リオデジャネイロ五輪

2016年8⽉8⽇
⽇本株ファンドマネージャーの視点
『リオデジャネイロ五輪』
※このレポートでは、⽇本株ファンドマネージャーが注⽬しているトピックなどを毎週お届けします。
リオデジャネイロ五輪が開幕しました。スタジアム建設の問題や、病気、治安のことが懸念されていましたが、
無事に開幕できてなによりです。世界の超⼈達のプレーにワクワクドキドキしたり、⽇本⼈選⼿を応援し、⼤声
を出す⽇々になりそうです。さっそく競泳や重量挙げ、柔道で⽇本⼈メダリストが誕⽣。早くも感動して、泣き
そうになってしまいました。
選⼿の活躍の裏側では、企業の戦いもあります。映像や交通分野などもありますが、やはり最も⼒が⼊っている
のは、スポーツ⽤品でしょう。ブランド⼒の向上、新興国などへの展開を考える上で、五輪などの世界⼤会での
活躍はうってつけです。例えば、1991年に東京で開かれた世界陸上の男⼦100m⾛の当時の王者カール・ルイス
と、新記録を打ち⽴てたばかりのリロイ・バレルの戦いの裏では、⽇系⼤⼿メーカー間でスパイク開発競争が⾏
われ、反発を重視したVピンや、軽さを重視したプラスチックピンのスパイクが開発されました。私は、陸上部に
⼊った後にそのことを知り、⼤変感激した記憶があります。⽔泳では、今では禁⽌されている⾼速⽔着が2008年
の北京五輪前に⼤きく注⽬されました。SPEEDO社が開発したレーザー・レーサーが代表例で、⽇本でも北島選
⼿が着るのか否かが話題となりました。ほとんどの選⼿が着⽤するまでになり、⽤具の進化が⼤きな影響を与え
た⼀例になりました。今回の五輪で個⼈的に楽しみにしているのは、112年ぶりに開催されるゴルフです。世界
のゴルフクラブ市場は、数年前より供給増による値崩れで、市場は停滞しています。⾜元で、アディダスはテー
ラーメイド部⾨を売却すること、ナイキは⽤具市場⾃体から撤退することを発表しています。業界再編により⽇
系メーカーが躍進する可能性に期待しています。今回出場する男⼦プロの⼀⼈は、今期より⽇系メーカーの新潟
⼯場で⽣産されるアイアンを使⽤している模様で、国産技術の良さがクローズアップされるかもしれません。
世界のスポーツ⽤品市場は⼩売りベースで20〜30兆円と推測されており、成⻑を続けています。主要メーカー5
社の売上⾼は、2000年に約2兆円でしたが、2015年には約8兆円にまで成⻑しており、年率10%弱の成⻑率に
なっています。中国を中⼼としたアジアでの成⻑が牽引しています。⽇本⼈と体型が近いことは、⽇本のスポー
ツ⽤品メーカーにとって⼤変有利です。
また、⽇本は多様なスポーツを楽しむ国の⼀つだと思います。世界的に⼈気の⾼いバスケットボールやサッカー、
テニスはもちろん、アジアで⼈気のバドミントンに加え、相撲や柔道などの武道、東京五輪で採⽤された野球、
ソフトボール、空⼿の他、⾃転⾞やフィッシングも楽しみます。新興国でも様々なスポーツを楽しむようになっ
てきており、これも⽇本メーカーの知⾒を活かせるという点で有利です。こういった点を活かして、すでに⼀部
メーカーはアジアの市場を取り込んでおり、今後の成⻑も期待できます。
放映権やスタジアム収⼊なども含めたスポーツ産業で考えても、⽇本には⼤きな可能性があります。⼩⻄美術⼯
藝社の社⻑でアナリストのデービッド・アトキンソン⽒によると、この20年で⽶国ではスポーツ産業が約3倍に
⼤きく成⻑した⼀⽅、⽇本は横ばい圏にとどまったようです。⽶国では、エンターテイメントと結びついたこと
が成功の背景だそうです。先週、私は神宮球場へ⾏ってきました。昔に⽐べれば⼯夫がみられると思いますが、
盛り上げ⽅や物販のやり⽅はもっとできる部分もあるように思いました。成⻑のポテンシャルは⾼いのです。他
にも先⽇のニュースで、Jリーグが放映権を外資系企業に対し、今の4〜7倍の⾦額で契約したとのことです。やり
⽅によっては、他のスポーツでも放映権を今までより⾼く売れる可能性はあると思います。体験型消費への追い
⾵もあり、国内スポーツ産業がビジネスとして⾶躍する絶好のチャンスともいえます。
私は2020年の東京五輪につながる選⼿を⾒つけることとともに、スポーツ産業の成⻑の恩恵を受けられる銘柄を
探しながら、リオデジャネイロ五輪を楽しみたいと思います。寝不⾜に負けず、頑張って観戦しましょう。
株式運⽤部
部奈 和洋
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