コスプレと妄想 ID:109168

コスプレと妄想
78円の指輪物語
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︻あらすじ︼
ネットで有名な方をモデルに書いた短編です。
冬コミのコスプレの原作改変具合といったら哀れである事極まりないですね。
目 次 コスプレと妄想 ││││││││
1
への相互理解の輪を広げた。
例えば、台湾との友好を掲げ現地を訪問し、活動記録を自身のSNSに発表して台湾
だろう。
また、彼自身の活躍として大きく挙げられる事はやはり、公私の域を超える社会貢献
ハート型であり、彼の先見の明は正に祖父の代から続くものと言っては過言ではない。
軍 艦 大 和 の 建 造 資 材 で あ っ た と さ れ る 白 金 製 の 婚 約 指 輪 は 当 時 の 文 化 の 先 を 往 く
この軍人家系の出自を象徴するのはやはり、祖父の代から伝わるその指輪だろう。
である事は相違ないだろう。
父母方の祖父は方や士官学校、方や兵学校の出自で彼の才能はここから生まれたもの
しかし、彼はその当時からの非凡な存在であり、広く名を知られた存在であった。
元々彼は北国のしがない公務員であった過去を持つ。
彼、こと教官は実の処最初から戦車道を指導する立場にあった訳ではない。
その教官、彼と呼ぶことにするが、彼は正に伝説なのだ。
黒森峰に伝説の教官と言われる人物が存在していることをご存知だろうか。
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ある時は、世間に蔓延る社会保険の問題を告発し、多くの人々に公務員のあり方を問
う切っ掛けとなった。
またある時は、旧軍の軍装を自らの身体に施し、旧軍への理解を求める活動を行った。
時には、新たに自衛隊の門を叩く若者に激励の言葉を掛けた。
しかし、彼のその余りに優秀な様は優秀であるが故に多くの人々に妬まれるものと
なってしまう。
ある時は自らの公務員たる業務を妨害された、しかし彼は臆する事は無かった。
また、ある時は先祖の誇りたる指輪を徹底的に点され、悪質なデマが流布された。
中には彼を直接的妨害を試みる者たちもいた。
しかし彼はその出自と誇りからだろうか毅然たる態度を取り続け、決して臆する処を
見せなかった。
嗚呼なんたる日本男児であろうか。
彼の類い稀なるこの軍人精神に漢を見出したのは西住流師範であった西住しほだっ
た。
導くに違いない。﹂
﹁陸海双方の出自持ち、また双方に明るい知識を持つ彼ならば我が西住流を10連覇に
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西住しほはそう考えたのだろうか、一抹の地方公務員に過ぎなかった彼を黒森峰女学
園の戦車道訓練教官に招聘した。
彼の類い稀な戦術の才は此処で開花に至ったのだろう。
しかし本来、乙女の嗜みであった戦車道、しかも訓練教官に抜擢された彼は世間の風
当たりも相当なものだった。
この世間の嵐に対しても、彼は自らの実力でその全てを納得させる結果を残す事に
よって反論した。
するとそこに生徒達は着いてきた。
世間の目をも厭わない彼の精神に動かされたのだろうか。
彼の厳しい訓練に耐えた彼女らはたちまち当確を表すようになっていった。
いつしか彼の黒いジャケットとオレンジのズボンという出で立ちはたちまち黒森峰
を代表するものにまでなった。
こうして黒森峰が8連覇を遂げた頃、世間にあった批判は過ぎ去り、其処には祝福の
吹雪が舞っていた。
この結果は並の人間では達成しえないものだ。
男性の身にありながら名門、黒森峰女学園を数々の勝利と栄光をもたらした彼の業績
は、偉業と言っても差し支え無く、一生を掛けても語り尽くすことは不可能だろう。
彼は正しく生ける伝説なのだ。
しかし彼は今、ある病棟にいる。
TVの向こうには9連覇を遂げた黒森峰の勇姿が写っている。
彼はあったことのの無い選手達に対して激励の言葉を述べた。
其処には祝福の言葉も尊敬の眼差しも無い。全てが画面の中で収束しているからだ。
画面の世界に精神を入れ込んで彼は会話するのだ。彼の意思の赴くままに
彼は戦車道大会のシーズンまでは海軍軍人だ。画面の中に歪んだ視線を投げ込んで
擬人化された軍艦と自らが創り出した理想の自分とを重ね合わせる。
戦車道のシーズンになると彼は戦車道訓練教官に転職した。そして呟くのだ
﹁戦車前進﹂、と⋮
届く筈の無い画面の中に、彼の声は只々部屋の中に響くだけ
そしてある時、彼の指導する黒森峰は決勝戦でプラウダに破れた。
そして過去は創り出される。富、名声、力、全ては彼の思うがままに彼の世界は続く
そして彼は言った
世界は続く、そう彼が死ぬまで
﹁流石我がプラウダ﹂、と⋮
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彼の自己世界は理解されない、しかし歴史は彼のあずかり知らぬ処で歩み続ける。