 石田日銀審議委員が講演・会見を行う。石田委員は 12 年 12 月 19、20 日の金融政策決定会合で当預付利の撤廃を 提案。固定金利オペや貸出増加支援資金供給などにおける貸付利率の引き下げ(0.1%→0.03%)も主張した(反対多数 で否決)。現在は当時と比較すると、各種短期金利の低下が進んでいるため、0.1%の当預付利は相対的に「高金利」と 化している。白川体制下にあった当時と現在では金融政策の枠組みが違っているとはいえ、いま石田委員が 0.1%の当 預付利をどう捉えているかが聞けたら興味深い。 注:前営業日以降のニュース・海外市況及び本日の相場材料や市場予想等は次頁のデータ集をご覧下さい。 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 -1- 3.データ集 ●本日の相場材料 <国債先物> 市場予想 前日(日中)比 長期【日中】(Mar15) 前回実績 始値 147.60 10:30 石田日銀審議委員、講演(神奈川県金融経済懇談会) 14:30 記者会見 高値 147.88 12:35 3ヵ月T-Bill入札 安値 147.56 12:45 2年国債入札 清算値 147.85 ( +0.35 ) 長期【夜間】(Mar15) 清算値 147.85 ( +0.00 ) 超長期【日中】(Mar15) 清算値 210.00 ( +1.15 ) ●前営業日の国内・海外市況 <JGB> 2年349回債 始値 高値 安値 終値 0.025 % 0.025 % 0.015 % 0.020 % (前日比) <短期金利> (▲0.010%) 終値 前日比 5年122回債 0.100 % 0.100 % 0.095 % 0.095 % (▲0.010%) 無担保コールレート 10年337回債 0.360 % 0.360 % 0.335 % 0.335 % (▲0.040%) 東京レポレート 20年151回債 1.170 % 1.175 % 1.135 % 1.135 % (▲0.050%) LIBOR・3M 0.09786% ( +0.00215% ) 30年 45回債 1.390 % 1.395 % 1.380 % 1.380 % (▲0.030%) LIBOR・6M 0.13786% ( +0.00143% ) 40年 1.481 % 1.481 % 1.481 % 1.481 % (▲0.031%) 日本円TIBOR・3M 0.17182% ( ▲0.00091% ) 0.905 % (+0.015%) 日本円TIBOR・6M 物価連動国債19回債BEI <経済指標> (翌日物) 0.086% ( (翌日物T+1) +0.065% ( 0.25818% ( 実績 市場予想 前回実績 T-Bill・3M (#514) ▲0.009% ( ▲0.84% n.a ▲0.89% T-Bill・6M (#511) ▲0.006% ( <国債入札・オペ> T-Bill・1Y (#513) ▲0.010% ( 日銀・国債買入:(1年超3年以下)4,001億円、(3年超5年以下)4,004億円 ユーロ円金先 (Dec15) 日経・東大日次物価指数 Y ) 0.00000% ) ▲0.002% ) 0.000% ) ▲0.002% ) +0.005 ) <JGBパーイールド・SWAP金利> (10年超25年以下)2,402億円、(25年超)1,405億円 <株式> 99.860 ( +0.009% ▲0.001% ) 終値 JGB 前日(OSE)比 SWAP (前日比) (前日比) 日経平均株価 18,585.20 ( ▲18.28 ) 1Y 0.010 % ( ▲0.004% ) 0.140 % ( TOPIX 1,507.62 ( ▲0.66 ) 2Y 0.024 % ( ▲0.008% ) 0.139 % ( ▲0.003% ) 18,625 ( ▲5 ) 3Y 0.027 % ( ▲0.011% ) 0.150 % ( ▲0.006% ) 4Y 0.062 % ( ▲0.009% ) 0.179 % ( ▲0.010% ) 5Y 0.087 % ( ▲0.014% ) 0.221 % ( ▲0.014% ) シカゴ日経平均先物(Mar15)(円建て) <外国為替> 終値 (東京) (海外) 118.85 ( +0.03 ) 6Y 0.079 % ( ▲0.017% ) 0.273 % ( ▲0.019% ) ドル/ユーロ (東京) 1.1372 ( +0.0043 ) 7Y 0.122 % ( ▲0.033% ) 0.329 % ( ▲0.024% ) (海外) 1.1361 ( ▲0.0011 ) 8Y 0.210 % ( ▲0.035% ) 0.389 % ( ▲0.029% ) 9Y 0.280 % ( ▲0.035% ) 0.451 % ( ▲0.031% ) 10Y 0.349 % ( ▲0.033% ) 0.516 % ( ▲0.034% ) WTI 終値 (Apr15) 50.99 (Apr15) CRB NY GOLD <夜間・海外> +1.71 223.95 ( +1.69 ) 11Y 0.444 % ( ▲0.041% ) 0.584 % ( ▲0.036% ) 1201.5 ( +4.2 ) 12Y 0.521 % ( ▲0.043% ) 0.655 % ( ▲0.037% ) 13Y 0.599 % ( ▲0.044% ) 0.726 % ( ▲0.038% ) +28.21 ) 14Y 0.680 % ( ▲0.045% ) 0.798 % ( ▲0.039% ) ▲0.043% ) 15Y 0.768 % ( ▲0.045% ) 0.869 % ( ▲0.040% ) +1/32 ) 16Y 0.861 % ( ▲0.045% ) 0.925 % ( ▲0.041% ) 0.328% (Mar15) ) ( ) 前日比 24,778.28 ( ドイツ国債10年利回り ▲0.42 前日比 終値 香港ハンセン指数 米国債先物10年 ( ) 円/ドル <商品> 118.82 前日(東京)比 0.000% ( 128 23/32 ( 米国債2年利回り 0.61% ( +0.05% ) 17Y 0.955 % ( ▲0.044% ) 0.980 % ( ▲0.041% ) 米国債10年利回り 1.97% ( +0.00% ) 18Y 1.043 % ( ▲0.043% ) 1.036 % ( ▲0.042% ) 米NYダウ 18,224.57 ( +15.38 ) 19Y 1.123 % ( ▲0.041% ) 1.092 % ( ▲0.042% ) 米NASDAQ 4,967.137 ( ▲0.985 ) 20Y 1.188 % ( ▲0.038% ) 1.148 % ( ▲0.043% ) 21Y 1.240 % ( ▲0.035% ) 1.177 % ( ▲0.043% ) 22Y 1.279 % ( ▲0.032% ) 1.207 % ( ▲0.043% ) 23Y 1.307 % ( ▲0.029% ) 1.237 % ( ▲0.044% ) 24Y 1.328 % ( ▲0.026% ) 1.267 % ( ▲0.044% ) 25Y 1.344 % ( ▲0.024% ) 1.296 % ( ▲0.045% ) 26Y 1.358 % ( ▲0.023% ) 1.312 % ( ▲0.045% ) 27Y 1.372 % ( ▲0.022% ) 1.328 % ( ▲0.045% ) 28Y 1.385 % ( ▲0.022% ) 1.344 % ( ▲0.046% ) 29Y 1.399 % ( ▲0.022% ) 1.360 % ( ▲0.046% ) 30Y 1.413 % ( ▲0.023% ) 1.376 % ( ▲0.046% ) 40Y 1.547 % ( ▲0.025% ) 1.495 % ( ▲0.046% ) <ニュース、要人発言等> ●内閣府、14年10-12月期需給ギャップを▲2.2%と試算(7-9月期:▲2.6%) ●日銀審議委員人事、宮尾龍蔵日銀審議委員の後任に原田泰早大教授を起用する人事 が国会で承認 ●中国2月製造業PMI(HSBC、速報値)、50.1(予想:49.5、1月:49.7) ●ドラギECB総裁、(欧州議会で)「(改革)プログラムが完遂される条件が整ったと理事会が 判断すれば、直ちに(ギリシャ国債を資金供給オペの適格担保として認める)特例措置を復 活させる」 ●米1月新築住宅販売件数、年率換算48.1万戸(予想:47.0万戸、12月:48.2万戸) ●イエレンFRB議長、(下院金融委員会で)「インフレ率は今後低下し、その後上昇に向かうと考 える。輸入物価はドル高を背景に低下傾向にあり、原油安が大きな影響を与えてい る。ただこれらの要因が及ぼす影響は一時的。労働市場の改善を受けて、向こう2~ 3年の中期的なインフレ率は2%の目標に向けて上昇すると予想している」 注 :JGB4本値は、2-30年がロイターJPN/GOVT1より、40年はBloomberg generic、物価連動国債BEIは弊社引値 出所:日本銀行、日本経済新聞、Reuter、Bloomberg等より三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 -2- 債券投資デイリー 2015年2月26日 【ご案内】 ◆「債券投資デイリー」の e メール配信先の変更・追加・削除等につきましては、お手数ですが弊社の営業担当者までお申し付けください。 ◆「債券投資デイリー」は、Bloomberg に開設している弊社リサーチページ、および弊社ホームページでもご覧いただけます。 〔Bloomberg〕 MUFI 〔ホームページ〕 http://www.sc.mufg.jp/wholesale/ws_report/gb_market/index.html 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2015 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. 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