2016年8⽉15⽇ ⽇本株ファンドマネージャーの視点 『⻑期⾦利上昇が最⼤の景気対策!』 ※このレポートでは、⽇本株ファンドマネージャーが注⽬しているトピックなどを毎週お届けします。 7⽉末の⽇銀による追加の⾦融緩和がETFの買い⼊れ増額中⼼で、市場で期待されていた更なるマイナス ⾦利幅の拡⼤がなかったため、⼀時はマイナス0.30%まで低下した⻑期⾦利が⾜元上昇し始めています。こ の動きは決して⽇本経済にとってマイナスの働きをするわけではなく、むしろこれから⽇本経済にプラスの 効果が期待出来ると思います。 例えば、借り⼊れによる持ち家を検討している⼈達からすると、いつまでも下がり続ける⾦利、どうせまだ まだ下がるのであれば、今焦って住宅購⼊を決断する必要はないという⼼理になります。さらには、マイナ ス⾦利という今まで常識では考えらないことが現実化し、もしかすると、さらに待っていれば借⾦して⾦利 が貰える時期がくるのではという⼼理まで芽⽣えてくるかもしれません。これこそまさに、デフレのメカニ ズムそのもので、いまだに⽇本経済がデフレに苦しんでいることを如実に表していることだと思います。 実際、住宅関連企業の話を伺うと、英国のEU離脱問題(Brexit)後も過去最低の住宅ローン⾦利を背景に、 展⽰会への集客は⾼⽔準で推移している模様だそうです。やはり、底堅い潜在的な住宅需要があることは間 違いなさそうです。であれば、誰かに背中を押してもらいたいものです。⾦利の上昇がまさに背中を押す きっかけになるでしょう。『今、決断しないと⾦利が上がってしまう。やはり、マイナス⾦利などという異 常な状態は⻑くは続かない』と住宅購⼊を検討している⼈達が考えだすことになります。 住宅購⼊は、直接的な住宅メーカー、建設、不動産だけでなく、家具類や家電などの耐久消費財が購⼊され ることを含めると、幅広い産業が潤い経済波及効果が⼤きいことは間違いありません。 今の歴史的低⽔準からの⻑期⾦利上昇は最⼤の景気対策と⾔えるのではないでしょうか? ⽇銀は次回9⽉の⾦融政策決定会合でこれまでの⾦融政策を総括的に検証します。分析の結果次第ではマイ ナス⾦利政策が修正される可能性もあります。何れにせよ、また⻑期⾦利が低下し、デフレマインドが加速 するような政策だけは取らないことを望みたいと思います。また、仮に⽇銀が検証の結果、マイナス⾦利政 策を修正した場合に、決して『⾦融政策の失敗である』と⾮難するべきではないと思います。逆に、誰も経 験したことがない難題に挑戦している⽇銀に対して、『勇気ある修正』と称賛するべきだと私は思います。 繰り返しになりますが、⻑期⾦利がマイナスという異常事態を早く抜け出せるような政策を期待したいもの です。 【⻑期⾦利・10年国債】 (%) 【2014年8⽉1⽇〜2016年8⽉12⽇】 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 -0.2 -0.4 '14年8⽉ '14年12⽉ '15年4⽉ '15年8⽉ '15年12⽉ '16年4⽉ ■当資料は情報提供を⽬的として⼤和住銀投信投資顧問が作成したものであ り、特定の投資信託・⽣命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するもの ではありません。■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成 しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。■当 資料に記載されている今後の⾒通し・コメントは、作成⽇現在におけるレ ポート作成者の判断に基づくものであり、事前の予告なしに将来変更される 場合があります。■当資料内の運⽤実績等に関するグラフ、数値等は過去の ものであり、将来の運⽤成果等を約束するものではありません。■当資料内 のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 '16年8⽉ 出所:Bloomberg 株式運⽤部 ⼩出 修 大和住銀投信投資顧問株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第353号 加入協会 一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
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