マーケット・フォーカス

2017/
マーケット・フォーカス
2/24
投資情報部
シニアエコノミスト
折原 豊水
経済:ブラジル
中銀は利下げ加速も、中立金利の水準を探る
 ブラジル中銀は政策金利を市場予想通り0.75%引き下げ、12.25%に。4会合連続利下げ
 物価見通しの改善や景気回復が緩やかなことにより今後も利下げが続くことを示唆
 利下げのペースは、財政改革をはじめ、マクロ・ミクロ面での経済改革が進展し、中立的な水準
が低下することにもよるとした
 今後も0.50%~0.75%の利下げが続き、10%前後まで政策金利は低下、景気下支えが見込まれる
中銀は 市場予想通
り、4会合連続の利下
げ実施
ブラジル中央銀行(以下、中銀)は2017年2月22日(日本時間23日朝)、政策金利
を前回会合同様、0.75%引き下げ、12.25%とすることを全会一致で決定した。事前の
市場予想通りの結果であり、4会合連続の利下げとなった。
中銀は利下げの理由について、物価見通しの改善や、景気が2017年を通じて緩
やかな回復(にとどまること)、を挙げた。中銀の物価予想は、17年末時点で消費者
物価が前年比+4.2%と前回1月会合の同+4.4%から引き下げられた。予想の前提とし
て、政策金利が9.5%まで引き下げられるという市場予想を用いている(市場予想シ
ナリオベース)。18年の物価については、同+4.5%と前回から据え置いた(政策金利
は9.0%を前提)。17年末時点では、利下げペースを加速してもインフレターゲット
(4.5%±1.5%)の中間値(4.5%)を下回っている。
(%)
ブラジル政策金利とインフレ率、国債利回り
(月次:2006/1~2017/2)
20
政策金利
2年国債利回り
18
消費者物価(IPCA)
中銀のインフレ率予想
16
14
12.25
12
9.82
10
8
5.35
6
レンジ
4
2
0
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
17
(年)
(注)レンジはインフレターゲットは16年まで+2.5%~+6.5%、17年は+3.0%~+6.0%、
消費者物価は17年1月まで、国債利回りは2007/3~2017/2/23、政策金利は2/23まで、
中銀のインフレ予想(マーケットシナリオ)は17年1Q~17年4Qまで
出所:ブラジル中銀、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
インフレ率(IPCA、前年比)の推移
(%)
11
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
(月次:2013/1~2017/1)
医療
5.35
教育・娯楽
運輸・通信
食料品・飲料
13
14
15
16
出所:CEICデータよりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
1
住宅・家具・
衣服
17(年)
消費者物価
(IPCA)
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望ましい中立金利の
水準は明示しなかっ
たが、財政等の改革
の進展が重要とした
今後の金融政策について中銀は、利下げのペースが加速するかどうかは、①中
期的に望ましいと推定される政策金利の水準、②景気の回復動向、③リスク動向、
④市場の物価見通しやインフレ期待、等によるとした。①については、中銀は今後
分析を続けるとして明示しなかった。1月中旬のゴールドファイン中銀総裁の講演で
は、中立金利(景気を刺激も抑制もしない金利水準)について、生産性や経済の不
確実性といった経済動向に加えて、財政改革や企業を取り巻く事業環境を改善す
るためのミクロ経済面での改革によって、中立金利の低下がもたらされるとした。
中立金利の 水準は
10%台か、中期的なリ
スクプレミアムの低
位安定が重要に
中銀が示唆するようにブラジルの中立金利の水準を推定するのは、経済統計の
制約等により容易ではないため、簡便的にみてみたい。また、中立金利は通常、実
質金利ベースでみることが多く、潜在成長率に近い数値になるとみられている。ここ
では下記のようなブラジルの状況により、名目金利ベースで中立金利を推定する
と、過去10年間のインフレ率の平均が前年比+6.2%、実質経済成長率は2.0%程度と
なり、両者を合計すると8%台前半となる。ただブラジルの場合、加えてリスクプレミア
ムを考慮する必要がある。これを加味すると、中立金利の水準は10%台と見積もられ
よう。具体的にはソブリンのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)をみると、直近は
2.3%程度だが、16年初めには5.0%程度まで上昇した。リスクプレミアムの上昇の主因
は、財政赤字の拡大による公的債務残高GDP比の上昇やソブリン格付けの投機的
水準への格下げが挙げられよう。また、ブラジルは財政以外でも、さまざまな構造問
題を抱えており、その改革が進むことが、リスクプレミアムの中期的な低下につなが
ろう。そのためには、いわゆる「ブラジルコスト」を低下させることが必要であろう。ブラ
ジルコストとは、賃金と物価の連動性が高いこと(特にルーラ、ルセフ政権下での大
幅な最低賃金の引き上げが公務員給与や年金支給等の社会保障費、民間賃金等
の引き上げにつながり、物価を押し上げた)、高い税率や硬直的な労働法制、イン
フラ不足、高い貸出金利等である。ブラジルコストが高いことにより企業の競争力低
下やインフレ体質を招いている。
こうした構造問題が進展しないなかで、11年から13年の利下げ局面ではルセフ前
政権からの利下げ圧力もあって、インフレ率や経済成長率の長期平均等の合計を
大きく下回る水準まで利下げが行われた結果、インフレ圧力をかえって高め、金融
引き締めの長期化による景気悪化や金融政策に対する信任低下を招いている。
物価鈍化や 財政改
革の進展により速め
のペースでの利下げ
続く見込み
今後の金融政策については、0.50%~0.75%の利下げが当面、続くとみている。年
金改革が7-9月期にかけて成立し、中期的な財政改善期待が高まれば、CDSの低
下余地があるといったことも考慮すると、政策金利は10%台が望ましいが、17年は景
気の回復が緩慢であることからすると、一時的に9%台まで引き下げ、景気を下支え
する余地がありそうだ。もっとも、トランプ米政権の財政政策や米利上げを受けたド
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
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ル高圧力、欧州の選挙・政治動向をにらんだ投資家のリスクオフ等、外部環境がブ
ラジルレアルや物価見通しに与える影響にも留意が必要であり、中銀は慎重な対
応が求められよう。17年末時点の政策金利は9.5%~11.0%とみている(次回中銀会
合は4/11~4/12)。
今回の利下げを受けて2/23のブラジルレアルは1ドル=3.06レアルと前日比でほ
ぼ変わらずとなった。事前の市場予想通りの利下げ幅であり、先行きについても速
めのペースでの利下げが続くという市場の見方に変化を与えるものではなかったこ
とが影響しているとみている。
(%)
ブラジルの公的債務残高GDP
ブラジル政策金利と金利の中立水準(参考)
(月次:2012/1~2017/2)
16
(年次:2000~2018)
(GDP比:%)
IMF予想
90
14
ソブリンCDS
12
80
ブラジル公的
債務残高(グ
ロス)
00年財政責任法導入
70
10
経済成長率
長期平均
8
6
4
12
13
14
15
16
50
インフレ率長
期平均
40
政策金利
30
2
ブラジル公的
債務残高
(ネット)
60
新興国公的
債務残高(グ
ロス)
20
17 (年)
00
(注)経済成長率はGDPと連動性のある経済活動指数の前年比、インフレ率は消費者物価
前年比、長期平均は過去10年間、ソブリンCDSはブラジル、消費者物価とCDSは
17年1月まで、経済活動指数の1月はみずほ証券予測、政策金利は2/22まで
出所:ブラジル中銀、ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
02
04
06
08
10
12
14
(注)先行きはIMF・WEO(16年10月)ベース
出所:IMFデータよりみずほ証券作成
16
18
(年)
ドルレアルとレアル円の推移
(日次:2015/1/2~2017/2/23)
(1ドル=レアル)
ドルレアル(左逆目盛)
レアル円(右目盛)
2.0
(1レアル=円)
50
45
2.5
40
レ
ア
ル
高
3.0
35
3.5
30
4.0
25
レ
ア
ル
安
20
4.5
15/1
15/7
16/1
16/7
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
17/1
(年/月)
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2017/2/24
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商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
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