マーケット・フォーカス 経済:米国 2017/ 3/6 投資情報部 シニアエコノミスト 宮川 憲央 イエレン議長は3月利上げの可能性を示唆 イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は3/3に講演を行い、3/14~15に開催される次回の 米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを検討する可能性に言及した。 米国経済・物価情勢や金融環境は良好であり、一連のFRB当局者による地ならしによって金 融市場でも3月利上げを織り込んだ状況にある。みずほ証券投資情報部では従来、次回の 利上げを6月と予想していたが、現時点では3月利上げの可能性が高いと考えている。 また、2017年中の利上げが3回となる可能性やバランスシート縮小の議論が進展する可能性 も高まったと考えているが、市場の反応がFRBの行動を制約する可能性も残るため、今後の 動向に注目していきたい。 FRBによる地ならしを 受けて、市場で利上 げの織り込みが進む イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は3/3に講演を行った。そこで、議長は「今 月の会合において、雇用と物価が引き続きわれわれの見通しに沿って推移している かどうかを評価するが、そうであればさらなるFF金利の調整(利上げ)が適切となる 可能性が高い」と述べ、3/14~15に開催される次回の米連邦公開市場委員会 (FOMC)で利上げを検討する可能性に言及した。それ以前にもダドリー・ニュー ヨーク連銀総裁やブレイナードFRB理事等、複数のFOMC参加者から3月利上げの 可能性が示唆されていたが、議長からも同様の見方が示されたことで、FRBとして3 月利上げが具体的に視野に入っているとみられる。 もともとFRBは、最大雇用と物価の安定という責務の達成に近づいているため、緩 やかな利上げを続けていくことが適切との姿勢であった。そのうえで、イエレン議長 は2/14に上院銀行委員会で行われた議会証言において今後の会合(upcoming meetings)での利上げに前向きな姿勢を示してはいた。ただ、3月、5月、6月のいず れの会合も利上げの可能性はあるという趣旨の発言もしており、3月に絞って利上 げを検討しているとの認識は示されていなかった。 ここに来て3月利上げに積極的となった背景は定かではないものの、①企業や消 費者の景況感、雇用統計や小売売上高、消費者物価指数といった一連の経済指 標が堅調な結果となっていること、②株価の上昇やクレジット・スプレッドの縮小が続 く等、金融環境が良好であること、③2016年の英国のEU離脱に関する国民投票の ほか、中国経済の減速や原油価格の急落といった海外からのリスクも表面化してい この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1 2017/3/6 マーケット・フォーカス ないこと、④トランプ大統領の財政政策によって米国の経済や物価が押し上げられ る可能性があること、等が影響している可能性はある。16年12月のFOMC参加者の 政策金利見通し(中央値)では17年中に3回の利上げが予想されていたが、先行き には不確実性も存在するだけに、米国経済や市場環境が良好であるうちに少しで も利上げを進めておきたいと考えたとしてもおかしくはないだろう。 一方で、金融市場で織り込まれていない状況で利上げを決定すれば、市場に混 乱をもたらしかねないため、FRBとして利上げの可能性を織り込ませる地ならしに踏 み切ったとみられる。この結果、FF金利先物を用いてブルームバーグが算出する利 上げの確率は2/24の時点では40.0%であったものが、3/3には94.0%まで上昇、ほぼ 3月の利上げは織り込まれた状況となった。そのうえで、株式市場は引き続き堅調で ある一方、米長期金利(10年国債利回り)やドルの上昇は抑えられており、利上げを 決定するにあたっての金融市場の状況としては理想的ともいえる。 FF金利先物から算出されるFOMCでの利上げの確率 (2017/3/3時点) (%) 100 90 80 1.5%~1.75%以上 (4回以上の利上げ) 3 4 .5 1.25%~1.5% (3回の利上げ) 4 4 .9 70 60 50 2 1 .0 2 4 .9 4 4 .1 9 4 .0 40 30 3 2 .1 4 7 .4 20 2 5 .1 10 1 1 .8 1.0%~1.25% (2回の利上げ) 0.75%~1.0% (1回の利上げ) 0 17/3 17/6 17/9 17/12 (年/月) (注) 各時点のFOMCにおけるそれぞれの金利水準へ利上げを行う確率 FF金利先物を用いてブルームバーグが算出 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 3月利上げは濃厚、 利上げペースの加速 やバランスシート縮 小の可能性に注目 みずほ証券投資情報部では従来、次回の利上げを6月と予想していたが、一連の FRBからの情報発信を受けて、現時点では3月に利上げを決定する可能性が高い と考えている。3/10には2月雇用統計の発表を控えているものの、イエレン議長は講 演で長期的な傾向としての雇用増加ペースは月あたり7.5万~12.5万人との考えを 示しており、よほどの下振れが起こらない限り利上げの妨げとなる可能性は低い。 また、2017年中の利上げについても従来は2回と予想していたが、3回となる可能 性は高まったと考えている。さらに、利上げが想定以上に進むようであれば、保有証 券の再投資停止(バランスシートの縮小)のタイミングも近づく可能性が高い。イエレ ン議長は今回の講演で、経済見通しに悪影響を及ぼす予測不能な出来事が発生 しない限り、過去2年ほど利上げのペースは緩やかでないと述べている。また、議会 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 22 2017/3/6 マーケット・フォーカス 証言の際に、実行には慎重な姿勢をみせつつも、今後数ヵ月(coming months)でバ ランスシート縮小のタイミングに関して議論する姿勢を示している。もっとも、利上げ ペースの加速やバランスシートの縮小は金融市場におけるリスク回避の動きや長期 金利とドルの上昇加速を招き、それがFRBの行動を制約する可能性もある。当面 は、3月FOMCで利上げペースに関する参加者の認識を改めて確認するとともに、 バランスシート縮小をめぐる議論やそれに対する市場の反応等に注目していきた い。 米10国債利回りとドル円レートの推移 (日次:2016/1/1~2017/3/3) (%) 2.8 (1ドル=円) 130 米10年国債利回り(左目盛) 2.6 125 ドル円レート(右目盛) 2.4 120 2.2 115 2.0 110 1.8 105 1.6 100 1.4 95 1.2 16/01 90 16/04 16/07 16/10 17/01 (年/月) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 33 2017/3/6 金融商品取引法に係る重要事項 マーケット・フォーカス ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化 等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料 をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税 込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含 む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込 むことがあり、損失を被ることがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与 えることがあります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が 当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売 却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市 場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商 品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および 諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。 詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金 に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、 約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別 途手数料および諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託 手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券 取引口座管理料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決 定した為替レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または お客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-170306-18 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 44
© Copyright 2024 ExpyDoc