4 月の企業マインドは予想外の改善

景気循環研究所レポート
4 月の企業マインドは予想外の改善
2014 年 4 月 18 日
消費増税の直後にもかかわらず、大企業の業況が改善している。18 日
大企業の業況が改善
に発表された 4 月のQUICK短観によると、同月の上場企業・製造業の
業況判断DIは+28 となり、3 月の+27 に比べて 1 ポイント上昇した(図 1)。
同・非製造業の業況判断DIは、3 月の+29 から 7 ポイント上昇の+36 と
なっており、07 年 5 月(+39)以来、約 7 年ぶりの高水準を記録した。
調査時点から 3 ヵ月後の業況見通しを示す「先行きDI」をみると、企
消費増税の影響は小さい
業は 2 月以降、先行きに慎重な姿勢を強めていたことがわかる(表 1)。
しかし、今回発表された業況判断DIをみる限り、消費税率引き上げ(5%
→8%)に伴う駆け込み需要の反動減の影響は、企業が想定したほど大き
くなかった可能性がある。直近 4 月の製造業の業況判断DIと、その 3
ヵ月前である 1 月時点の先行きDIの乖離幅(現状DI-先行きDI)を
見ると、1 月の先行きDIが高水準だったにもかかわらず、4 月の現状D
Iは 1 月の先行きDIと同水準にとどまっている。先行きDIは 2 月から
4 月にかけて急速に低下していることからみて、今後は「現状DI-先行
嶋中 雄二
景気循環研究所長
宮嵜
きDI」が上振れしやすい地合いが続くとみられる。駆け込み需要の反動
減が想定以上となって過剰在庫が積み上がり、製造業が在庫調整のために
大幅な減産を余儀なくされる事態は、回避できる可能性が出てきたといえ
浩
シニアエコノミスト
03-6213-6573
miyazaki-hiroshi
@sc.mufg.jp
る(図 2)。
図1. QUICK短観・業況判断DIの推移
60
(「良い」-「悪い」、%ポイント)
非製造業
圭亮
40
シニアエコノミスト
03-6213-2608
fukuda-keisuke
@sc.mufg.jp
20
福田
本レポートは、嶋中雄二の見方に
基づき、宮嵜・福田が執筆を担当
しています。
景気循環研究所
東京都千代田区丸の内 2-5-2
三菱ビルヂング
07年5月
製 造 業:+32
非製造業:+39
0
14年4月
製 造 業:+28
非製造業:+36
-20
-40
製造業
-60
-80
07
08
09
10
11
12
13
(年、月次)
14
(注)シャドー部は景気後退期(内閣府調べ)。12年4月の山は暫定日付。12年11月の谷は景気循環研究所推計。
(資料)QUICK「QUICK短期経済調査」をもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所作成
1
2014 年 4 月 18 日
物価上昇圧力は増大
大企業の業況が一段と改善するとともに、設備の過剰感は解消し、かつ雇
用の不足感が一段と増大している。4 月の生産・営業用設備判断DIは 3 ヵ
月ぶりの「不足」超となったうえ、雇用人員判断DIの「不足」超幅が拡大
した(表 2)。生産・営業用設備判断DIと雇用人員判断DIを資本・労働
分配率で加重平均して算出した「設備・雇用加重平均DI」は、直近 4 月に
▲12 まで「不足」超幅が拡大しており、マクロの需給ギャップが 08 年 6 月
(▲14)にほぼ匹敵する水準まで改善している可能性を示している(図 3)。
過去を見ると、「設備・雇用加重平均DI」は、消費者物価指数(生鮮食品
を除く総合=コアCPI)の前年比上昇率に先行して動く傾向がある。消費
増税後も、デフレ脱却の動きは一段と鮮明になる公算が大きい。
表2. 設備・雇用・価格判断DI(全産業)
表1. 業況判断DI
( 単 位 : %ポイント)
全産業
現状
先 行き
22
18
22
22
32
26
28
32
13年9月
10月
11月
12月
14年1月
2月
3月
4月
製造業
26
23
25
27
31
25
21
19
現状
先行き
15
11
21
20
29
23
27
28
( 単 位 : %ポイント)
非製造 業
現状
22
18
22
28
28
25
22
20
先行き
27
23
24
24
33
29
29
36
29
26
28
27
32
25
19
18
改善
30
88
92
製造業の業況判断DI
現 状 - 先 行 き (左目盛)
20
仕入
用設備
人員
価格
価格
0
4
1
1
▲ 2
1
1
▲ 3
11月
12月
14年1月
2月
3月
4月
100
0
-10
( %ポイント)
-40
( 前年 比、 %)
4
不足
-30
悪化
10
11
12
13
-20
2
-10
1
0
0
112
10
-1
124
128
14 ( 年、 月次 )
( 注) 「現 状- 先行 き」 は、 「現 状DI」と 「3ヶ 月前 の先 行き DI」 の乖 離幅 。
( 資料 )経 済産 業省 「生 産・ 出荷 ・在 庫指 数」 、QUICK「 QUICK短 期経 済調 査」 をも とに
三 菱UFJモル ガン ・ス タン レー 証券 景気 循環 研究 所作 成
3
消費者物価指数
(生鮮食品を除く総合、右目盛)
20
-2
120
-40
30
31
30
30
37
36
34
37
108
-20
製品在庫率指数(右逆目盛)
3
6
5
3
1
3
▲ 1
6
104
116
下振れ
▲
▲
▲
▲
▲
( 注 ) 金 融を 除 く 。
( 資 料 ) QUICK「 QUICK短 期 経 済 調 査 」 を も と に 三 菱 UFJモ ル ガ ン ・
スタンレー証券景気循環研究所作成
96
10
-30
▲ 5
▲ 7
▲ 11
▲ 13
▲ 13
▲ 16
▲ 15
▲ 18
図3. 設備と雇用の過不足感とインフレ率
(10年= 100)
上振れ
販売
10月
図2. 業況の上振れ・下振れと製品在庫率
40
雇用
13年9月
( 注 ) 金 融を 除 く 。
( 資 料 ) QUICK「 QUICK短 期 経 済 調 査 」 を も と に三 菱 UFJモ ル ガ ン ・ ス タ ン レ ー 証 券 景 気 循 環
研究所作成
( %ポイント)
生産・営業
設備・雇用加重平均DI(左逆目盛)
30
-3
過剰
40
08
09
10
11
12
13
(年 、月 次)
-4
14
( 注) 設備 ・雇 用加 重平 均DIは、 生産 ・営 業用 設備 判断 DIと 雇用 人員 判断 DIを 分配 率ウエイトで 加重 平均
して 算出 。08年3月 は同 年2月の 雇用 人員 判断 DIを もと に算 出、 同年 4~5月は 線形 補間 推計 。
( 資料 )総 務省 「消 費者 物価 指数 」、 QUICK「QUICK短期 経済 調査 」を もと に三 菱UFJモル ガン ・
ス タン レー 証券 景気 循環 研究 所作 成
(以
上)
みやざき
ひろし
(14.4.18 宮嵜
巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。
2
浩)
2014 年 4 月 18 日
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