2016年9⽉20⽇ ⽇本株ファンドマネージャーの視点 『百聞は⼀⾒にしかず』 ※このレポートでは、⽇本株ファンドマネージャーが注⽬しているトピックなどを毎週お届けします。 先⽇、地⽅にある⾃動⾞部品メーカーの本社を訪問させていただく機会がありました。最寄りの駅から少し 離れているとのことで、タクシーを使いました。数分後、物流倉庫の⼊り⼝でタクシーは⽌まり、運転⼿の ⽅が「これ以上は⾏けないので、ここで降りてください」と⾔います。運転⼿の⽅は結構なお年に⾒え、訛 りも強かったことから、⾏き先が伝わってなかったのかと不安に思いながら、私はもう⼀度社名を伝え、⾏ き先の確認を⾏いました。すると、運転⼿の⽅が、数メートル先の看板を指差します。よく⾒ると、私が訪 問させていただく会社でした。トラックの脇をすり抜け、⼊り⼝に到着すると、物流倉庫の三階に本社があ ることが分かりました。これまで数多くの上場企業の本社を訪問させていただいていますが、倉庫の上は初 めてで、⾮常に驚きました。後で聞いたのですが、本社は賃貸物件で、場所や賃料、ワンフロアの広さから 決めたとのことでした。同社のIRの⽅は、「初めて来られる⽅の多くは驚かれ、特に採⽤は苦労していま す。」と苦笑いされていました。しかし私は、同社が開発⼒を背景に競合対⽐で⾼い利益率を誇っているこ とから、付加価値のとれないところは徹底してコストを抑制する姿勢を垣間⾒た感じがしました。 次に、受付が印象に残った2社をご紹介します。ともに売上⾼1兆円を超えるメーカーです。ただし、⾜元 の業績は苦しく、前期は両社とも最終⾚字に陥っています。1社⽬は東京の⼀等地にあります。1階の受付 には4⼈の⼥性がおられ、要件を話すと、上のフロアへ向かうよう⾔われました。⾏ってみると、ここにも 受付があり、3⼈の⼥性がおられました。⾮常に丁寧でスムーズな対応でありがたかったのですが、ここま でのサービスはメーカーとしては珍しく、来客数から⾒て、少し⼈が多い印象でした。元々テレビCMも多 い印象を持っていたこともあり、⼀事が万事で、コストに⽢いのかなという思いが強まりました。もし本気 になってコストカットに取り組めば、株価評価⾒直しのポテンシャルは⼤きいと感じながらミーティングに 臨みました。 もう1社の受付は先ほど挙げた企業とは全く違いました。同社は、およそ20階建のビルをグループで使っ ていました。1階の受付に席は2⼈分あるのですが、座っていたのは1⼈だけで、上のフロアに上がると、 IR担当の部署の⽅が部屋まで案内してくれました。さすがに来客数から⾒て受付の⼈数が少ない印象を持ち ましたが、⻑時間待たされるといったことはありませんでした。これは、相当業績が苦しいのかもしれない と感じたこともあり、私は、厳しい業界環境が続いても⾚字から脱却できるのか、開発や投資が疎かになっ てしまっていないかに注⽬してミーティングを⾏いました。 私達が企業のIRの⽅とミーティングを⾏う際は、当社にお越しいただくことが多くなっています。時間的な 制約から、この⽅がより多くの企業の⽅とミーティングができるからです。しかしながら、私は本社や⼯場 への訪問も⾏うよう⼼掛けています。それは、⽬で⾒たことが考えるきっかけになり、企業の⽅がしてくだ さる話を、より感覚的に素早く理解できるからです。今後も、出来るだけ多くの会社を訪問したいと考えて います。 株式運⽤部 部奈 和洋 ■当資料は情報提供を⽬的として⼤和住銀投信投資顧問が作成したものであ り、特定の投資信託・⽣命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するもの ではありません。■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成 しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。■当 資料に記載されている今後の⾒通し・コメントは、作成⽇現在におけるレ ポート作成者の判断に基づくものであり、事前の予告なしに将来変更される 場合があります。■当資料内の運⽤実績等に関するグラフ、数値等は過去の ものであり、将来の運⽤成果等を約束するものではありません。■当資料内 のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 大和住銀投信投資顧問株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第353号 加入協会 一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会
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