外貨投資の視点 (No.210) リサーチ部 チーフ為替ストラテジスト 植野 大作 2015年3月27日 ドル円相場:2015年3月の回顧と新年度の展望 ポイント 3月のドル円相場は一時122円台へ続伸、ドル高・円安局面は過去最長記録となる「41ヶ月目」に突入 今後、日米金融政策格差は一段と広がることが予想され、為替需給環境も円売り優位の状態が継続 4月から始まる2015年度中もドル円相場は断続的に最長上昇記録を更新、いずれ125円超の空中戦へ 3 月のドル円相場~上旬 は、7 年 8 ヶ月ぶりの 122 円 台 に 急 騰 し た 後 、 121 円前後に小反落 3月のドル円相場は一時7年8ヶ月ぶりの水準に急騰した後、弱含む展開となっている。 月初来の動きを振り返ると、上旬は下値を固めて急伸。週明け2日に119円50銭台で始動 した後、NYダウが史上最高値を更新すると3日の早朝に一時120円27銭まで上昇したが、 同日夜のNY市場でイスラエル首相の米議会演説が嫌気されると119円38銭付近へ反落 した。ただ、119円台前半では本邦外為保証金(FX)取引などの押し目買いが手厚く、翌 4日にかけては119円台後半を中心とするレンジに持ち直した。5日の東京市場で国内輸 入企業や年金資金のドル買いが意識されると上昇、NY時間帯に120円00銭のバリア・オ プションが突破されると120円40銭付近へ急伸した。その後は一旦120円00銭前後に押し 戻されたが、6日に発表された米2月雇用統計が市場予想を上回ると急騰、一時121円28 銭と約3ヶ月ぶりの121円台を回復した。急ピッチの買い一巡後には反落したが、120円台 後半の下値が堅い。週明け9日にアップル・ウォッチの発表が好感されると121円41銭まで 上昇、翌10日の東京市場で「ゴトウ日のドル買い」などが意識されて121円60銭台に続伸 した後、ニュージーランドで粉ミルクへの毒物混入予告が嫌気されるとオセアニア通貨に 対しドルが急騰、ドル円も巻き込まれて一時122円03銭と2007年7月20日以来の高値を記 録した。その後、7年8ヶ月ぶりのドル高水準で高値警戒感が広がると121円台に反落、米 大統領経済諮問委員長が「強いドルは米国に逆風」と述べると一時120円92銭付近に軟 化する場面もあったが、ルー財務長官が「米国経済は非常に堅固」などと発言すると下げ 渋り、121円台前半に持ち直した。 3 月のドル円相場~中旬 は、FOMC の金利見通し 下方修正で 119 円台前半 に急落したが、その後は 買い戻されて乱高下 中旬のドル円相場は急落後に乱高下。11日の朝方はドル売り・円買いが先行したが、 対ユーロではドル高が進んだため、120円80銭台では底堅く推移した。12日に国内輸入 企業や長期資金のドル買いが観測されると121円60銭台へ反発したが、米2月小売売上 の弱い結果が嫌気されると120円60銭台に押し戻された。ただ、120円台後半では国内外 の短期筋による押し目買いで下げ渋り、すぐに121円台に買い戻された。週末13日以降 は翌週半ばの米連邦公開市場員会(FOMC)を控えた様子見となり、週明け16日、17日 にかけて121円台前半を中心とする狭い値幅で膠着した。その後、18日の米FOMC声明 文では利上げの開始を「忍耐強く待てる(can be patient)」との文言が削除されたものの、 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 -1- 外貨投資の視点 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。本 資料で直接あるいは間接に採り上げられている有価証券は、価格の変動や、発行者の経営・財務状況の変化およびそれらに関する外部評価 の変化、金利・為替の変動などにより投資元本を割り込むリスクがあります。ここに示したすべての内容は、当社の現時点での判断を示している に過ぎません。本資料は、お客様への情報提供のみを目的としたものであり、特定の有価証券の売買あるいは特定の証券取引の勧誘を目的と したものではありません。本資料にて言及されている投資やサービスはお客様に適切なものであるとは限りません。また、投資等に関するアドバ イスを含んでおりません。当社は、本資料の論旨と一致しない他のレポートを発行している、或いは今後発行する場合があります。本資料でイン ターネットのアドレス等を記載している場合がありますが、当社自身のアドレスが記載されている場合を除き、ウェッブサイト等の内容について当 社は一切責任を負いません。本資料の利用に際してはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。 当社および関係会社の役職員は、本資料に記載された証券について、ポジションを保有している場合があります。当社および関係会社は、 本資料に記載された証券、同証券に基づくオプション、先物その他の金融派生商品について、買いまたは売りのポジションを有している場合が あり、今後自己勘定で売買を行うことがあります。また、当社および関係会社は、本資料に記載された会社に対して、引受等の投資銀行業務、 その他サービスを提供し、かつ同サービスの勧誘を行う場合があります。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の役員(会社法に規定する取締役、執行役、監査役又はこれらに準ずる者をいう)が、以下の会社の役員 を兼任しております:三菱UFJフィナンシャル・グループ、三菱倉庫。 債券取引には別途手数料はかかりません。手数料相当額はお客様にご提示申し上げる価格に含まれております。 本資料は当社の著作物であり、著作権法により保護されております。当社の事前の承諾なく、本資料の全部もしくは一部を引用または複製、 転送等により使用することを禁じます。 c 2015 Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co., Ltd. All rights reserved. Copyright ◯ 〒112-8688 東京都文京区目白台3-29-20 目白台ビル 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 リサーチ部 (商号) 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2336号 (加入協会) 日本証券業協会・一般社団法人金融先物取引業協会・一般社団法人日本投資顧問業協会・一般社団法人第二種金融商品取 引業協会 本資料は信頼できると思われる各種データに基づいて作成されていますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではなく、利用に際し 本資料は、英国において同国the Prudential Regulation Authorityとthe Financial Conduct Authorityの監督下にあるMitsubishi UFJ てはお客様ご自身でご判断くださいますようお願い申し上げます。巻末に重要な注意事項を記載していますので、ご参照下さい。 Securities International plcが配布致します。また、米国においては、Mitsubishi UFJ Securities (USA), Inc.が配布致します。 - 16 - 外貨投資の視点
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