マーケット・フォーカス

2017/1/19
マーケット・フォーカス
投資情報部
チーフ FX ストラテジスト
鈴木 健吾
為替:ドル円
ドル円相場の基本ビュー
 9月末にかけてのドル円想定レンジは1ドル=110円~125円、どちらかといえば円安方向への
動きがメインシナリオ
 背景は①世界的なリスクの後退、②米国への期待、③日銀の緩和継続
 年前半は想定レンジの下半分、110円~117円水準が主戦場、その後、米新政権の政策、連
邦準備理事会(FRB)の利上げペース等を確認しつつ120円を超える展開を想定
 リスクは①欧州の政治、②トランプ氏の言動、③米中の対立先鋭化
基本的にはドル高円
安を想定
ドル円は年明け直後につけた1ドル=118円台から一時112円台まで下押す場面が
みられている。ここからさらにドル安円高が進むのか、それとも昨年終盤にみられた
ようなドル高円安の流れとなるのか。結論から言うと、9月末にかけての想定レンジを
110円~125円としており、基本的にはドル高円安方向の展開をメインシナリオとして
いる。その理由は3点、①世界的なリスクの後退、②米国への期待、③日銀の緩和
継続、となろう。
ドル円一目均衡表
(日次:2016/4/14~2017/1/18)
(1ドル=円)
119
119
114
114
109
109
104
104
99
99
2016/6
2016/9
2016/11
出所:各種資料よりみずほ証券作成
リスクの動向
(1ドル=円)
2017/2
(年/月)
2016年前半にドル円は20円以上もの大幅下落を演じたが、この間のドル指数はほ
ぼ横ばいで、円指数が2割ほど円高になっていることを考えると主語はドルではなく
円だ。2016年1月の日銀によるマイナス金利導入にもかかわらず円高になっている
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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ことから、ドライバーは金融政策ではなく原油価格下落や中国経済に対する懸念、
これらが転じて米国経済の腰折れ観測につながったことや英国の欧州連合(EU)離
脱決定(ブレグジット)等といったさまざまなリスクの高まりがリスクオフの円高をもたら
したと考えている。
リスクは大きく後退
しかし、世界経済のリスクは大きく後退した。原油価格は産油国の減産合意を経て
安定に向かいつつあり、それ以外の商品市況も反発に転じている。中国は政策総
動員で景気下支えに躍起だ。特に2017年は秋に5年に1度の共産党大会を控える
なか、経済の大幅減速は政府が何としても抑え込むとみられる。米国経済も緩やか
な回復が確認され、次期政権下では加速期待が高い。ブレグジット問題はくすぶる
ものの、英メイ首相の離脱プロセスに関する演説を経てもリスクオフは加速していな
い。
新興国通貨に対する
懸念
足元、米国への期待が新興国・資源国からの資金流出につながるとの懸念もある
が、バーナンキショックのあった2013年の頃とは環境が違ってきている。政策努力や
通貨安によって経常収支等経済の耐性が高まっている国が増加しており、経済協
力開発機構(OECD)が発表する景気先行指数を新興国・資源国の加重平均値で
みると、2011年以降の低下傾向がようやく止まり、昨年初を境に上昇に転じている。
このような環境の改善はリスク回避の円高圧力を後退させるだけではなく、リスクオ
ンの円安に向かう可能性も秘めている。
(%)
10
新興国実質実効レートのかい離率と景気先行指数
(月次:2011/1~2016/11)
8
101.0
6
100.5
4
100.0
2
99.5
0
99.0
▲2
実質実効レートの長期平均からのかい離率(左目盛)
新興国・資源国の景気先行指数(右目盛)
▲4
98.5
98.0
11
12
13
14
15
16
(注)実質実効レートはBISのデータ、新興国・資源国主要20通貨の平均値。景
気先行指数はOECDのデータ、新興国・資源国主要10ヵ国の加重平均値で
出所:国際決済銀行(BIS)、経済協力開発機構(OECD)のデータよりみずほ証券作成
米国への期待
101.5
(年)
米国に対する期待とは、言わずもがなではあるがトランプ次期政権の政策や連邦
準備理事会(FRB)による利上げに対する期待だ。完全雇用のもとでの積極的な財
政政策の発動は良くも悪くもカンフル剤となって株・金利・ドルを押し上げ、物価の
上昇は利上げペースを加速させるとみられる。すでに期待が先行しており、また、
FRBの利上げも1~2回程度にとどまる可能性はあるものの、それでもトランプ次期米
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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大統領が選挙戦中に披露した景気刺激策を一定程度実行に移せば、相応のドル
高圧力になるとみている。
緩和は継続
一方で、日銀は現状維持を継続するだろう。日銀は昨年9月の金融政策決定会合
で、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの拡
大方針を継続するオーバーシュート型コミットメントを導入している。昨年末に公表さ
れた11月の消費者物価上昇率は0.5%。安定的に2%を超えるにはまだ相応の時間が
かかるだろう。
目先は調整局面
ただ、1ドル=120円~125円を達成するのは年後半になるとみている。目先は、「昨
年終盤の大幅上昇に対するテクニカル的な調整」「FRBの利上げ実施やトランプ氏
の大統領就任による材料出尽くし感」「急激なドルや金利の上昇による米経済指標
の悪化」等に加えて、3月にかけては「英国の欧州連合(EU)離脱問題」に対するリ
スクが意識される可能性もある。目先、ドル円は1-3月期は予想レンジの下半分110
円~117円程度のレンジが主戦場になる展開を想定、その後、トランプ新政権の政
策やFRBの利上げペース、欧州での選挙結果等を確認しながら上昇する展開をメ
インシナリオにしている。
リスクシナリオ
リスクシナリオとしては、①欧州の政治、②トランプ氏の言動、③米中の対立先鋭
化の3点を特に注視している。
英国のEU離脱がこじれる懸念や、今年予定されるオランダ、フランス、ドイツ(もし
かするとイタリアでも)の選挙でポピュリズム・反EUの流れが強まれば世界経済の混
乱の火種となりかねない。
また、昨年終盤以降の株・金利・ドルの上昇はトランプ新政権の政策に対する期
待が原動力だ。今後のトランプ氏の発言や行動が米国の大統領にふさわしいものと
ならず、その政策の実現性に市場が疑問を抱けば、一気に期待は崩れるだろう。
加えて、トランプ政権下では中国との対立が強まりそうだ。すでにトランプ氏は南シ
ナ海問題に言及し台湾の総統と電話会談を行っている。初めての記者会見で言及
した貿易赤字問題でも米国の対中貿易赤字額はダントツでトップ、3位の対日赤字
の5倍を超える規模だ。実際、新政権の国務長官や米通商代表部(USTR)、新設さ
れた国家通商会議のトップには対中強硬派が指名されている。一方で、前述の通
り、中国は今年秋に5年に1度の共産党大会が開かれ、1期5年の党総書記任期を
迎える習近平氏が、党中央の核心として2期目の総書記として再任される予定。これ
がイコール2期目の国家主席への道となる。それだけに、中国(習近平国家主席)は
米国に対して弱気姿勢を示すことはできないだろう。中国と米国の摩擦や対立の先
鋭化がドル円相場にどのような影響を及ぼすかは不透明要素が多いが、世界経済
にとって大きなリスクとなる可能性がある。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
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これらはあくまでテールリスクであり、メインシナリオは前述の通りドル高円安方向。
だが、そのシナリオを狂わせるリスクとして、この3点に注目している。
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金融商品取引法に係る重要事項
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