ドル高・円安基調が強まると想定 (PDF/461KB)

2017/3/8
マーケット・フォーカス
投資情報部
シニア FX ストラテジスト
由井 謙二
為替:ドル円
年後半にかけて、ドル高・円安基調が強まると想定
 米国で3月にも利上げ実施が見込まれるものの、ドル円は上値の重い展開。トランプ政権の
政策や欧州政治の先行き不透明感等が上値抑えに。
 ただ、米景気が回復し、利上げ局面において、中長期的なドル高・円安基調が続くと想定。欧
州の国政選挙が一巡する年後半にかけては、トランプ政権の財政政策の実現性が明らかと
なり、日米金融政策の方向性の違いも相まって、ドル高・円安基調が強まると予想している。
米利上げが見込まれ
るものの、欧州の政
治不透明感等がドル
円の上値抑えに
ここ数年のドル円相場は、米国の金融政策を主因に、年後半にかけて上昇する傾
向がみられる。2014年は、10月に米量的緩和の縮小が終了し、次は利上げとの思
惑が高まり、15年、16年はともに12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)にて利上
げが実施され、利上げが市場に織り込まれる過程でドル高・円安圧力が強まった。
しかし、17年は3月にも米国で利上げが実施されると見込まれているものの、ドル円
相場は上値の重い展開が継続している。その理由としては、トランプ政権の政策や
欧州政治の先行き不透明感の強まりが指摘できる。下右図の通貨オプション市場
の動きをみると、目先1ヵ月は「ドル高・円安警戒」が、3ヵ月ではフランス大統領選挙
(4/23に初回投票、5/7に決選投票)を控えて「ドル安・円高警戒」が高まっているこ
とがうかがえる。欧州の政治的な不透明感が晴れるまでは、ドル円の上値を追う動き
は限られそうだ。
(年初=100)
ここ数年のドル円相場の推移
ドル円のリスクリバーサル(25%デルタ)
120
115
110
2014年
2015年
2016年
2017年
(日次:2016/1/1~2017/3/6)
(%)
0.5
1ヵ月
ドル高・円安
ドルコール
オーバー
(ドル高警戒)
3ヵ月
0.0
▲ 0.5
105
▲ 1.0
100
▲ 1.5
95
▲ 2.0
90
85
▲ 2.5
ドル安・円高
米大統領選挙
▲ 3.0
英国の国民投票
80
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月12月
(注)年初を100として指数化、2017年は3/6まで
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
▲ 3.5
16/1
16/3
16/5
16/7
16/9
16/11
17/1
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
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ドルプット
オーバー
(ドル安警戒)
(年/月)
2017/3/8
マーケット・フォーカス
2014/19/18
米景気が回復し、利
上げ局面において、
中長期的なドル高・
円安基調を想定
仮に、フランス大統領選挙で反EUを掲げるルペン氏が勝利した場合は、かなりの円
買い圧力が強まることが想定される。主要為替市場における取り扱い通貨の割合に
おいて、ドルが44%、ユーロが16%、円が11%、英ポンドが6%程度と、4通貨で約8割を
占める。フランスでEU離脱に向けて動きだせば、英国とは違い単一通貨ユーロから
の離脱となる。ルールが不透明な部分も多く、ユーロの急落が予想される。英ポンド
もユーロに連れ安し、消去法的にドルや円に買い圧力が強まろう。ドルと円でみれ
ば、市場混乱を背景とした米利上げ観測の後退もあり、円買い圧力の方が勝るとみ
られる。昨年のブレグジットの際も、同様の動きがみられ、ドル円は一時急落する場
面がみられた。ただ重要なのは、そうした動きも一過性に終わったことだ。ドル円は
昨年99円近辺まで急落した後、トランプ政権の政策期待、米利上げ実施等を背景
に118円台まで大幅に値を戻す動きとなった。
2017年に入り、米連邦準備理事会(FRB)は米経済に自信を示し利上げ姿勢を鮮
明にし、日銀は長短金利操作政策を続けるなかで金利上昇局面において指値オ
ペを実施、金利抑制姿勢へ強いシグナルを発している。こうした姿勢の違いは日米
金利差拡大を通じてドル高・円安要因になると見込まれる。欧州の国政選挙が一巡
する年後半にかけては、トランプ政権の財政政策の実現性が明らかとなり、日米金
融政策の方向性の違いも相まって、ドル高・円安基調が強まると予想している。
中長期的なドル高・円安基調は、米国の景気が後退し、金融政策が緩和方向に転
換するまで継続すると想定している。米国が景気後退に差し掛かるシグナルとして
は、失業率の動きに注目している。過去、失業率がトレンドを示す3年移動平均の失
業率を上回ってくると景気後退局面入りとなるパターンが多くみられる。現状は失業
率の低下はまだ続いており、3年移動平均との間にはかい離がある。今後、失業率
がFRBの想定通りに推移すれば、3年移動平均との収れんが見込まれるのは2018
年後半から19年にかけてとなり、その際に米国景気の循環的な回復に一巡感が出
てくる可能性がある。ドル高トレンドが続くかどうかが試される局面となろう。
ドル円と10年国債利回り差(米国-日本)
(週次:2003/1/4~2017/3/3)
(1ドル=円)
(%)
(%)
130
11
3.5
120
3.0
110
2.5
100
2.0
90
1.5
80
1.0
70
0.5
03
04
05
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15
ドル円(左目盛)
日米10年国債利回り差(米国-日本、右目盛)
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
16
米失業率と景気後退局面
(月次:1955/1~2017/1)
7
9
6
8
5
7
4
6
3
5
2
4
1
3
0
2
▲1
1
▲2
▲3
55 58 61 64 67 70 73 76 79 82 85 88 91 94 97 00 03 06 09 12 15
景気後退期
①-②(右目盛)
①失業率(左目盛)
②3年移動平均(右目盛)
(年)
8
10
0
17
(%)
(年)
出所:全米経済研究所(NBER)、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
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2017/3/8
金融商品取引法に係る重要事項
マーケット・フォーカス
2014/19/18
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リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化
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広告審査番号 : MG5690-170308-03
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