マーケット・フォーカス 経済・為替:米国 2017/ 2/15 投資情報部 シニアエコノミスト 宮川 憲央 チーフ FX ストラテジスト 鈴木 健吾 イエレン議長の議会証言と為替市場の反応 イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は2/14に行われた上院銀行委員会での議会証言に おいて、緩和の解除を待ちすぎることは賢明ではなく、雇用や物価が米連邦公開市場委員 会(FOMC)の見通しに沿って推移していけば、さらなる利上げが適切と述べた。 こうした議会証言の内容は従来のFRBの主張から大きく変わるわけではなく、具体的に3月 の利上げを織り込ませるような内容とまではいえない。ただ、状況次第では3月にも利上げに 動ける余地を残したとはいえるだろう。 みずほ証券投資情報部では、次回の利上げは6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で決 定されると引き続き予想している。賃金上昇率が伸び悩んでいるため、利上げを急ぐ必要は ない。また、財政政策に関しても3月時点では判断を下すにはまだ材料不足であると考えら れるためである。 ドル円相場は今回のイエレンFRB議長の証言を受けてドル高円安に反応した。3月FOMCで 利上げが見送られた場合、一時的にドル売りとなる可能性はある。ただ、FRBの利上げに積 極的な姿勢は、2017年を通じてドル円相場を下支える大きな要因となるだろう。 3月にも利上げに動 ける余地を残す イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は2/14に上院銀行委員会において、定例 の半期議会証言を行った。なお、2/15には下院金融サービス委員会でも証言が行 われる。 イエレン議長は証言で「あまりに長く緩和の解除を待ちすぎることは賢明ではな い。やがて急速な利上げを迫られ、金融市場の混乱と米国経済の後退をもたらす 可能性がある」「今後の会合(upcoming meetings)で、雇用や物価が米連邦公開市 場委員会(FOMC)の見通しに沿って進展しているかを評価し、見通し通りであれば さらなるFF金利の調整(利上げ)が適切になるだろう」と述べた。また、財政政策や 他の政策の変更が経済見通しに影響を及ぼす可能性はあるものの、政策変更の内 容や経済的な影響を判断するのは時期尚早とした。 なお、一部の地区連銀総裁が言及しているバランスシートの縮小については、議 員との質疑応答において、今後数ヵ月(coming months)でバランスシート縮小のタイ ミングに関して議論するが、秩序立って進むことが望ましいとの見解を示した。また、 景気が弱まった場合に利下げができる余地を確保するまで、十分に利上げが進行 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1 2017/2/15 マーケット・フォーカス しなければバランスシートの縮小は開始せず、バランスシートを金融政策の積極的 なツールとして用いる計画はないと述べている。 今回の議会証言の内容は従来のFRBの主張から大きく変わるわけではなく、具体 的に3月の利上げを織り込ませるような内容とまではいえない。ただ、状況次第では 3月にも利上げに動ける余地を残したとはいえるだろう。なお、フェデラルファンド (FF)金利先物を用いて、ブルームバーグが算出する3月利上げの確率は2/14時点 で34.0%と、前日の30.0%からやや上昇した。 FF金利先物から算出されるFOMCでの利上げの確率 (2017/2/14時点) (%) 100 90 80 70 1.5%~1.75%以上(4回以上の利上げ) 1 5 .4 1.25%~1.5%(3回の利上げ) 1.0%~1.25%(2回の利上げ) 1 5 .9 0.75%~1.0%(1回の利上げ) 60 2 6 .4 2 4 .3 3 3 .6 50 40 3 2 .3 30 20 4 4 .9 3 4 .0 3 3 .8 2 0 .6 10 0 17/3 17/6 17/9 17/12 (年/月) (注) 各時点のFOMCにおけるそれぞれの金利水準へ利上げを行う確率 FF金利先物を用いてブルームバーグが算出 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 みずほ証券投資情報部では、今回の議会証言の内容を受けても、次回の利上げ は6月のFOMCで決定されると引き続き予想している。労働需給は引き締まっている ものの、賃金上昇率が伸び悩んでいるため、利上げを急ぐ必要はない。また、経済 見通しに影響を及ぼす財政政策の内容や影響に関して不透明な部分はなお多く、 3月時点ではまだ判断を下すには材料不足であると考えられるためである。なお、 2017年中の利上げは2回と予想している。 ただ、3/10に発表される2月分の雇用統計が雇用の増加や賃金上昇率の加速等 の面で強い結果となった場合には、市場で利上げ観測が高まる可能性に留意して おきたい。また、十分に織り込まれていない状況で利上げを決定すれば、金融市場 が不安定化しかねないため、FRBとして3月利上げを強く意識しているのであれば、 講演等での発言を通じて、その可能性を市場に織り込ませていくとみられる。こうし た動きが出てくるかどうかにも注目しておきたい。 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 22 2017/2/15 マーケット・フォーカス FRBの利上げに積極 的な姿勢は2017年を 通じてドル円相場を 下支えへ ドル円相場は今回のイエレンFRB議長の証言を受けてドル高円安に反応した。 「upcoming meetings」という表現は「目先開催される複数の会合で(利上げが適 切になるだろう)」といった印象で、為替市場では3月の会合を含む年前半の会合 (3/14-15、5/2-3、6/13-14)での利上げ実施の可能性を織り込む動きが強まった。 FRBの利上げに対する前向きのスタンス・タカ派姿勢は、目先のみならず2017年 を通じてドル円相場を下支える大きな要因となるだろう。一方で、前述の通り、みず ほ証券投資情報部ではFRBの利上げ実施は3月ではなく6月をメインシナリオとして いる。3月のFOMCで我々の予想通り利上げが見送られれば一時的な失望のドル 売りとなる場面があるかもしれない。ただ、これはあくまで一時的なもので大きなトレ ンドにはつながらないだろう。 引き続き、ドル円相場については9月末までの予想レンジを1ドル=110円~125円 に置いているが、年序盤、春先にかけては「昨年末にみられた大幅な上昇に対する 調整」や「英国のEU離脱等、欧州のリスク」といった理由から予想レンジの下半分、1 ドル=110円~117円が主戦場となる展開を想定。その後、トランプ政権の景気刺激 策や上記の6月に向けたFRB利上げスタンス等を評価しつつ120円方向をトライする 展開をメインシナリオとしている。 ドル円と米国と日本の2年国債利回り差 (1ドル=円) (%) (日次:2010/1/4~2016/2/14) 1.6 130 ドル円(左目盛) 利回り差拡大 ドル高・円安 120 米-日2年国債利回り差(右目盛) 1.4 1.2 110 利回り差縮小 ドル安・円高 1.0 0.8 100 0.6 90 0.4 80 0.2 0.0 70 10 11 12 13 14 15 16 17 (年) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 33 2017/2/15 金融商品取引法に係る重要事項 マーケット・フォーカス ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化 等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料 をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税 込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含 む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込 むことがあり、損失を被ることがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与 えることがあります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が 当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売 却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市 場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商 品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および 諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。 詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金 に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、 約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別 途手数料および諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託 手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券 取引口座管理料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決 定した為替レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または お客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-170215-10 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 44
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