マーケット・フォーカス 経済・為替:日米首脳会談 2017/ 2/13 投資情報部 チーフ FX ストラテジスト 鈴木 健吾 シニアエコノミスト 宮川 憲央 波乱なく通過した日米首脳会談、為替は円安に 2/10に行われた日米首脳会談では、事前に一部で懸念されていた日本の通貨・金融政策や 自動車貿易に関する批判的な発言が出なかった等、経済政策面で無難な結果となった。 今後は、麻生副総理とペンス副大統領のもとで新たな経済対話の枠組みが構築され、①マ クロ経済政策の連携、②インフラ、エネルギー等での協力、③2国間の貿易枠組みの協議が 議論されることになる。為替については、財務担当大臣の間で議論を継続することとされた。 ドル円相場にとっては、具体的な為替に関する批判が避けられ、日米関係の重要性が確認 されたことで、短期的にも中長期的にも今回の日米首脳会談はドル高円安方向の材料に なったとみている。ドル円相場は目先調整の動きにあるものの、春先にかけては再びドル高 円安への動きが強まる展開を想定。 懸念された通貨・金 融政策へ の 批判は みられず 2/10に行われた日米首脳会談では、事前に一部で懸念されていた日本の通貨・ 金融政策や自動車貿易に関する批判的な発言が出なかった等、経済政策面で無 難な結果となった。一方で、尖閣諸島に米国の対日防衛義務を定めた日米安全保 障条約第5条が適用されることが確認される等、安全保障面での日米同盟の重要 性が改めて確認される内容となった。トランプ大統領との信頼関係の構築を含め、 日本としてはひとまず成功裏に終わったといえるだろう。 今後は、麻生副総理とペンス副大統領のもとで新たな経済対話の枠組みが構築 され、①マクロ経済政策の連携、②インフラ、エネルギー等での協力、③2国間の貿 易枠組みの協議が議論されることになる。また、為替については財務担当大臣(日 本の財務大臣と米国の財務長官)の間で議論を継続することとされた。 自動車をはじめ米産業界からの日本の通商・通貨政策に関する不満を背景に、 今後もトランプ大統領から通貨安誘導や不公平とする自動車貿易に対する不規則 かつ批判的な発言が続く可能性は残る(事実に基づいているか疑わしい面はある が)。実際、大統領は記者会見において、直接的な日本に対する批判ではなかった ものの、「各国の通貨切り下げに不満を言ってきた」、「公正な貿易の実現には通貨 安誘導の是正が唯一の道」と述べた。このため、金融市場が短期的にはこうした発 言に振り回される可能性はある。 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1 2017/2/13 マーケット・フォーカス ただし、今回の会談で日米関係の重要性が確認され、経済対話の枠組みが設け られたことによって、大統領の直接的な関与を避け、実務的に議論が進んでいくこと が期待されよう。一方、経済対話の場では、改めて日米2国間自由貿易協定(FTA) や自動車市場の開放が求められる可能性もあるため、今後の議論の行方を注目し ておきたい。 日米首脳会談の主な内容 安全保障 日米同盟はアジア太平洋地域における平和、繁栄および自由の礎 在日米軍の再編に対する日米のコミットメントや日米両国が普天間飛行場の代替施設を辺野古地 区に建設する計画にコミットしていることを確認 日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを確認 東シナ海の平和と安定を確保するための協力を深める 南シナ海における緊張を高め得る行動を避け、国際法に従って行動することを関係国に求める 北朝鮮に対し、核および弾道ミサイル計画を放棄し、さらなる挑発行動を行わないよう強く求める 経済関係 国内および世界の経済需要を強化するために相互補完的な財政、金融および構造政策という3本 の矢のアプローチを用いていくとのコミットメントを再確認 自由で公正な貿易ルールにもとづいて、日米両国間およびアジア太平洋地域における経済関係を 強化することに引き続き完全にコミット 日米間の貿易・投資関係双方の深化と、アジア太平洋地域における貿易、経済成長および高い基 準の促進に向け、最善の方法を探求。これには、日米二国間の枠組みに関して議論を行うこと、日 本が既存のイニシアティブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進することを含む 麻生副総理とペンス副大統領による新たな経済対話の枠組みを構築 経済対話では①財政、金融等マクロ経済政策の連携、②インフラ、エネルギー、サイバー、宇宙で の協力、③2国間の貿易枠組みの協議が議論される 為替については日米の財務担当大臣の間で緊密な議論を継続 出所:首相官邸、外務省のホームページ、各種報道資料よりみずほ証券作成 ドル円相場にはドル 高円安材料 円相場に対する発言 は封印 週明けのドル円相場はドル高円安方向に反応。中長期的にも今回の日米首脳会 談はドル高円安方向の材料になるだろうと考えている。 短期的な反応の背景としては、円相場に関するトランプ大統領の発言が封印され たことが大きい。今回の会合では「環太平洋経済連携協定(TPP)を離脱したトラン プ政権が、日本との2国間FTAを持ち出し、その協定のなかに為替操作を禁止また は制限する条項を組み入れることを日本に突きつける」との見方もあった。これが実 現すれば、円高材料だ。しかし、実際にはこのような具体論は全くなく、日米首脳は 総論として日米の友好と協力を確認し、各論は専門家に任せる姿勢が取られた。為 替レートによる影響は貿易のみならず物価や金融政策面等、多岐にわたることか ら、専門家の話し合いとなればFTAに為替操作に関する条項が盛り込まれる可能 性は大きく低下するだろう。これまで聞かれた過激なものを含め、為替に関するトラ ンプ大統領の発言は今回封印されていた。 中長期的なドル高円 安の要因に また、尖閣諸島等、対中国を念頭においた国防関連の団結が強く打ち出された。 以前より、トランプ政権では中国に対する強硬姿勢が目立っていたなかで、アジア の拠点としての日本の重要性が改めて意識される結果となった。 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 22 2017/2/13 マーケット・フォーカス 加えて。安倍首相は会談後もトランプ大統領の別荘に滞在し、27ホールもゴルフ を楽しむ等、両者の友好と協力姿勢は強烈に印象付けられることとなった。これま で、トランプ大統領は日本を名指しして「為替操作を通じて米国に不利な貿易戦争 を仕掛けている」といった趣旨の発言が聞かれることがあったが、今回の会談を経 て、今後そのような発言が続く可能性は低下したとみられる。今回の会談でみせた 日米の強力な友好関係は中長期的にもドル円相場の下支え要因になるだろうと考 えている。 目先調整、春以降上 昇を想定 昨年末、1ドル=118円台まで急激に進んだドル高円安は、年明け以降は調整に 入っている。しかし、これは「上昇に対する当然の調整」「大統領就任による材料出 尽くし感」「ドル高や金利上昇による米経済への悪影響」「英国のEU離脱などの影 響」等から、みずほ証券投資情報部が予想していた通りの展開。今後は春先にかけ て「トランプ政権の景気刺激策や連邦準備理事会の利上げペースの確認」「英国の EU離脱など欧州における材料の一巡」等を経て改めてドル高円安バイアスが強ま る展開を想定している。 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 33 2017/2/13 金融商品取引法に係る重要事項 マーケット・フォーカス ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化 等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料 をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税 込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含 む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込 むことがあり、損失を被ることがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与 えることがあります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が 当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売 却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市 場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商 品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および 諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。 詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金 に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、 約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別 途手数料および諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託 手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券 取引口座管理料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決 定した為替レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または お客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-170213-17 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 44
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