景気循環研究所レポート 景気循環研究所の 金融政策展望(3/14・15、日銀決定会合) 2016 年 3 月 11 日 ECB はマイナス金利と量的 緩和を同時に拡大 欧州中央銀行(ECB)は、3 月 10 日の理事会で、政策金利(0.05%→0.00%) および中銀預金金利の引き下げ(▲0.30%→▲0.40%)などと同時に、量 的金融緩和の拡大を決定した。市場では、今回は利下げのみ実施との事前 予想が多かっただけに、今回の量的緩和によって、デフレ阻止に向けた ECB の積極的な姿勢がより鮮明になったといえる。 量的金融緩和は通貨安に つながりやすい 今回の決定後、ドラギ ECB 総裁が会見で追加利下げ観測を否定したこと もあり、当日の外国為替市場ではユーロが買い戻される展開となった。た だ、過去の経験則では、ECB が(カバードボンド等の購入を含めた広義の) 量的緩和を実施すると、ユーロ相場に下落圧力がかかるケースが多い。半 面、利下げ(マイナス金利幅の拡大)のみにとどめた 2015 年 12 月の ECB の金融緩和は、ユーロ相場の下落には必ずしも繋がっていない。日本の金 融政策と為替レートの間にも、同様の傾向が確認できる(図 1)。 原油価格が反転・上昇の動きを見せる中、日銀がマイナス金利を導入し 日銀も量的・質的緩和の 拡大に踏み切る可能性 たことによって、2%物価目標の達成時期がさらに先延ばしされる可能性 は小さくなった。ただし、円高・株安圧力を払拭するには、現行のマネタ リーベース年 80 兆円増額では力不足である。政府が目指す 2020 年までの 嶋中 雄二 景気循環研究所長 名目 GDP600 兆円を実現するためにも、日銀は 3 月 14-15 日の金融政策決 鹿野 達史 景気循環研究所副所長 円程度の購入拡大に踏み切り、さらに 4 月には、予定されている新たな シニアエコノミスト 宮嵜 定会合で、国債買入れ増額の他、地方債や政府関係機関債など、計 10 兆 ETF 購入枠(3000 億円)の上限を引き上げる可能性がある。 浩 図1. 日本とユーロ圏の金融政策と為替レートの関係 シニアエコノミスト 03-6213-6573 円高 (円/ドル) (ドル/ユーロ) 100 miyazaki-hiroshi@sc.mufg.jp 105 ドル・円レート(左目盛) 量的緩和拡大 110 福田 圭亮 マイナス金利決定 115 シニアエコノミスト 120 03-6213-2608 125 利下げ fukuda-keisuke@sc.mufg.jp マイナス金利拡大+量的緩和拡大 130 カバードボンド購入 ABS購入 135 本レポートは、嶋中雄二の見方に 量的緩和決定 140 基づき、宮嵜・福田が執筆を担当 マイナス金利拡大 しています。 145 ユーロ・ドルレート(右目盛) 円安 150 14/7 14/10 15/1 15/4 15/7 15/10 16/1 景気循環研究所 東京都千代田区丸の内 2-5-2 (資料)Bloombergなどをもとに三菱UFJモルガン・スタンレー証券 景気循環研究所作成 三菱ビルヂング (16.3.11 1 1.6 ユーロ高 1.5 1.4 1.3 1.2 1.1 1.0 0.9 ユーロ安 (年/月、日次) (以 みやざき 上) ひろし 嶋中 雄二・宮嵜 浩 ) 2016 年 3 月 11 日 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2016 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved. Copyright ◯ 〒100-0005 東京都千代田区丸の内 2-5-2 三菱ビルヂング 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 景気循環研究所 (商号) 三菱 UFJ モルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2336 号 (加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取 引業協会 本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA),Inc.が配布致します。 巻末に重要なお知らせを記載していますので、ご参照ください。 2
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